金融システムとは何か? 種類や機能、開発方法を詳しく解説

更新:2024.10.17
著者:Sky株式会社


モノやサービスの購入はもちろんのこと、商談や取引など、現代社会では「お金のやりとり」が日常的に行われており、「お金」は私たちの生活と切っても切り離せない存在といえます。近年ではキャッシュレスという言葉も身近になりましたが、実際に紙幣や硬貨を使用していないだけで、データやシステム上ではお金のやりとりが行われています。
金融システムは、そのようなお金のやりとりを円滑に行うために必要なシステムです。お金そのものを扱う金融システムは社会のインフラとして機能しており、その開発には高度な技術や厳重なセキュリティが求められます。この記事では、金融システムの概要や種類、開発の流れや開発会社の選び方などをご紹介していきます。

金融システムとはどういうものか?

金融システムは、「銀行や証券会社などの金融業界で使用されるアプリケーションやソフトウェア」のことを指し、金融機関にとって必要不可欠なシステムです。私たちが普段利用している銀行や証券取引所などにも金融システムは導入されており、これらのシステムが正常に機能しているからこそ、安心して取引ができたりお金を預けたりすることができています。

私たちの生活において、「お金」は製品・サービスの交換や流通をスムーズに行うための手段として非常に重要な役割を果たしています。そのため、お金の流れを止めるような「ATMが動かない」「株式の売買ができない」といった金融システムの障害が発生すれば、多くの人々の生活や仕事に甚大な影響を与えます。このように社会のインフラとして機能している金融システムは、ほかのシステムと比較してもより高度な「質」と「セキュリティ」が求められるシステムといえます。

また、「金融市場や株式市場といったお金の取引を処理する仕組み」を表す言葉として、金融システムという言葉が使用される場合もありますが、この記事においては上記の「銀行や証券会社などの金融業界で使用されるアプリケーションやソフトウェア」に焦点を当ててご紹介します。

金融システムの主な種類

一口に金融システムといっても、業務の領域によって使用されるシステムは異なります。ここでは金融システムの主な種類についてご紹介します。

1.勘定系システム

勘定系システムとは、金融機関において勘定処理を行うシステムのことです。口座の入出金や融資の残高管理など、金融機関の業務の中枢を担うため、大規模なシステムであることが一般的です。また、勘定系システムでは、オンラインとオフラインの2種類のシステムが並行で稼働しています。

オンラインシステムは、ネットワークを通じて預貯金の出し入れなどの業務サービスを瞬時に提供するシステムで、ATMがその最たる例です。一方のオフラインシステムは、ネットワークを介さないPCで業務処理を行い、後で業務サービスを提供するため、情報が反映されるまでタイムラグがあります。クレジットカードや公共料金の引き落とし業務などがその例です。

2.営業店システム

営業店システムとは、金融機関の各営業店での業務をサポートするために開発されたシステムです。「銀行の窓口で活用されている機器や端末」と言い換えればわかりやすいかもしれません。

具体的には、「店舗内での預金や融資、資産運用相談などに利用される端末やキャッシャー」「通帳や伝票の印刷プリンター」「印鑑照合用のスキャナー」などが営業店システムに該当します。

3.注文管理システム

注文管理システムは、株式やFXなどの取引が行われる際に、顧客からの注文を受けつけたり、その注文内容を処理したりするためのシステムです。OMS(Order Management System)とも呼ばれ、金融商品や運用手法の多様化に対応し、取引業務の効率化を図るために金融機関での導入が進んでいます。

金融商品や為替について、注文の受付から約定、決済までを一元的に管理できるほか、パフォーマンスのモニタリングやリスクチェックなどの機能も持ち合わせています。

4.対外接続システム

対外接続システムとは、金融機関の内部システムと外部センターとの接続を担うシステムです。外部センターには、クレジットカードの処理を行うCAFISやCARDNETなどの決済センター、JICCやCICなどの個人信用情報機関があります。

銀行と各収納機関やクレジットカード会社が対外接続システムでつながっていることで、コンビニでの公共料金の支払いや各店頭でのカード決済が実現しているといえます。

5.オンライン決済システム

オンライン決済システムは、ECサイトをはじめ、インターネット上で商品やサービスを購入する際に使用するシステムです。クレジットカード決済や銀行振り込みのほかにも、キャリア決済、コンビニ決済、ID決済など、数多くの種類があります。

また、決済処理だけでなく、受注管理や在庫管理の機能が含まれているオンライン決済システムもあります。EC市場やキャッシュレス文化が拡大しているという背景からも、オンライン決済システムはEC事業者にとって必要不可欠といえるシステムです。

6.仮想通貨(暗号資産)取引システム

仮想通貨(暗号資産)取引システムは、オンラインで仮想通貨の取引を行うためのシステムです。「ビットコイン(Bitcoin)」や「イーサリアム(Ethereum)」などの有名な銘柄をはじめ、今や仮想通貨は20,000種類以上存在しているといわれています。このような市場の拡大に伴い、多くの仮想通貨(暗号資産)取引システムが開発されています。

しかし、新興市場かつ、オンラインですべて完結するという仮想通貨の特性上、サイバー攻撃の標的になりやすいのも事実です。今後、仮想通貨の取引が増えれば増えるほど、仮想通貨(暗号資産)取引システムにはより一層厳重なセキュリティ対策が求められます。

一般企業でも役立つ金融システムはある?

冒頭で、金融システムは「銀行や証券会社などの金融業界で使用されるアプリケーションやソフトウェア」とご紹介しました。しかし、必ずしも金融業界に限らず、一般企業でも役立つ金融システムは存在します。

例えば、勘定系システムを導入することで、一般的な経理や会計業務の効率化が可能です。ほかにも、上記で述べたようにEC事業を運営する企業では、オンライン決済システムの導入は必須といえます。このように金融システムは、金融業界で活用されるのが前提ではあるものの、業務内容によっては一般企業でも十分役立つシステムといえます。

金融システムエンジニア(金融系SE)の重要性

これまでご紹介したような金融システムを支えているのは、金融システムエンジニア(金融系SE)と呼ばれる人たちです。ここでは金融システムエンジニアについてご紹介します。

金融システムエンジニアとは

金融システムエンジニアとは、銀行・保険会社・証券会社などの金融業に対し、金融システムの開発や運営を担うエンジニアのことです。略して金融系SEと呼ばれることもあります。

金融システムは、社会のインフラとして機能しており、不具合による被害の規模も大きくなることから、常に高品質なシステムが求められます。そのため、それら金融システムを扱う金融システムエンジニアは、システムエンジニアの中でもより高度なスキルが必要な重要性の高い職種といえます。

金融システムエンジニアの役割や仕事内容

金融システムエンジニアの役割は、「既存システムの保守」「新規システムの開発」「データ分析やモデリングの補助」など、金融機関が安定した業務を行えるようにシステム面からサポートすることです。

「既存システムの保守」では、日々の運用業務や税制改正への対応などを行い、「新規システムの開発」では、新たなビジネスの展開や業務効率化のためのシステムを構築していきます。加えて、金融機関に在籍しているアナリストが実施するデータ分析やモデリング業務などをサポートすることも、金融システムエンジニアの仕事です。

具体的に取り扱うシステムは、「銀行」「保険」「証券」など、金融業の種類によって異なります。例えば銀行だと以下のようなシステムの開発・保守を担当します。

金融システムの例(銀行の場合)
業務系システム 営業支援システム、窓口業務システムなど
情報系システム ユーザー分析システム、取引データ記録システムなど
勘定系システム 入出金管理システム、利息計算システムなど

金融システムの開発の流れ

金融システムといっても、開発の流れは一般的なシステムと変わりません。通常のシステム開発同様、以下のような流れで開発を進めていきます。

金融システムの開発の流れ
  1. 要件定義: 実装すべき機能、スケジュール、予算など必要な要件をまとめる
  2. 基本設計: システムのおおまかな構造やインターフェースを決定し、基本設計書を作成する
  3. 詳細設計: 詳細な実装方法を決定し、詳細設計書を作成する
  4. 実装: 詳細設計書を基に、プログラミングを行う
  5. テスト: 作成したプログラムが正常に動くかをテストする
  6. リリース: 旧システムから新システムに移行する
  7. 保守/運用: システムが滞りなく稼働するように監視し、不具合が起きたときは改修などを行う

一般的なシステム開発と比較して、金融システムは開発規模が大きくなりやすいです。そのため、要件定義をより一層入念に行い、開発の長期化や開発コストの増加を防ぐことが重要といえます。

また、セキュリティ要件をクリアしていれば、金融システムエンジニアがいない企業であっても、外注することで金融システムの開発ができます。基本的には、システム開発の実績が豊富な企業ほど高品質なシステムを開発しやすいため、外注する際には「これまでの開発規模」や「企業としての安定性」などをしっかり確認してから発注することが大切です。

金融システムの開発会社の選び方

お金を扱う金融システムには、厳重なセキュリティと安定した運用が求められるため、確かな技術と豊富な実績がある開発会社へ依頼することが推奨されています。ここでは、金融システムの開発会社の選び方を3つご紹介します。

これまでのシステム開発実績を確認する

金融システムの開発を外注する場合は、これまでのシステム開発実績を確認することが重要です。具体的には、「システム開発の実績が豊富か」「自社のシステムと同じようなシステムを取り扱った実績があるか」を確認します。加えて、安定した企業であるかどうかも大切なポイントです。

また、実際に依頼した顧客からのフィードバックや、システムの認定・受賞歴なども開発会社の得意領域を判断する貴重な情報です。特に金融業界は高度なセキュリティやコンプライアンスが求められるため、それらにも対応できるかどうかも、外注先を選定する上での重要な判断基準となります。

複数社から見積もりを取り比較する

複数の会社から見積もりを取って比較することも、システム開発会社を選ぶ際の大事なポイントです。複数の見積もりを比較することで、開発に伴う予算や費用の透明性が高まり、提示された金額が適正かどうかを判断できます。

また、見積もりを比較するのと同時に、開発後の運用・保守などのサポート体制が整っているのかを併せて確認することも大切です。充実したサポート体制がある開発会社に依頼することで、システムを運用する際の不安などを払拭できます。「コスト」「サービス内容」「信頼性」「リスク管理」など、総合的に比較して開発会社を選定するのがお勧めです。

技術力やセキュリティ対策のレベルをチェックする

金融業界はテクノロジーの進化が著しいため、技術力やセキュリティ対策のレベルを確認することも、開発会社を選ぶ上で大切です。ブロックチェーンやAI、クラウドコンピューティングなど、最新のテクノロジーに精通した開発会社であれば、より複雑な金融システムの開発にも対応できます。

実際にヒアリングなどで確認する際には、技術力は「実績」「使用技術やツール」「開発チームのスキルセット」を、セキュリティ対策は「セキュリティポリシー」「プライバシー保護」「脆弱性管理」を中心に確認するのが重要になります。技術力とセキュリティ対策のレベルは、そのまま金融システムの品質やリスクの軽減に直結するため、必ず確認すべき項目です。

システム開発ならSky株式会社

Sky株式会社は、家電製品の組込み開発を手掛けたのをきっかけに、デジタル複合機やカーエレクトロニクス、医療機器など、幅広い分野でシステム開発を展開しています。お客様先へのエンジニアの派遣や受託開発などをはじめ、要件定義から設計、開発、検証、運用・保守まであらゆるフェーズで技術を提供しています。

金融・保険業界においても、コールセンターシステムや代理店・窓販Web申込システム、新契約業務システムなど、豊富な開発実績を積み重ねています。システム開発でお悩みの際は、ぜひSky株式会社までお問い合わせください。

まとめ

ここまで、金融システムについてご紹介しました。お金を取り扱う金融システムは社会を支えるインフラであり、その開発には金融に関する深い知識と最先端の技術が必要です。そのため、金融システムを開発する際は、確かな技術と豊富な実績を持つシステム開発会社へ外注するのがお勧めです。また、ブロックチェーンやAIなどの最新テクノロジーに対応している開発会社へ依頼することで、より複雑かつ適切なシステム設計や開発も可能になります。自社に導入したい金融システムに応じて、適切な開発会社を選定することが大切です。

著者 Sky株式会社

Sky株式会社は、家電のシステム開発を手掛けたのをきっかけに、デジタル複合機やカーエレクトロニクス、モバイル、情報家電、さらに自社商品として教育分野における学習活動ソフトウェアや、公共・民間向けクライアント運用管理ソフトウェアなど、幅広い分野でのシステム開発を展開しております。

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