システム開発の優先順位は? つけるべき理由や決め方を解説!
更新:2024.4.26
著者:Sky株式会社
システム開発には優先順位が重要
システム開発を検討していると、実装したい機能についてさまざまなアイデアが浮かんでくることがあります。また、「コストを抑えたい」「短期間で開発したい」といった要望もたくさん出てきます。しかし、システム開発では機能面やコスト面、開発期間などのあらゆる要素を考慮する必要があるため、すべての要望を実現できるとは限りません。そこで重要なのが、優先順位を決めることです。
優先順位を決めていれば、プロジェクトの目指すゴールが明確になり、重要なタスクから先に完了させていくことでスケジュールも管理しやすくなります。一方、優先順位が決まっていなければ、どのタスクから先に手をつけるべきかわからなくなったり、システムを開発する目的が曖昧になってしまったりと、プロジェクトの進捗や成果物のクオリティーに支障が出てしまうかもしれません。
そのため、システム開発を成功させるためには、優先順位を明確にすることがポイントになります。
システム開発について詳しくは、こちらの記事をご覧ください
システム開発の優先順位に関わる3つの項目
システム開発における優先順位を決める際、考慮しなければならない項目として「品質・機能性」「予算・コスト」「納期・スピード」の3つが挙げられます。これらの中から最優先にする項目を明確にし、プロジェクトチーム内で共有することが大切です。ここでは、それぞれの項目について詳しくご紹介します。
品質・機能性
システムの品質や機能性を最優先する場合は、デザインの評価やユーザビリティ設計などを行える体制を整えることが重要です。設計に取り組む前に市場調査やユーザーアンケートなどでデータを収集し、十分な開発期間と予算を確保するなど、しっかり計画をたててシステム開発に取り組む必要があります。
もし、十分なデータを集めずに見切り発車でシステム開発を進めてしまうと、ユーザーが満足する品質や機能を備えることができず、システムの改善に余計な時間やコストがかかってしまう可能性があるため注意が必要です。
予算・コスト
プロジェクトによっては、限られた予算・コスト内でシステムを開発しなければならないケースもあります。そのようなプロジェクトの場合は、できる限り既存のテンプレートやパッケージを活用するのがお勧めです。新しいシステムをゼロから開発するよりもコストを抑えることができます。
もし、自社開発だとコストがかかりすぎてしまう場合は、オフショア開発を依頼するという方法もあります。オフショア開発とは、海外の開発会社や子会社に開発業務を委託することで、相場よりも開発コストを抑えられるケースが多いです。
納期・スピード
「〇月に行われるイベントに間に合わせなければならない」など、納期が決まっているプロジェクトもあります。そのようなプロジェクトで重視しなければならないのは、業務のスピードや進捗管理です。チームメンバーがリアルタイムでコミュニケーションを取ることができ、それぞれの業務の進捗を随時確認できるような体制をつくることが大切です。
また、開発スピードを上げるために、既存のテンプレートやパッケージの活用もお勧めです。さらに、リリースの際に必要となる最低限の機能を決めておけば、その機能だけをひとまずリリースするといった対応も可能になります。
優先順位を決めるタイミングは早い方がいい
システム開発における優先順位は、基本的にプロジェクト開始時に決めるのが望ましいです。プロジェクトの開始時に決めなければ、システムの機能や構成を明確にできなかったり、目指すべきゴールが途中で曖昧になったりするリスクがあります。早い段階で優先順位を決め、システムに必要な機能と不要な機能を振り分けることで、その後の開発業務を効率的に進められます。
また、「すべての要望を実現することは難しい」という認識を、プロジェクトの開始段階からチーム全員で共有することも非常に大切です。共通認識の下、チーム全体で優先順位に則した開発を進められるようになります。
優先順位はどう決める?
ここまで、システム開発で優先順位を決めることの重要性をご紹介しました。しかし、どうやって優先順位を決めればよいかわからない、と悩んでいる方もいるかもしれません。ここでは、実際に優先順位を決める際に役立つ4つのポイントをご紹介します。
- 開発要件を定量化する
- 実施項目の優先度を考える
- 必要工数の概算を出す
- プロジェクト内での優先度はリーダーが決定する
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
開発要件を定量化する
1つ目のポイントは、システム開発における各要件を点数化・定量化することです。要件の一つひとつに点数をつけるのは難しい、と感じるかもしれませんが、プロジェクトポートフォリオ管理ツールを活用すれば、各要件を自動で点数化してくれるため優先順位をつけやすくなります。
例えば、縦軸に「決済システム機能」や「会員データ管理機能」といった各要件を並べます。それに対し、横軸には「コスト」「納期」「実装することで期待できる売上額」などの評価項目が並びます。それらの入力が完了すると、各要件の総合評価が自動で算出され、5段階評価や10段階評価などで点数化される仕組みです。優先度の高い要件を直感的に把握できるだけでなく、定量的な指標として公平な判断をしやすくなります。
ただ、こうしたツールはあくまでも「判断をサポートしてくれるもの」に過ぎません。ツール上で優先度が低いと判断された要件でも、実装しなければならないケースはあります。ツールで点数を算出した後にプロジェクトメンバーにアンケートを実施するなど、柔軟な仕組みを取り入れることが大切です。
実施項目の優先度を考える
2つ目のポイントは、先述した「品質・機能性」「予算・コスト」「納期・スピード」という3つを判断基準に、どの項目を優先するべきか、どのような理由で優先するのかを考えることです。
例えば、各要件に対し「必要不可欠」「オプションで対応」など、品質・機能性における重要度についての評価や、「すぐに可能」「時間をかければ可能」「コストをかけずに可能」「コストをかければ可能」といった予算・コストや納期・スピードにおける実現性についての評価をします。そうすることで、「機能としての重要度が高く、時間もかからないため優先する」「機能としての重要度は高いが、時間がかかるため優先しない」などの総合的な判断ができます。
必要工数の概算を出す
3つ目のポイントは、工数の概算を算出しておくことです。工数の概算を算出していれば、プロジェクトが始まる前に、必要な人員や期間、費用などを把握することができます。プロジェクトにおける開発リソースと比較することで、優先順位を決める際、要件に対する「必要」「不要」の判断をより明確にしやすくなります。
「プロジェクトが始まる前から概算を出すのは難しい」という意見もあるかもしれませんが、あくまで概算であり、正確に算出する必要はありません。また、経験豊富なエンジニアであれば、ある程度正確な概算を算出することができるかもしれません。
プロジェクト内での優先度はリーダーが決定する
4つ目のポイントは、プロジェクトの起案者だけで優先順位を決めないことです。プロジェクトの起案者は、起案するまでの準備にも時間をかけており、プロジェクトへの思い入れも強いはずです。これまでに紹介した開発要件の定量化や、実施項目の優先度の考慮、必要工数の概算の算出を行ったとしても、優先順位を決める上で客観的な判断ができない可能性があります。
優先順位や、要件の取捨選択を冷静に判断するためには、起案には一切関与していない立場のリーダーが、さまざまな要素を考慮して最終決定するのが望ましいです。
まとめ
ここまで、システム開発における優先順位の重要性や、優先順位を決めるタイミングや方法などについてご紹介しました。システム開発を成功させるためには、優先順位を早期に決めることが大切です。プロジェクトの内容や組織の状況に合わせて、最適な方法で優先順位を決定してください。この記事でご紹介した内容が、皆さまのシステム開発に少しでもお役に立てば幸いです。
著者 Sky株式会社
Sky株式会社は、家電のシステム開発を手掛けたのをきっかけに、デジタル複合機やカーエレクトロニクス、モバイル、情報家電、さらに自社商品として教育分野における学習活動ソフトウェアや、公共・民間向けクライアント運用管理ソフトウェアなど、幅広い分野でのシステム開発を展開しております。