保険業システムとは? 仕組みやできること、機能、導入方法を解説
更新:2024.10.17
著者:Sky株式会社
現在の保険業界は、「新規契約の減少」「顧客のニーズの多様化」「オンライン営業への対応」など、さまざまな課題を抱えています。加えて保険業務も複雑化しており、保険代理店のみならず業界全体としてITシステムの重要性が高まっている状況です。
このような現状から昨今の保険代理店には、保険業システムを導入し、業務の効率化やサービス品質の向上を図ることが求められています。保険業システムを導入することで、顧客情報や契約情報を一元管理できるなど、業務を効率化していくことが可能です。この記事では保険業システムの概要やメリット、導入方法などを詳しくご紹介していきます。
目次
保険業システムとはどういうものか?
保険業システムとは、保険代理店の業務におけるCRM(Customer Relationship Management)をはじめ、スケジュール管理や各種データのエクスポートなども含めた、顧客情報と契約情報を一元管理できるシステムです。
保険業システムを活用し、これまで紙媒体で保存されてきた情報もデータ化して管理することで、顧客管理業務や募集活動を効率化でき、業務品質や生産性の向上に期待できます。
保険業システムでできることとは
保険業システムでできることは、「顧客情報の一元管理」「契約情報の一元管理」「グループウェア機能の利用」など多岐にわたります。以下に保険業システムでできることの例をまとめています。
保険業システムでできること | 内容 |
---|---|
顧客情報の一元管理 | 年齢・家族情報・年収といった属性情報、契約情報やライフプラン情報など、あらゆる顧客情報をデータベースで一元管理できます。 |
契約情報の一元管理 | 異なる保険会社であっても契約情報を一元管理できます。更新情報や解約情報が自動反映されるため、最新の情報を把握した上での顧客対応が可能になります。 |
顧客対応履歴の確認 | 事故やクレーム、料金の未納といった顧客対応の履歴を可視化する機能です。顧客満足度の向上や対応漏れの防止に役立ちます。 |
マーケティング分析 | システム内に蓄積されたデータを分析し、見込み顧客や対象顧客を把握することで、企業のマーケティング戦略に生かすことができます。 |
グループウェア機能の利用 | 別途グループウェアを用意しなくても、個人やグループでのスケジュール管理、会議や打ち合わせの施設管理といった機能をシステム内で利用できます。 |
スケジュールの管理 | ToDoリストや予定業務の管理など、スケジュール管理機能が備わっています。上記のグループウェア機能を活用すれば、グループ内での共有も簡単に行えます。 |
保険業システムに求められる基本的な機能
保険業システムでできることを上記でご紹介しましたが、それらを踏まえた上で、保険業システムに求められる基本的な機能についてご紹介します。
1.顧客契約管理
「顧客契約管理」は、顧客の契約情報や面談記録、ライフプラン情報などを一元管理する機能です。個人だけではなく、家族や法人ごとに管理することも可能で、性別や年齢、年収などの属性情報も一元管理することができます。
2.スケジュール管理機能
「スケジュール管理機能」を活用すれば、いつでも社内のスケジュール情報を確認することが可能です。営業担当者のアポイント状況や社内ミーティングの日時など、個人からチーム単位で活用できます。スケジュール調整の負荷を軽減することで、生産性の向上にもつながります。
3.保険商品比較機能
一社専属ではなく、複数の保険会社を取り扱う乗合保険代理店の場合は、保険商品の比較が必要です。「保険商品比較機能」は、保険種類・保証期間・払込期間・払込方法・保険金額などの条件を指定することで、保険商品の比較が簡単に行えます。
4.手数料計算機能
一社専属であれば、手数料計算はすべて保険会社が行ってくれますが、乗合保険代理店の場合は、複数の保険会社を扱うため自社で手数料の計算をしなければなりません。「手数料計算機能」は、「その商品の手数料はいくらなのか」「手数料のうち、いくらを給与として還元するのか」などを計算でき、手数料計算の業務負荷を軽減できます。
5.社内情報共有機能
「社内情報共有機能」を活用することで、資料や掲示板情報をアップロードすることが可能です。システム内で情報共有が行えるようになれば、担当者の引き継ぎがスムーズに行えたり、クレーム対応などの顧客対応履歴を共有したりと、顧客満足度を上げるための効果的な取り組みが実現できます。
6.勤怠管理機能
保険業システムには「勤怠管理機能」も求められます。これにより日々のスケジュール管理だけでなく、出退勤や休日、出張などの申請・承認もできるようになり、人事業務の一部を効率化することが可能です。
保険代理店の抱える課題
保険業界全体の状況として、少子高齢化などの社会的背景から保険加入者は減少傾向にあります。その結果、新規契約獲得のための保険代理店同士の競争も、今後より一層激しくなっていくことが予想されています。
また、保険代理店が抱えている課題としては「新規契約の割合が減少していること」のほか、「顧客のニーズが多様化していて個別対応が求められていること」や「オンライン営業へと営業スタイルを変化させていかなければならないこと」なども挙げられます。
顧客のニーズが多様化している主な理由は、ライフスタイルや働き方の変化です。例えば、これまでは一つの企業に定年まで勤めることが当たり前でしたが、今では転職はもちろん、自営業やフリーランスといった多様な働き方の選択が可能です。ほかにも結婚に対する価値観も変化し、生涯独身でいたいと考える人も以前に比べて増加傾向にあります。このような変化から、顧客の保険商品に対するニーズが多様化し、従来の大衆に向けた一律的なアプローチでは商品の魅力が響かず、個々の対応が必要なケースが増えています。
また、コロナ禍以降、オンラインによる営業が日常的に行われるようになり、診断書などの紙媒体を活用する機会が多い保険業界においても、そのような営業スタイルに対応していく必要があることも課題の一つです。
保険業システムの導入メリット
上記でご紹介したような保険代理店の課題を解決するためには、保険業システムの導入が有効的です。ここでは保険業システムの導入メリットを3つご紹介します。
業務効率化
保険業システムには営業の進捗状況を可視化する機能が備わっており、営業活動を個人任せにすることなく、チームとして動くことが可能です。例えば、顧客情報や商談内容をシステム上に蓄積することで、情報共有がスムーズに行えるようになり、業務の効率化につながります。
また、営業活動のみならず、既存顧客へのアフターフォローとして、定期更新の案内や契約内容変更の確認などの定型業務を自動化することも可能です。
接客に関する業務の負担軽減
オンライン営業を実現し、接客に関する業務の負担を軽減できることも、保険業システムを導入するメリットの一つといえます。保険業システムを活用することによって、インターネット環境があれば、会社や家にいる状態でもオンラインで接客できるようになり、面談日時の調整などの負担を軽減することが可能です。
また、従来は担当者が顧客の家まで足を運ぶことが多く、時間や交通費などのコストが発生していましたが、オンライン営業の実現により、それらのコストも削減することができます。
顧客満足度の向上
保険業システムの導入によって業務の効率化を図り、業務品質を改善することで、顧客満足度も向上します。保険業システムではリアルタイムで正確な情報を確認できるため、契約内容の見直しのタイミングやライフイベントが発生する時期を踏まえた上で、より顧客のニーズに合った提案の実施が可能です。
結果として契約までの話もスムーズに進めやすく、顧客満足度の向上と契約締結という、顧客と代理店の双方にとってメリットのある商談が可能です。
保険業システムの選び方や比較ポイント
保険業システムを導入する際には、「自社の業界に合っているか」や「必要な機能が搭載されているか」などを確認し、システムを選定することが大切です。また、長期的に運用する上でコストパフォーマンスも確認すべきポイントといえます。ここでは保険業システムの選び方や比較ポイントをご紹介します。
必要な機能の有無で選ぶ
保険業システムを導入するにあたり、自社にとって必要な機能が搭載されているかについては最初に確認すべき項目です。特に注意すべきは、業務ごとに必要な機能が異なっているケースです。その場合、業務ごとに違ったシステムを導入してしまうと、システムを横断して操作しなければならず、互換性などの問題によりかえって業務効率の低下を招く恐れがあります。まずは自社にとって必要な機能を洗い出し、それらの機能が一元管理できるようなシステムを選定することが非常に重要です。
また、何かあった時のために、安心できるサポート体制や継続的な保守サービスがあるのかについても確認することが大切です。導入後のシステムの改善やアップデートなど、長期的な視点を持つことは、自社にとって最適なシステムを見つけるための判断基準にもなります。
自社のスタイルや業界に合ったものを選ぶ
機能の確認に加え、自社のスタイルや業界に合った保険業システムを選ぶことも重要です。初めて保険業システムを導入する場合は、「生命保険業務向けのシステム」と「損害保険業務向けのシステム」があることに注意する必要があります。自社の業務や業界に合わないシステムを選んでしまうと、システム自体が使えなかったり、かえってコストが増加したりする可能性があります。
また、保険業システムは、「幅広い業務に対応するタイプ」「顧客管理に特化したタイプ」「グループウェア機能が強いタイプ」と大きく3つのタイプに分けることができます。実際に自社に導入した時のことをシミュレーションし、どのタイプが自社のスタイルに適しているのかも併せて確認することが大切です。
費用対効果で選ぶ
保険業システムの導入にかかる費用は企業にとって大きな負担となるため、費用対効果を確認することも忘れてはいけないポイントです。また、状況によっては部署を限定したスモールスタートで導入を進めることも、リスク分散の選択肢の一つといえます。
保険業システムは、一度導入すると長期的に使用する場合がほとんどです。そのため、費用対効果を確認する際は、導入にかかる初期費用にだけでなく、運用や保守にかかるランニングコストもしっかりと確認する必要があります。最終的には、必要な機能や品質、企業としての将来的なビジョンや事業展開を踏まえた上で、最適なコストバランスを検討することが重要です。
保険業システムの導入方法
実際に保険業システムを導入するには、「パッケージソフトウェアを購入する方法」と「自社オリジナルのシステム開発を依頼する方法」の2つがあります。ここではこの2つの導入方法についてご紹介します。
パッケージソフトウェアの購入
パッケージソフトウェアはすでに完成されたシステムがパッケージ化されたものであるため、「導入までの期間を短縮できる」「品質が担保されている」「コストを抑えることができる」などのメリットがあります。
一方で、カスタマイズが自由にできなかったり、自社に必要のないシステムが含まれていたりするなどのデメリットもあります。特にパッケージソフトウェアはシステムがブラックボックス化する傾向にあり、仮にトラブルが発生した場合、操作ミスなのかシステムの不具合なのかの判断が難しく、トラブルの解決までに時間がかかる点にも注意が必要です。
導入後の拡張性を考慮し、自社でもカスタマイズしていきたい場合は、以下でご紹介する自社の独自システムの開発を依頼する方法が効果的です。
自社の独自システムの開発を依頼
保険業システムを導入するにあたり、自社の独自システムの開発を依頼することも可能です。オーダーメードのためパッケージソフトウェアよりも費用が高額になるものの、細かいところまで要望を反映させた保険業システムを導入できます。
また、パッケージソフトウェアの場合は、システムに合わせて業務フローの変更などが発生し、現場が混乱する可能性もありますが、独自システムの場合は既存の業務フローに合わせたシステムを開発できるため、現場の混乱を招く可能性が低いというメリットもあります。
ただし、一からシステムを開発するため保険業システムの導入までにある程度の期間を要することや、費用が高額になるというデメリットには注意が必要です。
システム開発ならSky株式会社
Sky株式会社は、家電製品の組込み開発を手掛けたのをきっかけに、デジタル複合機やカーエレクトロニクス、医療機器など、幅広い分野でシステム開発を展開しています。お客様先へのエンジニアの派遣や受託開発などをはじめ、要件定義から設計、開発、検証、運用・保守まであらゆるフェーズで技術を提供しています。
さらに、教育分野における学習活動ソフトウェアや、公共・民間向けのクライアント運用管理ソフトウェア、企業の営業活動を支援する名刺管理サービスなど、自社商品の開発・販売も積極的に行っています。システム開発でお悩みの場合は、ぜひSky株式会社までお問い合わせください。
まとめ
現在の保険業界では、「新規契約の減少」「顧客のニーズの多様化」「オンライン営業への対応」といった課題に直面しています。それに伴い、保険業務も複雑化し、保険代理店のみならず、業界全体としてITシステムの重要性が高まっています。
このような保険業界の現状から、今の保険代理店には業務の効率化やサービスの向上が求められており、保険業システムの導入はその最初の第一歩といえます。近年では、センサーやウェアラブル端末、スマートフォンアプリ、SNSなどのテクノロジーを活用した新しい技術も台頭してきており、こうした時代の流れに取り残されないためにも、積極的にITを活用していくことが必要です。
著者 Sky株式会社
Sky株式会社は、家電のシステム開発を手掛けたのをきっかけに、デジタル複合機やカーエレクトロニクス、モバイル、情報家電、さらに自社商品として教育分野における学習活動ソフトウェアや、公共・民間向けクライアント運用管理ソフトウェアなど、幅広い分野でのシステム開発を展開しております。