業務系システム開発 │ 内製化支援サービス事例KDDI株式会社 様

「お客さま体験価値」の向上のための開発体制を 内製化とアジャイル開発で短スパンでの機能拡張を実現

導入サービス
内製化チームの構築

KDDI株式会社

業種
情報・通信
所在地
東京都千代田区
Webサイト
https://www.kddi.com/

KDDI株式会社は、5Gによる通信事業を進化させるとともに、金融・エネルギー・DX・LX・地域共創などの事業領域拡大を図っています。そのなかで情報システム本部は、デジタル接点や店舗でのお客さま体験の向上とスピード感のある改善を実現するために、全社システムのモダンアーキテクチャ化とアジャイル開発の普及に取り組んでいます。

    • コア技術統括本部 情報システム本部
      DXシステム2部 開発5グループ
      コアスタッフ
      開発チームリーダー
    • 岩見 拓也 様
    • コア技術統括本部 情報システム本部
      DXシステム2部 開発5グループ
      コアスタッフ
    • 倉持 雄一 様
    • コア技術統括本部 情報システム本部
      DXシステム2部 開発5グループ
      コアスタッフ
    • 川崎 莉央 様
    • コア技術統括本部 情報システム本部
      DXシステム2部 開発5グループ
      スタッフ
    • 秋山 雛乃 様
    • パーソナル事業本部 カスタマーサービス本部
      カスタマーサービス企画部
      デジタルエンゲージメントグループ
      コアスタッフ
      企画チームリーダー
    • 小寺 優輝 様

課題

  • 複数のパートナー企業のエンジニアが入る煩雑なチーム構成
  • 開発チーム内でナレッジが共有・蓄積されにくい環境
  • 短スパンで機能リリースできる柔軟な開発体制を構築したい
  • チャットボットシステムの応対領域を拡張したい

効果

  • アジャイル開発体制を強化する体制の変更で、各開発チームの役割が明確に
  • ナレッジの蓄積・共有で開発が高速化
  • 冗長なアーキテクチャが整理され、システムの保守性が高まる
  • PoCを開発サイクルに組み込み、多角的な検討ができるように
  • 柔軟に対応できる開発体制によって、短スパンでの機能拡張が実現
システムについて

AWS上に生成AIを活用したチャットボットシステムを構築

当社では現在、お客さまからの問い合わせの対応に、AIを活用したチャットボットシステムを開発・運用しています。「My au」「My UQ mobile」アプリをはじめ、LINEやWebサイトからお客さまがチャットで問い合わせたい内容を文章にして送信すると、定型AIがあらかじめ用意してある回答のシナリオを引き当てて回答として出力する仕組みです。2024年2月リリース版では、生成AIを活用し、お客さまの問い合わせ内容を要約することで、回答のシナリオを引き当てる精度の向上を図りました。お客さまがau IDなどを入力することで、「今月の料金」など、個人にひもづいた問い合わせにも回答できます。

また、チャットボットで対応できなかった問い合わせは、コミュニケーターが応対します。その際、コミュニケーターの応対を支援するツールの画面に、お客さまの問い合わせ内容や契約情報を表示するウィジェット(フロントエンドシステム)もチャットボットシステムと併せて開発しており、これらは基本的にAWS上に構築されています。開発はアジャイル型の開発プロセスで進めており、Sky株式会社は、本プロジェクトの内製化を支援しながら、主にフロントエンドシステムやお客さま情報に関わるバックエンドシステムの開発を担っています。

こうしたシステムを開発する背景には、「お客さま体験価値」の向上があります。以前、電話での問い合わせがメインだったときには、電話がつながるまでにお客さまをお待たせしてしまったり、受付時間が限られてしまったりといったデメリットがありました。チャットボットであれば、24時間365日、時間の制約がなく問い合わせいただけます。さらにチャットボットで解決できる幅が広ければ、その場ですぐに問題を解決することができ、こうした改善の積み重ねが「お客さま体験価値」の向上につながると考えています。

システム概略図
課題

複数のパートナー企業が入る煩雑なチーム構成

当社のシステム開発は、さまざまな企画部門を巻き込み、大規模なプロダクトデリバリを計画的に進めています。それに加え、お客さまのサービスに関わるシステムは、短いスパンで機能拡張や改善ができるように柔軟な対応が求められるため、チャットボットシステムの開発は、開発チームに社員が入り、アジャイル開発で行われています。

2021年にはチャットボットシステムの開発体制を変更し、内製化とアジャイル開発の体制を強化しました。以前はチャットボットのシステムと、WebサイトのUIやコミュニケーターの応対支援ツールを開発しているチームが別々に存在し、それぞれに開発を進めていました。いずれのチームにも社員が入っていたものの、複数のパートナー企業やフリーランスのエンジニアなどが入り、チーム構成が煩雑になっていることが課題で、ナレッジが共有・蓄積されにくい環境でした。また、以前のチャットボットシステムは、問い合わせに対してシンプルにFAQを引き当てるものでした。さらなるお客さま体験価値の向上に向けて、チームの拡大でチャットボットの応対領域の拡張も目指したいと思いました。

効果1

内製化に向けてSky株式会社のPoCを通じて技術的な知見が深まる

体制変更では、煩雑なチーム構成でシステムを作り込んでいたところから、バックエンド領域、フロントエンド領域など、役割を明確にして4つのスクラムチームを編成しました。4チームのうち、2チームをSky株式会社で構成し、アジャイル開発の中心的な役割を担っていただいています。ナレッジを蓄積していただくとともに、Sky株式会社の2つのチームが情報共有し、ときにリソースも共有することで、開発の高速化につながっています。さらに、冗長になっていたアーキテクチャを整え、保守性が高まったことで、新たな案件に取り組みやすい環境にもつながりました。

チャットボットシステムに関する機能拡張や改善については、PO(プロダクトオーナー)であるカスタマーサービス企画部が、リリースのタイミングを指定した上で、開発部門に要望を挙げます。アジャイル開発を強化したことで、PoC(概念実証)の工程も開発のサイクルに組み込めるようになりました。PoCは、POからの要望に対してどういったやり方で、どのような効果が得られるのか、要件を検討するための大事な工程です。このPoCをSky株式会社が対応しています。当社でも方向性を検討しますが、Sky株式会社の担当者がより効果的な方法や別の選択肢も提示するなど、より良いかたちで要望を実現できるようさまざまな角度から提案してくれています。チャットボットシステムへの生成AIの活用を実現できたのも、こうしたPoCでの検証があったからこそのことです。パートナー企業に依存しないシステム理解や開発を目指していくなかで、Sky株式会社との技術的なやりとりを通じて、知見を深めることができていると感じています。

効果2

アジャイル開発体制の強化でチャットボットの応対領域の拡充を素早く実現

チャットボットシステムの開発に、WebサイトのUIを開発していたチームが統合されたことで、これまでアプリだけで展開していたチャットボットをWebサイト上にも組み込めました。また、チームが拡大したことで、生成AIの活用だけでなく、社内システムと連携して料金などのお客さま情報を活用した回答も可能になるなど、応対領域も拡充してきています。

当社で主流となっているパートナー企業によるウォーターフォール開発では、要件定義からリリースまで数か月の開発期間を要しますが、チャットボットシステムでは数週間でのリリースが可能になっています。さらに、チャットのシナリオの修正やコミュニケーターの応対支援ツールの画面改善など、さまざまな要望に優先順位をつけてスクラム開発のサイクルに組み込み、スピード感を持って対応できています。こうした柔軟な開発が行えるのもSky株式会社と共に、内製化とアジャイルでの開発体制の強化に取り組んだ成果だと考えています。

展望

さらなる生成AIの活用と生産性の向上を目指す

今後はチャットボットで応対できる範囲を広げていくことと併せて、コミュニケーターの応対支援にも生成AIをさらに活用していきたいと考えています。現在も、お客さまの問い合わせ内容を素早くくみ取るために、チャットでの問い合わせ内容を生成AIで要約して、コミュニケーターの応対支援ツールの画面上に表示しています。生成AIを活用しながら、有人ならではの応対ができるよう品質を高めていきたいと思います。

また、今後もアジャイル開発を継続し、開発チームが1スプリント内で作業できる平均的な作業量を上げ、生産性を高めていきたいと考えています。ぜひ、Sky株式会社に内製化の強化とスクラムチームのさらなる成熟に向けて協力してほしいと思っています。新たな技術が次々に登場し、開発のフレームワークも進化しています。さらなるお客さま体験価値の向上を実現できるように、引き続きお客さまに合った最先端技術をいち早く取り入れたサービスを展開していきたいと考えています。

2024年7月取材

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