システムについて
Azureを基盤にした
内視鏡業務を支援するクラウドサービス
私たちは現在、内視鏡の業務を支援するクラウド型のサービス「Vivoly+」と「Health Cloud for Clinical(HCC)」を開発・提供しています。
「Vivoly+」は、小規模病院やクリニックに向けたサービスです。内視鏡画像の管理や作業負荷の大きい検査レポート作成を効率化する機能を搭載。さらに、自治体が実施する胃がん検診のワークフローにも対応しており、一部の自治体で導入が進んでいます。
内視鏡画像の管理や作業負荷の大きい検査レポート作成を効率化する「Vivoly+」
参考:オリンパスグループ企業情報サイト(https://www.olympus.co.jp/news/2021/nr02166.html)に基づいてSky株式会社が作図
一方、「HCC」は大規模病院に向けたサービスです。内視鏡装置に蓄積されたログデータ、診療実績や検査実績を集約・可視化。患者情報の分析だけでなく、機材の稼働状況の把握、業務負荷の偏りの検出など、医療現場の業務改善や働き方改革も支援します。
内視鏡装置に蓄積されたログデータ、診療・検査実績を可視化する「Health Cloud for Clinical」
参考:オリンパス医療ウェブサイト メディカルタウン(https://www.olympus-medical.jp/solution/ict/hcc_case1)に基づいてSky株式会社が作図
これらのサービスは、従来オンプレミス型で提供していた大規模病院向け製品をベースに、柔軟な機能拡張や幅広い医療機関への展開を目指し、クラウドサービスとして新たに開発したものです。両製品ともMicrosoft Azureを基盤として構築し、Sky株式会社と共に機能改善や運用面での課題解決に取り組んでいます。
背景・課題
初めてのクラウドサービスの開発で知見が不足
「Vivoly+」は、当社の初めてのクラウドサービスとして、2019年にリリースした「Vivoly」をベースに開発されたシステムです。「Vivoly」の開発当初は、インフラに関する知見が不足。さらに、クラウドサービス開発のプロセスも社内で整っていないという、まさに“未知の領域”への挑戦でした。
当社は「高品質な製品開発」を強みとしていますが、オンプレミス型と同じ開発プロセスをそのままクラウドサービス開発に適用しようとすると、不都合が生じる場面もありました。また、サービス内容としても、大規模なシステムを導入するのが難しい病院層へリーチするサービスを考える必要がありました。そのため、既存の大規模病院向けオンプレミスシステムをそのままクラウドに移植するのではなく、必要十分な機能を絞り込み、入力するべきデータを取捨選択し、いかに簡単で容易に業務を行えるUI・サービスを提供できるか、という新たなチャレンジが必要でした。
さらに、クラウドサービスでは、これまでのオンプレミス版のように導入先ごとの個別のニーズにカスタマイズで対応するのではなく、汎用的なニーズに応えられる設計が必要です。これは現在も継続的な課題ですが、営業部門と連携しながら現場の声を反映した要件定義を進めなければなりません。
こうしたさまざまな課題を抱えるなか、当初はSky株式会社とは別の企業に開発を委託していました。しかし、品質面での不安が拭えず、開発中盤にパートナーの変更を決断。ベースとなるオンプレミス版の開発を担当していたSky株式会社に参画してもらうことにしました。
効果1
振り返りを通じて試験観点を見直し、品質を向上
開発中盤でパートナーを変更することは、大きな決断です。しかし、Sky株式会社はオンプレミス版の開発を通じて、当社の開発業務の規定や証跡管理に精通していたことから、スムーズに引き継げると考えました。また当時、Sky株式会社としてMicrosoft Azureを使ったクラウドサービス開発は初めての取り組みとのことでしたが、それでもこれまでの信頼関係を踏まえ、高品質な成果が期待できると判断しました。
実際に、資格取得などを通じて積極的に技術を習得し、インフラ面で着実に技術力・対応力を強化され、無事にシステムリリースまで完遂することができました。
Sky株式会社と開発を進めるなかで、強みだと感じるのが「振り返り」の進め方です。一般的には、品質課題への対応として「レビュー工程を増やす」といった対症療法的な対応が取られがちですが、Sky株式会社は試験の観点を見直す本質的な改善を提案してくれます。
「この観点で試験をしなければ、こういう不具合は見逃してしまう」といった気づきを、開発中やリリース後のバージョンアップのなかで拾い上げ、品質向上に貢献してくれていると感じます。一般的に、開発ベンダーが構築するチームは、人員の入れ替えが発生します。そのたびに、品質レベルの低下やノウハウの喪失が発生する可能性があり、これが依頼元の懸念点となります。しかし、そのスキルトランスファーの仕組みがしっかりと整備されており、今や人員の入れ替えが発生することに対する抵抗感が大きく減っています。
効果2
上流から下流までのスキルセットを備え、
さまざまな依頼に柔軟に対応
「Vivoly+」「HCC」の開発では、不具合修正やワークフロー追加に加え、医療機関のユーザー様の声をヒアリングしながらプロトタイプを提示し、要件を固めていくケースもあります。また、ミドルウェアの更新や脆弱性評価など、対応内容が明確で、記録を厳密に残す必要がある案件も少なくありません。
そのためSky株式会社には、要件が明確に固まっているものと、まだ非常にあいまいな段階のものが混在した状態で依頼することがあります。どのような依頼に対しても柔軟に対応いただいており、特に要件が不確定な段階では、事前にリスクを指摘したり、代替案を提示したりと、常に提案型のスタイルで支援してくれます。私たちだけでは気づけなかった課題に気づかされることも多く、実際に何度も助けられてきました。
このような対応が可能なのは、上流から下流までひととおりのスキルセットをチームとして備えているからだと感じています。メンバーが入れ替わりながらも、長年にわたってその体制を維持しており、私たちにとっても見習いたい姿勢です。
また、プロトタイプをユーザー様に見せた結果、方向性が変わってしまうこともあります。事前の検討が足りなかった私たちの“反省案件”ですが、そうした場面でも一緒に振り返りを行い、原因の整理や今後の対応策を提案してくれるなど、常に伴走するかたちで支援してくれています。
効果3
インフラからアプリ開発、
保守・運用まで一貫して対応
クラウドサービスでは、定期的に機能を追加することが当然のように求められますが、実際には柔軟な要件定義が必要なものや評価・検証に時間がかかる複雑な機能も多く、開発の難易度は決して低くありません。そうしたなかでも、Sky株式会社は13名体制のチームの中で、リソースを調整しながら、継続的な機能追加に対応してくれています。状況に応じて柔軟に動いてくれる点も心強く思っています。
また、「Vivoly+」「HCC」において、私たちは開発だけでなく、保守や運用も担っています。そのため、クラウド環境での業務に加え、サービスを安定稼働させるために、Microsoft Azureのダッシュボードや各種管理機能を活用した仕組みを構築しています。こうした運用管理の仕組みづくりも、Sky株式会社と共同で行っています。
アプリケーションの仕様を深く理解しているSky株式会社が、保守・運用の仕組みまで一貫して、私たちと共に対応してくれることで、現場の業務にフィットした精度の高い機能が実現できていると感じています。
展望
生成AIを活用して開発効率を上げ、
機能拡充を実現していく
今後「Vivoly+」は、より多くの自治体の胃がん検診業務を支援できるよう、機能を拡充していきます。また、「Vivoly+」はAIによる画像の撮影部位認識機能も搭載しています。教育用途などでも活用いただけるよう、今後は認識精度の向上を図り、より実用的な機能になるよう、発展させていきたいと考えています。
また「HCC」は、蓄積したデータを活用するソリューションです。病院のワークフロー改善にとどまらず、保守やサービス向上など、さまざまな領域での活用も視野に入れ、機能拡充を目指していきたいと思います。
このように、実現していきたいことはまだまだたくさんあります。ですが、医療情報を扱う製品である以上、「品質の高さ」は絶対に守らなければなりません。品質を担保した上で、アウトプットを増やしていくためには、効率を高めることが不可欠です。そこで今、私たちが注目しているのが生成AIの活用です。今後もSky株式会社と連携しながら、当社の中でも生成AIの活用をけん引できるグループになっていけたら面白いと考えています。