背景・課題
複雑化・属人化が進んだ旧システムを刷新し、
持続可能な新たなシステムへ
今回、Sky株式会社と共に、当社の準基幹システムとして、受発注や輸出入などを管理するシステム「DJK_Web」を構築しました。
「DJK_Web」のシステム概要図
この新システム構築の背景には、これまで利用してきた旧システムの技術的・運用的な限界があります。当社では約10年間にわたり、国内外の見積書や注文書、請求書の作成・管理のために、文書管理システムを活用してきました。このシステムは、基幹システムであるSAPと並び、基幹業務の一部を担う重要なものでした。
この旧システムは、社内閉域網に構築されたクライアントサーバー型のアプリケーションで、従業員の各PCにインストールして使用する形式でした。長年この仕組みで運用を続けてきましたが、ベースとなる開発技術「Visual Basic .NET」のサポート期限が迫るなど、システムを維持することが困難になりつつありました。
そのほか、運用面での非効率性も課題となっていました。運用期間が長くなるにつれ機能の継ぎ足しが重なり、システム設計は複雑化・属人化。法改正などでシステム改修が必要になっても迅速に対応することが難しい状況に陥っていたのです。システムごとにマスターデータが分断されていたことで、マスター登録の手作業の負荷が大きくなり、さらに派生アプリケーションが乱立したことで業務プロセスの煩雑化も招いていました。
そこで、これらの課題を根本から解決するため、変化に強い柔軟な「Webアプリケーション」への再設計と、統合データベースを用いたマスターの一元管理、そして派生アプリケーションの統合による「業務のシンプル化」を目指すことを決断しました。同時に、これまでアプリケーションの操作に慣れた現場のユーザーのために、「操作性を変えない、あるいは今よりも使いやすくする」ことをWeb上で再現することにこだわりました。
選定理由
システムをアップデートし続けるために、
OutSystemsによるローコード開発を採用
今回のシステムの刷新において、開発手法そのものから見直し、ローコード開発を採用しました。これは、今回のプロジェクトを単なる、いちアプリケーションの刷新ではなく、システム運用の複雑化・属人化といった課題を繰り返さないための「システム開発の標準基盤の選定」という位置づけにしたかったからです。そのため、ゼロからコードを書いて開発するスクラッチ開発を極力減らして開発スピードと保守性を高めるためには、この手法が最も適していると考えました。
そして、数あるローコードツールの中から「OutSystems」を選んだのにも、明確な理由があります。まずは、世界中の大規模システム構築で培われた圧倒的な実績と信頼性があること。それに加え、Web APIや外部データベース、サービス連携などが非常にスムーズで、マスターデータの分断を解消する「マスター一元化」の要件に合致していることも、大きな魅力でした。
さらに、業務要件への柔軟な対応力も高く評価したポイントです。海外向けのインボイスや英語帳票といった、複雑なエンタープライズ要件にも対応できる表現力の高さは、われわれのニーズに合うと考えました。
その開発パートナーとして、複数社の中から選定したのがSky株式会社です。決め手となったのは、圧倒的な技術力に裏づけられた安心感と誠実な対応です。OutSystemsに精通したテックリーダーがプロジェクトに参画してくれる心強さに加え、価格交渉をお願いした際にも、営業担当の方が契約形態の調整を含め、予算に寄り添い柔軟に対応してくれました。また、われわれが重視していた「使いやすさ」に対して、UI / UX専門のデザイナーが伴走する提案をいただいたことも、当社のニーズに合致する大きな要因でした。
効果1
アプリケーションを一つのWebシステムに「統合」。
法改正による“急な改修”も1か月で対応可能に
Sky株式会社と共に、OutSystemsを活用したローコードで開発を進め、これまでバラバラに存在していた派生アプリケーションは、「一つのWebアプリケーション」として統合されました。これにより、ユーザーは業務ごとにアプリケーションを切り替える必要がなくなり、関連する作業を一つのシステム上で完結させられるようになりました。
また、AWS上に新たに「統合データベース」を構築したことで、これまで分断されていた受注・売上データや経費、予算といった会計データを一元管理できる土台が完成しました。こうしてシステムの保守性が高まったことで、変化に対するスピードも向上したと感じています。
具体的にその効果が表れたのが、「中小受託取引適正化法(取適法)」の改正への対応です。注文書に法律で定められた新たな項目を追加する必要があり、施行まで1か月という短期間で対応を迫られました。要件が固まりきっていない状況でしたが、Sky株式会社と密に連携。OutSystemsの柔軟性と、Sky株式会社の迅速な保守体制のおかげで、期限内に改修を完了できました。
また、選定理由の一つであったUI / UXの品質についても、デザイナーが伴走してくれた効果を大きく実感しています。単に画面を見やすく整えるだけでなく、実際の利用環境や旧システムを踏まえながら改善提案をいただけたため、われわれだけでは気付きにくい観点を取り入れることができました。ユーザーが使用するディスプレイ環境を考慮したフォントサイズの調整など、細かな部分まで配慮いただいたことで、現場で使いやすいシステムの実現につながったと感じています。
効果2
技術サポートで「内製化」への一歩を踏み出す。
作り手の“癖”が出ないローコードの強みを実感
今回のプロジェクトでは、旧システムが抱えていた属人化といった課題への反省から、「外部ベンダーに丸投げする」という選択肢は取りませんでした。開発の初期段階からわれわれも参画することで、社内に設計思想や開発ナレッジを蓄積し、リリース後も自律的にシステムを内製化できる体制を築きたいと考えていたからです。
とはいえ、われわれのチームは開発経験が豊富なメンバーばかりではありません。OutSystemsに触れるのも初めてで、当初は手探りの状態からのスタートでした。そのようななか、Sky株式会社は、トレーニング動画の紹介をはじめ、開発を円滑に進めるためのガイドラインや標準テンプレートの提供など、手厚い技術サポートをしてくれました。また、定例の打ち合わせでは、初歩的な質問にも丁寧に回答していただき、疑問点をその場で解消しながら開発を進めることができました。結果として、メンバーの理解を深めながら、手戻りを最小限に抑えたスムーズな開発につながったと感じています。
実際にOutSystemsに触れるなかで、ローコード開発の大きなメリットを実感しました。スクラッチ開発では、どうしてもプログラマーの“癖”がコードに出てしまい、第三者が見ると解読が難しいという問題が起こりがちでした。しかし、OutSystemsはある程度「型」が決まっているため、作り手の“癖”が出にくい。この「作り手を選ばない」という特徴が、長い目で見たときの保守性を高める上でメリットだと感じています。
こうしたSky株式会社の手厚いサポートと、OutSystemsの強みを生かし、具体的な内製化の成果も生まれています。社内運用の変更に伴い、「在庫申請のために、直近1年間の在庫推移のグラフが必要」という要望が挙がった際、担当者がわずか数時間でグラフ画面を作成し、リリースすることができました。さらに、仕入れ先から届いた見積書を読み取り、自動で当社フォーマットの見積書に出力し直せるOCR(光学文字認識)機能まで内製化。現場の要望に対して、スピード感を持って応えられるようになりました。
展望
今回の刷新はデータ活用戦略の“第一歩”。
経営の意思決定を支える「基盤」へ
今回の刷新は、単に古いアプリケーションを置き換えるだけにとどまらず、当社の準基幹システムとしての土台を築く、重要なプロジェクトでした。これを起点として、今後は社内に点在するデータを本システムに一元的に集約し、経営の意思決定にも資する「全社のデータ基盤」として、段階的に育てていきたいと考えています。
その第一歩として、現在検討しているのが、CRM(顧客管理システム)との連携です。まずは刷新したWebシステムとCRMをつなぎ、「顧客マスター」を統一することで、今後のデータ分析の強力な基盤になると考えています。
さらに、OutSystemsの活用範囲を将来的に広げていく構想も持っています。例えば、基幹システムであるSAPとの連携強化です。現在、SAP標準の入力画面を利用していますが、操作性に課題があるだけでなく、利用ライセンスのコストも大きな負担になっています。そのため、ユーザーが直感的に使える「入力画面」をOutSystemsで開発し、SAP本体と安全にデータ連携させるという構想も、いずれは実現していきたいと考えています。
システムの刷新において、Sky株式会社には開発段階から深く携わっていただき、当社のシステム背景や業務を深く理解してもらっています。その強みを生かし、システムの保守・運用はもちろん、今後の拡張機能の開発など、本システムに関連して発生する課題に対しても、強固なパートナーとして伴走してもらえることを期待しています。
柔軟なカスタマイズが可能なローコード開発プラットフォーム「OutSystems」と、Sky株式会社のローコード開発やフルスクラッチ開発の豊富な知見を掛け合わせ、お客様のシステム開発をご支援します。
OutSystemsソリューション