Webアプリケーションとは? 仕組みやWebサイトとの違いを解説

更新:2024.4.16
著者:Sky株式会社


Webアプリケーションとは

Webアプリケーションとは、Webの仕組みを活用したアプリケーションソフトウェアのことです。手元の端末にダウンロードする必要がなく、ネットワークを経由してWebブラウザ上で動作します。ブログなどの一般的なWebサイトとは異なり、動画の視聴や商品購入などが行える高度な機能を持ち、ユーザーとサービス提供者との双方向のやりとりが可能です。また、各種SNSのブラウザ版やECサイトなど、幅広い分野で利用されています。

Webサイトとの違いとは

WebアプリとWebサイトの最大の違いは「双方向のコミュニケーションの有無」にあります。

Webサイトは複数のWebページの組み合わせで構成されており、文章や画像で表現された情報の「一方的な伝達」を主な目的としています。一方でWebアプリには、コメントの投稿や個人情報の登録、音声の入出力といった多彩な機能が備えられ、ユーザーと情報提供者との間で「双方向のやりとり」が発生することが特徴です。

ただし、両者の間の線引きはそれほど厳密ではなく、たとえメッセージ機能や検索機能を備えていても、情報の発信を主体とするブログやコーポレートサイトなどはWebサイトに分類できます。他方、サイト内検索した情報に基づいて商品を購入するECサイトや、利用者登録をして職務経歴書を送る転職サイトなどはWebアプリであるといえます。

Webアプリの仕組みとは

さまざまな機能を実現するWebアプリがどのように動いているのか、その仕組みの概要をご説明します。

Webアプリは、ユーザーが見て操作できる「クライアントサイド(フロントエンド)」、ユーザーには見えない裏側の「サーバーサイド(バックエンド)」、情報を管理する「データベース」の3つの要素で構成されており、各領域のプログラムを連携させることで成り立っています。

例えば、転職サービスのWebアプリで「転職先の候補」を探す場合を想定すると、Webアプリは以下のような流れで動きます。

  1. ユーザーがWebアプリ内で「希望条件」を指定し検索
  2. Webアプリがサーバーへ「希望条件を満たす企業の情報提供」を依頼
  3. サーバーがデータベースから「希望条件を満たす企業のデータ」を抽出
  4. サーバーがWebアプリへ「希望条件を満たす企業の情報」を提供
  5. Webアプリがユーザーへ「希望条件を満たす企業の情報」を表示

このように、ユーザーからのリクエストに応じて、サーバーが適切な情報を添えて生成したWebページを返すのが基本的な流れです。ユーザーはすべてのやりとりをWeb上だけで完結することができます。

Webアプリの開発言語

Webアプリの開発には、クライアントサイド、サーバーサイド、データベースのそれぞれで動作するプログラムが必要であり、用いられる開発言語も大きく異なります。

クライアントサイドは、Webアプリにアクセスした際にユーザー自身が直接操作できる部分のことです。開発言語には基本的に、HTML、CSS、JavaScriptが用いられます。

サーバーサイドは、ユーザーが直接操作できない部分です。クライアントサイドでユーザーが入力した内容に基づき、適切なデータを処理して結果を返す役割を持ちます。開発言語は、PHP、Ruby、Pythonなどがよく使われます。

データベースは、使いやすく整理されたデータの集合体のことです。形式やルールを定めて一元管理することで、種類や量が豊富なデータであっても、ユーザーの要求に応じて正確かつスムーズな活用が可能です。データベースの操作には、データベース言語のSQLが主に用いられます。

クライアントサイド=フロントエンド

クライアントサイド(フロントエンド)では、ユーザーのWebブラウザ上で機能する以下の3言語が主に使用されます。

HTML

HTMLは、Webページの構造や装飾の骨組みを作るために用いられる「マークアップ言語」です。テキストや表の配置、見出しの種類の指定、リンクや画像の埋め込みなどを実現する役割を果たします。

CSS

CSSは、フォントやレイアウトなど、Webページのデザインに関する情報を決める「スタイルシート言語」です。HTMLと組み合わせて用いることで、ベースとなるデザインを一気に変更することが可能です。Webページの見栄えを整えるために必須の言語といえます。

JavaScript

JavaScriptは、アニメーションやボタン処理など、Webページに動きをつけるためのプログラミング言語です。例えば、画像のスライドショーやポップアップ表示、入力フォームなどを実現できます。サーバーとのやりとりも担います。

サーバーサイド=バックエンド

サーバーサイド(バックエンド)では、サーバー上で動作する言語がいずれか一つは必要です。主要な言語を4つご紹介します。

PHP

PHPは、動的なWebサイト、Webアプリケーションのサーバーサイド開発に特化したプログラミング言語です。データベース連携が容易で初心者にも理解しやすい一方、大規模で複雑な開発には不向きであるとされています。

Ruby

Rubyは1995年に開発された日本発のプログラミング言語で、Web開発を得意としています。Webアプリケーションのフレームワークである「Ruby on Rails」は、ECサイトの構築などの用途で、さまざまな有名サービスに活用されています。

Python

Pythonは、Web開発やデータ分析など、多くの分野に活用されているプログラミング言語です。コードがシンプルで読み取りやすく、初心者でも学びやすいほか、開発をサポートするフレームワーク・ライブラリが充実しており、人工知能や機械学習の分野でも人気です。

JavaScript

クライアントサイドだけでなく、バックエンドの開発でもJavaScriptは使用されます。そのためサーバーサイド言語の学習コストを抑えられるほか、小規模でのリアルタイム処理が得意なため、スマートフォンのゲームやライブ配信にも利用されています。

データベース

データベースの管理や操作を行うときには「データベース言語」を使用します。データベース言語は、データを管理してユーザーが指定した条件に合致するものを見つけ出すためのシンプルな言語で、基本的にそれ以外の用途には使用できません。そのため、ほかのプログラミング言語とは文法や仕様がまったく異なります。

データベース言語の中でも、世界的に最も普及している言語がSQLです。ISO(国際標準化機構)で標準規格として採用されており、オープンソースとして無料公開もされています。SQLは、データを表形式で管理する特徴を持つリレーショナル型のデータベース管理システム(RDBMS)に使用できます。

データベースにはリレーショナル型のほかにも、階層型やネットワーク型などの種類がありますが、現在はリレーショナル型が主流となっています。そのためSQLを理解することによって、世界で最も普及しているMySQLをはじめ、Microsoft SQLやPostgreSQL、Oracle Databaseなど、大半のRDBMSを利用することが可能です。

Webアプリの開発手順

Webアプリの開発は、どのようなWebアプリにしたいのかを企画・設計するところから始まります。そして、これら企画や設計を実際にWebアプリとして形にする際に必要になるのが、クライアントサイド、サーバーサイド、データベースの開発です。ここでは、それぞれの開発手順について簡単にご紹介します。

クライアントサイドのアプリ開発

クライアントサイドのアプリ開発は、適切な情報をわかりやすいかたちでユーザーに届けるために、Webアプリの見た目を整えつつ操作感を向上させることを目的としています。ユーザー自身が実際に操作する領域のため、Webアプリがユーザーに支持されるかどうかはクライアントサイドの完成度によって決まる、と言っても過言ではありません。

また、クライアントサイドのアプリ開発には、Webアプリ全体の装飾はもちろん、使用時の挙動の確認も含まれます。ユーザーの満足度を高めるためには、ボタンの色づかいや各種ナビゲーションの配置から、入力フォームの仕様といった細部のUI設計に至るまで、緻密にデザインしていくことが大切です。

加えて、ブラウザの互換性も無視できません。開発者はユーザーが使用するWebブラウザを選ぶことはできないため、可能な限り多くのブラウザで同じようにWebアプリが機能するかを確認しておく必要があります。最低限、代表的なWebブラウザであるGoogle Chrome、Microsoft Edge、Mozilla Firefox、Safariでの挙動の確認は必要だといえます。

サーバーサイドのアプリ開発

サーバーサイドのアプリ開発の目的は、ユーザーごとに仕立てられた情報を効率的に提供することで、個々のユーザーにとってのアプリの使い勝手を向上させることです。例えばECサイトのようなWebアプリでは、サーバーサイドで実装した機能によって、購入履歴に基づいて商品を薦めたり、商品を再購入する手順を簡略化したりできます。ユーザビリティの高いWebアプリの開発において、サーバーサイドの果たす役割は大きいといえます。

ただし、サーバーサイドアプリの高度な機能を一から実装することは非常に困難なため、開発時には「Webアプリケーションフレームワーク」を使用するのが一般的です。これは、開発時に頻繁に必要とされる関数やオブジェクト、コード構造などを集めた「作業を効率化するための枠組み」を指します。Django(Python)、Ruby on Rails(Ruby)、Laravel(PHP)などが該当します。

Webフレームワークで実現できるサーバーサイドの機能としては、Webページ移動時に一時的なデータや認証情報を保持できる「セッション管理」や、データベースへのアクセスなど、重要な機能が挙げられます。

データベース

ユーザーが求める情報を提供するために、多種多様なデータを必要とするWebアプリでは、膨大な数のデータを扱いやすいかたちで管理するためのデータベースが必要不可欠です。データ管理のしやすさやデータの保存容量はWebアプリの品質に直結するため、データベースの構築は重要な工程といえます。

データベース開発において、最初にすべきことは要件定義です。データベースの目的や管理すべき情報を洗い出し「どのようなデータをどう管理したいのか」を決めていきます。一般的に、データベースの構築にはMySQLやOracle Databaseなどのデータベース管理システムが必要ですが、単にこれらのシステムを導入するだけでは効果的なデータ運用はできません。

アプリを利用するユーザー数はどの程度なのか、データを種類ごとに規則正しく保存する「テーブル」にはどのような項目を設けるべきなのかなど、綿密に設計を考えておくことが、データベースを効果的に活用したWebアプリを開発するための重要なポイントとなります。

まとめ

今回はWebアプリケーションについて、動作する仕組みや開発言語、開発手順の概要をご紹介しました。ビジネスでの活用が拡大するにつれ、一般消費者向けに留まらず、今後も多くの需要が見込まれる分野といえます。その一方で、開発には膨大な知識やスキルが必要であり、苦戦が強いられやすいことも事実です。

Sky株式会社では、従来型の開発手法だけでなく、近年注目されている新たな技術を利用した開発にも対応しています。例えば、ページ遷移をなくし、優れたUXを実現するSPA(シングルページアプリケーション)の導入も可能です。Webアプリの開発でお困りの際は、ぜひSky株式会社までお問い合わせください。

著者 Sky株式会社

Sky株式会社は、家電のシステム開発を手掛けたのをきっかけに、デジタル複合機やカーエレクトロニクス、モバイル、情報家電、さらに自社商品として教育分野における学習活動ソフトウェアや、公共・民間向けクライアント運用管理ソフトウェアなど、幅広い分野でのシステム開発を展開しております。

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