CASEとは? 注目される自動車業界の今後の動向

更新:2024.4.16
著者:Sky株式会社


CASEとは

CASEとは、今後の自動車業界の潮流を大きく左右する4つのキーワード「Connected(コネクテッド)」「Autonomous(自動運転)」「Shared & Services(シェア&サービス)」「Electric(電動化)」の頭文字を組み合わせた造語のことです。現在の自動車業界は100年に一度の大変革期にあるといわれており、CASEの実現により、生活の利便性が向上だけでなく、地球温暖化をはじめとするさまざまな社会問題の解決が期待できます。特に電動車市場は、今後急速に発展すると考えられており、各企業で開発が日々行われています。

出典:HV、PHV、EVの世界市場を調査|富士経済

CASEの業界動向とは

今後の自動車業界においてカギとなるCASEにおいて、すでに世界各国でさまざまな技術開発が行われています。「Electric(電動化)」の領域ではヨーロッパと中国が、「Autonomous(自動運転)」の領域では日本やアメリカが、他国に比べて先行している状況です。

しかし、CASEは自動車業界のみで実現することは難しく、IT業界やAI業界との連携が必要不可欠です。現にGoogleなどの名だたるIT企業が開発に参入しています。またCASEは、それぞれの領域が個別に開発を進めるだけではなく、各領域を組み合わせて相乗効果を発揮することで、より新たな事業やサービスの可能性を広げることが可能です。このことからもCASEは自動車業界だけではなく、さまざまな業界に影響を及ぼすことが考えられます。

以下で、各分野においての業界動向について詳しくご紹介します。

Connectedの業界動向

接続を意味するConnectedは、自動車に通信技術を取り入れることを指します。通信技術によって、車両の状態や周囲の道路状況などを細かく分析し、新たな価値を搭載した自動車の生産が可能です。例えば、事故の際に自動的にコールセンターへ通報するシステムや、盗難車両を追跡できるサービスなどが挙げられます。すでに自動車のコネクテッド化は標準化される流れにあり、国内においてはトヨタ自動車が2018年6月にコネクテッドサービスの「T-Connect」をスタートしています。

コネクテッドカーには高度な通信技術が求められるため、国内の通信大手企業はもちろんのこと、米マイクロソフトなどの海外企業もコネクテッドカーの開発に参入しています。また、自動運転が実現すれば、車内での自由な時間が増えることから映画やゲームのようなエンターテインメントサービスの展開も予想されており、今後ますますコネクテッドカーの開発に携わる業界が増える見込みです。

Autonomousの業界動向

自動化を意味するAutonomousは、AIなどを活用した自動運転技術に関する領域のことを表しています。自動運転技術は0から5までのレベルに分類することができ、世界的にみると、2024年1月時点では市販車でレベル3、バスやタクシーでレベル4が実現しており、アメリカやフランスの自動車メーカーが、業界をリードしています。

また、Connected同様、世界の名だたる企業が自動運転領域に参入しています。特にIT企業の参入が顕著で、Googleをはじめ、Intelもイスラエル企業を買収し、自動運転タクシーの展開を目指しています。日本においては、ソフトバンクグループなどがスタートアップ企業やベンチャー企業に投資している状況です。

出典:自動運転のレベル分けについて|国土交通省

Shared & Servicesの業界動向

カーシェアリングの概念を表すShared & Servicesは、サブスクリプションサービスで特に注目を集めています。近年、モノを所有するよりも、体験することにお金を払うという動きが強まっており、自動車業界においても同じ動きがみられます。

以前は車を所有することがステータスだという風潮がありましたが、高額な購入費用や維持費が必要になることなどから、今ではその価値観も薄れつつあります。そんななか、必要なときだけ自動車を利用でき、定額かつ安価で契約できるカーシェアリングの市場が伸びてきています。

また、タクシー業界においても、タクシーの配車サービス事業で各企業が激しい競争を繰り広げ、配車サービスの拡大を図っている状況です。

Electricの業界動向

電動化を意味するElectricは、電気自動車(EV車)やハイブリッド車によりCO2を削減し、自動車が環境に与える影響を抑えていくことを指します。石油燃料を使用せず電力を動力源とするEV車は、走行時にCO2を排出しません。EV車やハイブリッド車の普及は、SDGsの代表的な取り組みの一つとして掲げられています。

最初はヨーロッパで熱が高まったEVですが、現在ではアメリカや中国など、世界各地にその動きが波及しています。中でもアメリカのテスラ社は、EV事業において圧倒的な存在感を示しています。また、EV車には電力をためるための電池が必要であることから、燃料電池供給会社においても、EVの発展に合わせた業績の向上に期待ができます。ほかにも中国がアメリカと肩を並べるほどの著しい成長を見せるなど、今後も世界のEV事業の動きからは目が離せません。

CASEが注目されている理由とは

CASEが注目されるようになった理由として、「温室効果ガスによる地球温暖化」「少子高齢化による経済の伸び悩み」「高齢者ドライバーによる事故の増加」など、社会的な問題が挙げられます。特に温室効果ガスの削減に関しては、日本のみならず世界的な命題として掲げられています。

また、企業が新しいビジネスチャンスを獲得するために、CASEに取り組んでいるという側面もあります。レベル5の自動運転車や、より高性能なEV車などを他社に先駆けて開発することは、今後の企業の業績を大きく伸長させる可能性を秘めているからです。このことからもCASEを推し進める流れは、今後より一層強くなっていくことが予見されます。

外国企業との競争激化

CASEという新しい市場のシェアをいち早く獲得するため、企業間競争が国際的に激化していることも、CASEが注目されている理由の一つです。外国企業が自動運転やEV車の開発に力を入れているなか、国内企業もその競争に取り残されないようにする必要があります。

自動車業界においてイノベーションが強く期待されているCASEは、自動車技術だけではなく、通信技術やAI技術なども大きく関係します。そのため、これまで自動車業界との関わりが薄かった企業にも新たに参入できる可能性が芽生えたことで、さらに注目度を高めています。

各企業から世界的に注目されているCASEですが、その概念はとても大きく、1つの企業でCASEを実現することは不可能に近いです。外国企業との競争に取り残されないためにも、国内企業がときには協調して開発を進めていくことが求められているといわれています。

CO2排出量の問題

CO2排出量の問題が深刻化していることもCASEが注目されている大きな理由です。東京都の環境局が公開している資料によると、東京都のCO2排出量のうち、運輸部門からの排出は16.5%、さらにその運輸部門の内の78%が自動車から排出されたものでした。CO2の排出量削減において、CASEの実現が非常に重要であることがわかります。

出典:交通機関の種類とCO2排出量|東京都 環境局

まとめ

CASEとは、「Connected(コネクテッド)」「Autonomous(自動運転)」「Shared & Services(シェア&サービス)」「Electric(電動化)」という、4つのキーワードの頭文字を組み合わせた自動車業界において注目されているキーワードです。地球温暖化などの昨今の社会問題を解決するため、またいち早く新しい市場のシェアを獲得するため、日々世界中の企業がCASEの実現に取り組んでいます。

CASEの各領域は、いずれも大規模化、複雑化、高機能化しており、常に新しい技術要素や開発手法が取り入れられています。そして、たとえ新技術であったとしても、CASEの実現には高品質な車載ソフトウェアの開発が求められます。Sky株式会社はこの難しい要求にお応えするため、今後のモビリティに必要となるさまざまな技術要素を活用した開発をサポートしています。CASEのソフトウェア開発でお困りの場合は、ぜひSky株式会社までお声がけください。

著者 Sky株式会社

Sky株式会社は、家電のシステム開発を手掛けたのをきっかけに、デジタル複合機やカーエレクトロニクス、モバイル、情報家電、さらに自社商品として教育分野における学習活動ソフトウェアや、公共・民間向けクライアント運用管理ソフトウェアなど、幅広い分野でのシステム開発を展開しております。

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