構築したWindows Serverを用いたファイルサーバーの技術第5弾でございます。
前回の記事
今回構築したファイルサーバーはいろいろな技術を使って成り立っていますので、1つ1つ紹介させていただきます。
連載予定は以下のとおりで、今回は⑤を紹介いたします。
連載予定
①:フェールオーバークラスター
②:クラスター共有ボリューム
③:記憶域スペース
④:記憶域スペースダイレクト
⑤:入れ子になったミラー加速パリティ 【今回の記事】
⑥:データ重複除去
⑦:シャドウコピー
⑧:BitLockerの解除キー(ADとリカバリキー)
番外編:DFS名前空間
⑤入れ子になったミラー加速パリティ
名前だけ見るとなんのことかさっぱりですね。
記憶域スペースダイレクトでの
- 回復性(どれだけ障害が起きても大丈夫か)
- 容量効率(物理的に用意したHDDの容量から、実際にデータを格納できるサイズはどれだけか)
- パフォーマンス(書き込み時の速度が遅くないか)
について、順を追って一緒に考えていきましょう。
1.双方向ミラーリング
記憶域スペースダイレクトにて、仮想ディスクをそのまま作成すると、以下のような、サーバーをまたいだミラー構成となります。
つまり、システムとしては同じデータは2つ(台数による)保持しているけどサーバー内では同じデータは1つだけ保持している状態です。
この構成は「1台のサーバー障害、または1台のドライブ障害」まではデータが破損することはありません。
しかし、以下のパターンではデータが破損してしまいます。
・「1台のサーバー障害+1台ドライブ障害」
・「それぞれのサーバーで1台のドライブ障害」
2台構成だと、1台をメンテナンスで停止中に、もう1台のサーバーでドライブ障害が起きてしまうとデータが破損します。
心配ですよね。
そこで賢い人達は考えました。
「各サーバー内に同じデータを2個(複数)持てばええやん」
・入れ子の双方向ミラーリング
「1台のサーバー障害+1台ドライブ障害」 「それぞれのサーバーで1台のドライブ障害」
どちらの障害でもデータの破損がありません!!やった!!!
しかも読み取りも4か所に分散されるので早い!
しかし、よく考えてみると、全部で40TB(1台につき20TB)もHDD用意したのに、実際に使えるのは1/4の10TB(25%)です。
容量効率がとても悪いです。
賢い人達はもっと考えました。
容量効率と言えばRAID5だよね。これを各サーバーで行えれば、、、!?!?!?!?!?
RAID5+1+1構成にすればいいんじゃないか!!
・入れ子のパリティ
これで、容量効率の問題も解決だ!!!
あれ?なんか書き込みが遅いぞ、、、、???
そうです、
パリティ(RAID5的な)構成は、書き込み時にパリティ計算が入るため書き込みパフォーマンスが悪くなりがちです。
回復性・容量効率・書き込みパフォーマンス すべてを解決する方法はないのか!?
「入れ子のミラーリング」は回復性・書き込みパフォーマンスが優れていて
「入れ子のパリティ」は回復性・容量効率性に優れていて、、、
賢い人達は寝る間も惜しんで考えました。
組み合わせて良いとこどりしたらいいのでは?
・入れ子のミラーリングによって高速化されたパリティ
書き込むときは「ミラー」部分に書き込んでパフォーマンスを確保しいっぱいになってきたら、使ってなさそうなデータから「ミラー」から「パリティ」に移動します。移動はバックグラウンドで行われるので、多少遅くてもユーザーには影響ありません。
これで、回復性・容量効率・書き込みパフォーマンスのどれも犠牲にすることなく良い感じのものができました。
「ミラー」「パリティ」の割合は作成時に決めることができますので 「パリティ」の割合を大きくすればするほど「容量効率」が良くなります。
同時に書き込む最大サイズほどの容量を「ミラー」で確保しておけばあとは「パリティ」にしてしまえますので、とても効率的です。
と、今まで書いてきたことのすべてはここに記載されております。
- 今回構築したファイルサーバーでは以下のような形になっています。
- 「全体」:40.0TB(使用容量:106.0TB:容量効率[37.74%])
- 「ミラー」:4.0TB(使用容量:16.0TB:容量効率[25%])
- 「パリティ」:38.1 TB(使用容量:95.0TB:容量効率[40%])
※サーバー2台構成で1台につき8TBHDD:8個がついている構成でパリティはHDD5台で構築
これに加えて、余っていたSSDを読み取りキャッシュとして追加していますので来る際にさらに高速化されている、、、はずです。
じつは、この「ミラー高速パリティ」ですが単体のサーバーでも構築できますので、普通のファイルサーバーなどでも活用できる技術なのです。
というところで、今回はここまでです。
今年最後の記事となりますが、記事を読んでいただき誠にありがとうございます。
来年のSky Tech Blogにぜひご期待ください。
ありがとうございました。