構築したWindows Serverを用いたファイルサーバーの技術の第2弾でございます。
前回の記事
今回構築したファイルサーバーはいろいろな技術を使って成り立っていますので、1つ1つ紹介させていただきます。 連載予定は以下のとおりで、今回は②を紹介いたします。
連載予定
①:フェールオーバークラスター
②:クラスター共有ボリューム【今回の記事】
③:記憶域スペース
④:記憶域スペースダイレクト
⑤:入れ子になったミラー加速パリティ
⑥:データ重複除去
⑦:シャドウコピー
⑧:BitLockerの解除キー(ADとリカバリキー)
番外編:DFS名前空間
②クラスター共有ボリューム
前回はフェールオーバークラスターの説明で1台サーバーが故障しても、もう1台に切り変えて動作を継続するという説明をさせていただきました。
その中で出てきた「共有ディスク」ですが、「共有」と名前がついていても、実際にアクセスできる(ドライブとしてマウントされる)マシンは1台だけなので、マウントされていないその他のサーバーはアクセスできません。
そこで登場したのが
クラスター共有ボリューム
です。
簡単に言うと、複数のマシンから同時アクセス可能なボリューム(フォルダ)となります。
どうやって実現しているの?
ということで、詳しい内容はこちらのMicrosoftのページに記載がございました。
私の理解した範囲で説明いたします。
実は裏では「所有者」という概念がありまして、メタデータ(実際のファイルデータ以外のデータ)は「所有者」のサーバーが必ずアクセスするようになっています。
その他のサーバーは「所有者」のサーバーに問い合わせる形になります。
ただし、メタデータ以外(実際のファイルデータ)は違います。データ量が大きいものもありますので、こちらは処理を行うサーバーが「直接」書き込みを行います。
※メタデータ(おそらくファイルの排他などもここがつかさどる)さえ整合性がとれていればファイルデータ部分は安全なんだと思います。
そのほかにも、サーバーとディスク間の障害時には別のサーバーがディスクへのアクセスを肩代わりする機構などがあり 障害に強いという特徴もあります。
「クラスター共有ボリューム」は大きくは以下の目的で使用されます。
※仮想環境(Hyper-V)やMicrosoft SQL Serverで威力を発揮
-
使用ディスク容量の効率化
所有権がないので、仮想マシン毎にボリュームを細かく分けて、分散する必要がなくボリュームを分けないことにより、空き容量が1つの領域に集約されるのでより効率的にディスクを使用することができます。 -
ライブマイグレーションの高速化
ドライブの所有権の移動(アンマウント→マウント)がないので、その分マイグレーション(ノード間の移動)の時間が短くなります。 -
ネットワーク障害により強く(高可用性)
1つのサーバーからクラスター共有ボリュームへ接続ができない障害がおきても別のサーバー経由でクラスター共有ボリュームへの書き込みや読み込みが継続されるため共有ディスクへのネットワーク接続の障害に強くなります。
と、ここまで説明しておいてなんですが
今回構築したファイルサーバーでは「クラスター共有ボリューム」を使用しておりません。
これを使うことで、同時に2台が受付可能になって、負荷分散もできたのですが
「ボリュームシャドウコピー」
「データ重複除去」
の2つの機能が「クラスター共有ボリューム」では使えないことが決め手でした。
※この2つの機能の説明は後ほどの記事で
次回は「記憶域スペース」の説明をしようと思います。