2023年上半期IT業界の最新トレンドキーワードとは?(前編)
近年、ビジネスシーンにおいてもクラウドの利用が一般化し、DX推進が加速、AIの急速な発達など、身近な場面においてもITの進化を実感することが増えています。そんななか、最先端のソフトウェアやソリューションの開発に携わるSky株式会社は何に注目しているのか。2023年上半期を振り返り、開発や評価 / 検証のエンジニアがピックアップした最新トレンドキーワードを2回に分けてご紹介。今回は前編として、ビジネスソリューションの分野で注目しているキーワードをご紹介したいと思います。
1. クラウドネイティブ・エッジコンピューティング・IoT
初めからクラウド環境上で運用することを前提としてシステム開発を行う「クラウドネイティブ」や、ユーザーや端末に近い場所でデータ処理・分析などを行う「エッジコンピューティング」。さらに、あらゆるモノがインターネットを通じてサーバーやクラウドサービスに接続される「IoT」といった技術によって、データ分析やアプリケーション配信、リアルタイム応答が可能になります。これらは企業がより柔軟かつ効率的にビジネスプロセスを実行するために、ますます重要性が高まっています。
2. ヒューマンエクスペリエンス(HX)
「ヒューマンエクスペリエンス」とは、顧客はもちろん従業員など組織活動に関わるすべての“人”(ステークホルダー)の“体験価値”を重視するという考え方です。その一環として、顧客や従業員一人ひとりのニーズに合わせたUX(ユーザーエクスペリエンス)を提供することも求められます。この「HX」を実現するためAIによるパーソナライズや、VR、AR、自然言語処理といった技術を活用した新しいインタラクション手法の開発に注目が集まっています。
3. サイバーセキュリティとその信頼性
IoTの発達により、これまでは想定されていなかった機器も含めたあらゆるモノがネットワークに接続され、相互にデータ通信を行うようになりました。そうした環境の変化のなかで、ビジネスソリューションにおける「サイバーセキュリティ」とその信頼性の向上は、格段に重要度を増しています。特に、複雑化するリスクに対して機械学習による脅威の検出や、ブロックチェーン技術を用いたセキュリティの強化が注目されています。
4. エンタープライズアーキテクチャ(EA)
「エンタープライズアーキテクチャ」とは、組織全体のシステムを統一的にモデル化して最適化し、ビジネス上の課題をITの観点から解決するための手法です。ビジネス目標を達成するために必要な機能やプロセス、データの流れのほか運用管理なども含め、アプリケーションやシステムのアーキテクチャ(構造)を包括的に考え、それらを設計することで組織内のITシステムを効果的かつ効率的に運用することができます。
5. データマネジメント・データ分析
近年のIT化の進展に伴い、従来とは比較にならない多種多様なデータが取得できるようになっており、その大量のデータを資産として適切に管理して活用するための「データマネジメント」は、ビジネスにおける重要課題と考えられています。そのため、膨大なデータをAIや機械学習を用いて分析し、より効果的に活用することが求められており、AIによる自己修復データベースやデータ統合と可視化を実現する新たなツールの開発も期待されています。
6. AI TRiSM
「AI TRiSM」とは、「AI Trust, Risk and Security Management」の略で、AIの利用に伴うセキュリティやプライバシーなどに関するリスクへの対応を進め、信頼性を高める取り組みです。2022年、Gartner社の発表により認知が広がりました。同社の調査によると、AIによるプライバシー侵害やセキュリティ・インシデントを経験したことのある組織の割合は41%にも上り、今後AIを活用していく上で避けて通ることができない領域であり、AIの確実性、信頼性、セキュリティ、データ保護という新たな能力の獲得が求められています。
7. ゼロトラスト
「ゼロトラスト」とは、その言葉のとおり組織内外を問わず“何も信用しないこと”を前提としたセキュリティ対策の考え方です。従来のUTMやファイアウォール、ネットワーク分離などを用いた「境界型」とは異なり、利用者や機器をすべて正確に把握した上で常に監視・確認する仕組みを用います。2020年代に入り、政府も「ゼロトラスト」導入を具体的に検討し実証実験を重ねており、企業や各種団体においても導入が進んでいます。今後、さらなるクラウドサービスの進化、サイバー攻撃の増大によって、「ゼロトラスト」セキュリティの導入が加速することが予測されています。
8. ローコード・ノーコード
「ローコード」「ノーコード」とは、プログラミングに関する高度な知識がなくても、業務用アプリケーションなどが制作できるツールや開発手法で、システム開発や運用、メンテナンスにかかるコストを軽減できます。現在、多くの企業や団体がDXを推進するなか、専門知識を持ついわゆる“IT人材”の不足が深刻な課題となっている状況もあり、「ローコード」「ノーコード」に注目が集まっています。
9. そのほかの注目ポイント
5G技術の普及
5G技術がさらに普及することによって、高速・大容量・低遅延で安定した通信が可能となり、それらの特長を活用した新しいビジネスモデルやサービスが生まれることが期待されています。
AIのさらなる進化
AI技術がさらに進化することで、より高度で複雑な自動化や予測性を持つシステムが開発されることが予想されます。また、AI技術を活用した新しいサービスやプロダクトが登場する可能性もあります。
ブロックチェーンの拡大
データの破壊・改ざんが極めて困難で障害などにも強いブロックチェーン技術の活用が一般化していくことで、企業や団体などがより透明性・信頼性の高いビジネスプロセスを実現できるようになります。
AR / VRの普及
AR / VR技術が普及することにより、新たなエンターテインメントの創出や教育分野における活用の広がりなどが期待されます。ビジネス分野でも、製品やサービスのデザインや販売促進に活用されることが考えられます。
ビッグデータの活用
ビッグデータ技術がますます普及し、より効果的にデータを収集・分析できるようになれば、ビジネス上の課題解決に役立てられます。また、ビッグデータを活用した新たなサービスやプロダクトが開発される可能性もあります。
クロスプラットフォーム開発(Flutter)
Google社のモバイルアプリフレームワーク「Flutter」は、OSに依存しないレンダリングエンジンによってクロスプラットフォームのアプリ開発を容易にします。これによりビジネスシーンにおけるモバイルアプリの活用がさらに加速することが予測されます。
いかがでしたでしょうか。初めて知る言葉もあれば、どこかで聞いたことがある言葉や詳しくご存じの言葉もあったかもしれません。いずれにしても、ここに挙げたキーワードはSky株式会社が注力している各分野で重要な意味を持つ言葉です。ご興味があればぜひ詳しく調べてみてください。次回の後編では「プロダクトやサービスの開発に関する分野」で注目しているキーワードをご紹介します。ぜひ併せてお読みください。
後編記事はこちら
(2023年7月掲載)