テスト自動化とは? ツール導入のメリットや流れを徹底解説

更新:2024.3.8
著者:Sky株式会社


テスト自動化とは?

テスト自動化について解説し、ツール導入のメリット・デメリットや導入方法、Sky株式会社が提供するテスト自動化ツールについてご紹介します。

テスト自動化とは

テスト自動化とは、テスト自動化ツールやテストスクリプトを活用し、ソフトウェア評価におけるテストの実行や結果の確認といった、一連の工程を自動化することを指します。テスト自動化により手作業が大幅に削減され、全体の約50%を占めるテスト工程の効率化が見込めます。また、ソフトウェアに必要不可欠である継続的な保守・運用に費用を充てることも可能になり、品質維持に好影響をもたらします。

主な目的は時間とリソースの削減であり、定期的なスクリプトの実行により人為的ミスを減らすことが可能です。とはいえ、すべてのテストケースのシナリオを自動化するわけではありません。テスト自動化が向いているテストとそうでないテストが存在するため、手動テストも必要となります。可能な限り多くのテストを自動化し、人為的ミスが発生するリスクを減少させることで、より高品質なソフトウェアの開発につながります。

テスト自動化が推奨される背景

近年、テクノロジーの発展や消費者ニーズの多様化によって、ソフトウェア開発におけるビジネス環境は変わりつつあります。

かつては1年以上の長期間にわたるソフトウェア開発が一般的でしたが、市場の移り変わりが激化していることに伴い、現在では効率的に短期間でソフトウェア開発を行うことが求められています。迅速に優れた機能や新しいサービスを提供し続けることが企業にとって重要な課題となっており、システムの成長スピードを向上させつつ、過去にリリースした機能の品質を担保することも重要です。このようなビジネス環境の変化に対応するため、テスト自動化が注目されています。

ウォーターフォール型
アジャイル型

従来のウォーターフォール型の開発手法は、スケジュールやコストの面で計画どおりに開発を進められるという利点がある反面、柔軟性に欠けており、市場の変動が激しい現在では変化に対応することが困難です。そのため、小単位に区切って開発を行うことで、ニーズや不具合に素早く対応できるアジャイル型へと開発現場の主流が移り変わっています。

このような背景から、限られたリソースを有効活用し、短期間で低コストかつ高品質なソフトウェア開発を実現するために、テスト自動化が推奨されています。

テスト自動化のメリット

テスト自動化を導入し、作業の大部分をツールやスクリプトに置き換えることで、テストの実行時間や期間の短縮、人的リソースの節約、テストの正確性の向上が期待できます。また、テスト自体の費用対効果を高めることにもつながります。

ここでは、テスト自動化における以下の5つのメリットについてご紹介します。

  • 不具合の早期発見
  • 人的リソースの不足解消
  • 人為的ミスの減少
  • テスト時間の短縮
  • ソフトウェア品質の向上

不具合の早期発見

テスト自動化は手動テストに比べて精度が高く、高頻度で繰り返し実行できるため、早期に不具合や問題点を発見することが可能です。

自動テスト環境を構築することで、いつでもテストを繰り返し実行できるようになります。毎週や毎日という短い頻度でテストを行うことも可能になり、不具合などの早期発見につながります。例えばソフトウェア開発におけるプログラムは、タイプミスやif文などの条件分岐文に誤りが1つでもあると、最終的な動作に大きな影響を与えることがあります。このようなテストコードの不具合を早期に検知することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

テスト自動化によって、品質や開発効率の向上を実現するとともに、開発チームの負担軽減や、無駄な業務の削減につながることが期待されています。

人的リソースの不足解消

手動テストでは、人的リソースの不足によりテスト実行が困難になることが懸念されます。しかし、自動テストはシステムがコードに従い自動でテストを行うため、工数を大幅に削減し、効率的なテスト体制を構築できます。これにより、人的リソースがひっ迫している状況でもテスト実行が可能となります。

また、手動テストでは困難とされている大規模な性能テストや大量のデータを比較するテストなども、自動テストなら実施可能です。

自動化の導入は、人的リソースに依存せずにテストを正確に実施し、不具合などの発生を未然に防止するという大きなメリットをもたらします。

人為的ミスの減少

手動テストでは、人の目でソフトウェアの動作を確認しているため、作業量の増加に伴い不具合の見落としなど、人為的ミスが生じる可能性があります。一方、自動テストはシステムが正誤判断をするため、人為的ミスを未然に防ぐことができます。

自動テストと手動テストを比較すると、自動テストの方が正確かつ迅速にテストが実行でき、開発効率を向上させられます。

ただし、自動テストではコードに書かれている内容しかテストできないため、テスト自動化を適切に理解したうえで導入しなければ、デメリットにもつながります。詳しくはテスト自動化のデメリットにてご紹介します。

テスト時間の短縮

テスト自動化によって、手動テストでの判断や手作業に要していた時間を大きく削減し、高速かつ正確なテストを実施することが可能となります。

自動テストは、24時間いつでもテストを実行でき、手動テストでは不可能な速さでテストを行うことが可能です。実際、手動で年間約1,800時間かかっていたテストが、Sky株式会社のテスト自動化ツールを導入した結果、約300時間にまで短縮された事例もあります。

テスト実行の速度は、テストの内容や対象となる範囲、使用するツールによって異なるため、目的にあった成果が得られるかどうかについては、事前に見極める必要があります。詳しくはテスト自動化を導入する流れでご説明します。

ソフトウェア品質の向上

手動テストでソフトウェア全体の品質保証を行うには膨大な労力とコストが生じるため、品質保証の範囲を狭める手法がよく採用されています。しかし、範囲を狭めたことによって、テストが実行されていない機能が存在し、その部分がシステム障害につながってしまうケースもたびたび発生しています。

テスト自動化の環境を構築することで、ソフトウェア全体の品質保証をコスト面でも効率良く、継続的に実施することが可能となります。さらに、手動テストよりも低コストで品質を向上させられ、効率的な開発プロセスの実現や費用対効果の向上が期待できます。

テスト自動化のデメリット

テスト自動化はメリットが多い一方で、適切に理解したうえで導入しなければ以下のようなデメリットも発生します。

  • 手動テストよりも初期費用が高い
  • テストコードの運用・保守が必要
  • テストスコープ以外の品質保証ができない

テスト自動化で発生しやすいこれら3つのデメリットについて、詳細や対応策をご紹介します。

手動テストよりも初期費用が高い

テスト自動化を導入すればコストを激減させられるという認識は誤りです。テスト自動化が効果を発揮するのは「高速開発の現場に品質保証を適合させる」「見落としがちな領域を効率的に担保する」といった場合です。そのため、テスト自動化を導入している企業の多くは、テスト全体の約30%しか自動化をしていないのが現状です。

テスト自動化ツールに入力するテストコード作成の知識が必要であることや、ツール導入にコストがかかることなど、手動テストよりも初期段階でのコストが多くかかります。そのため、導入した結果として意図せずコストが肥大化してしまうことは珍しくなく、注意が必要です。

自動テストの利用頻度や導入目的を明確にし、総合的に見てテスト自動化が必要であるかを判断することで、コスト削減につなげられます。

テストコードの運用・保守が必要

テスト自動化の構築までの工程・体制よりも、運用・保守がテスト自動化においては重要となります。

テスト自動化は、成長し続けるソフトウェアの品質保証を効率的に行う手法であり、構築後も自動テストがアップデートされたときや、機能が追加されたときには、それに伴ってテストコードの修正が必要となります。

手動テストなら、実行時にテスト自体の誤りに気づく可能性が高いですが、自動テストはシステムが指示された作業を繰り返すだけで、指示内容が誤っていてもテストを継続してしまいます。誤ったテストコードのままテストを行ってしまった場合、見落としやトラブルが発生し、テスト自動化による業務効率化が実現できない可能性があります。

テスト自動化の環境構築後も、テスト自動化を実施する人的・時間的リソースを意識しておくことで、これらの問題に対応することが可能となります。

テストスコープ以外の品質保証ができない

自動テストでは、事前に設計されたテストコードに従ったテストしか行うことができません。

テスト画面のレイアウトが崩れていたり、仕様と異なる項目が表示されていたりというような、誰が見てもわかる明らかな不具合でも、自動テストの対象でない不具合は検出できません。このように、予期せぬトラブルがテストの途中で発生した場合、対応できない恐れがあります。

そのため、対策として事前に起こり得る不具合を予測し、それらが自動テストで確認できるようにテストコードを作成しておくことが重要です。

テスト自動化を導入する流れ

テスト自動化を導入する流れのイメージ

テスト自動化の導入にあたり検討すべきポイントは、優先順に以下のとおりです。

  • 目的
  • 対象・範囲
  • 使用するツール、ソフトウェア

どのポイントもテスト自動化の導入に必要不可欠です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

STEP1:目的を明確にする

なぜテスト自動化を導入するのか、目的を明確にし「テスト自動化でその目的を果たせるのか」を事前に検討することが、テスト自動化成功の重要なポイントです。

テスト自動化の主な目的は以下の4つです。

  • コストや工数の削減
  • 時間の有効活用
  • 人為的ミスの削減
  • 不具合の早期発見

また、目的によって検討すべき事項が異なります。例えばコスト削減を目的とした場合には、初期費用や保守費用を考慮し、求めているコストパフォーマンスが得られるかを検討する必要があります。このように、目的によって検討すべき事項が異なるため、まずは目的を明確化することが重要です。

STEP2:テスト対象と範囲を設定する

STEP1で明確化された目的に基づいて、テスト対象と範囲の設定を行います。

ここでは、テストの性質によって、自動化に向いているテストとそうでないテストが存在することに注意する必要があります。

向いているテストケース 向いていないテストケース
  • 回帰テスト
  • 手順が決まっている
  • ミスが起こりやすい
  • 変更が少ない
  • 実行機会が少ない
  • 手順が決まっていない
  • ユーザビリティの評価
  • 探索的テスト

例えば、ユーザビリティテストのような主観的要素を含むものや、一度しか行わないテストは、自動化に向いていません。一方で、手順が事前に決まっているものや、回帰テストのような繰り返し行うテストは、テスト自動化によって高い効果を得ることができます。

STEP3:実装ツールを決める

最後に、導入するツールについて検討します。対象システムやテスト内容、対象範囲により選定基準は異なります。導入コストやメンテナンスコスト、ランニングコストなどを踏まえ、コストパフォーマンスを考慮した選定が重要です。

継続的インテグレーションツールを使用している場合、そのツールがテスト自動化ツールと連携できるかどうかも重要な点となります。この点は、実際にツールを使用しないとわかりづらいですが、有償ツールの中にも体験版を提供しているものが多いため、目的に適合しているかどうかを確認するために試用することをお勧めします。

テスト自動化ならSky株式会社

事業内容

Sky株式会社は、品質にこだわったモノづくりを目指し、多岐にわたるシステムの品質保証業務に寄与しています。ソフトウェアの開発や検証業務で培った幅広い開発実績と技術力を基に、誰でも使いやすく、高機能なソフトウェアを提供するため、さらなる研究・開発に取り組んでいます。

テスト自動化ツール SKYATT

Sky株式会社では、25年以上にわたる評価/検証の実績を基に、テスト自動化によるメリットを最大限に引き出すことができる、テスト自動化ツール「SKYATT」を開発しました。「SKYATT」のテストコードは自然言語(日本語ベース)で構成されており、プログラミング等の専門知識をお持ちでない方にもご活用いただけるツールです。

「SKYATT」は事前準備の工数を最小限にすることでテスト自動化によるメリットを最大限に引き出し、ソフトウェア品質管理の課題解決を支援します。

「SKYATT」について詳しくはこちらをご覧ください

テスト自動化ツール SKYATT

導入事例①

パナソニック株式会社エレクトリックワークス社 様

パナソニック株式会社エレクトリックワークス社様は、ソフトウェアのアップデートにかかる工数の増加に悩まれていました。マルチプラットフォームに対応できる点を評価していただきSKYATTを導入。テストシナリオを流用することで、テスト自動化のネックであるシナリオ作成工数を約50%削減することに成功され、効率化や品質向上の導入効果を実感していただけました。

導入事例②

株式会社NTTドコモ 様

株式会社NTTドコモ様は検証業務の効率化を喫緊の課題として抱えていました。SKYATTの操作方法の簡単さや結果分析のしやすさを評価していただき導入してくださいました。就業時間外にテストを実行し、結果の確認を日中に行うというサイクルで検証業務の効率化を実現されました。年間テスト工数も100機種以上の検証作業を自動化したことで約1/6にまで削減され、結果として工期全体を短縮することに成功しました。

まとめ

テスト自動化とは、ソフトウェア開発におけるテスト実行を自動化することで、時間とリソースを節約できる手法です。適切に理解し導入することで、短期間で低コストかつ高品質なソフトウェア開発を実現することが可能となります。

Sky株式会社では、多様な自動テストの実績に基づき、お客様のニーズに合わせた最適な自動テストの提案が可能です。テスト自動化に関してのお困りごとがあれば、ぜひSky株式会社までお問い合わせください。

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著者 Sky株式会社

Sky株式会社は、家電のシステム開発を手掛けたのをきっかけに、デジタル複合機やカーエレクトロニクス、モバイル、情報家電、さらに自社商品として教育分野における学習活動ソフトウェアや、公共・民間向けクライアント運用管理ソフトウェアなど、幅広い分野でのシステム開発を展開しております。

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