昨今、ビジネスに急速に浸透する生成AI。業務効率化が進む一方で、さまざまなリスクへの対応が求められています。本記事では、情報システム部の視点から、特に注意すべき「セキュリティ」と「著作権」の2つの側面における具体的なリスクと対策を解説します。安全にAIを活用し、社内での適切な導入を進めるための一助となれば幸いです。
セキュリティ:利便性の裏に潜む情報漏洩と悪用のリスク
生成AIの利用において、最も警戒すべきなのはセキュリティリスクです。非常に便利なツールである反面、その仕組みを十分に理解せずに利用すると、深刻な情報漏洩やサイバー攻撃の糸口になりかねません。
推奨するセキュリティ対策
これらのリスクから企業の貴重な情報を守るため、以下の対策を徹底することが不可欠です。
1.機密情報を入力しない
最も基本的かつ重要な対策です。個人情報や顧客データ、社外秘の技術情報、経営戦略などを安易に生成AIへ入力してはいけません。
2.入力データを学習させない設定(オプトアウト)の徹底
多くのAIサービスでは、ユーザーが入力したデータをAIの学習に利用させない設定が可能です。全社的にこの設定を義務づけ、入力データがサービス提供者側の学習に利用されるのを防ぎましょう。
3.社内ガイドラインの策定と教育
「どのような情報を入力してはいけないか」「生成物をどのように扱うべきか」といったルールを明確にしたガイドラインを策定し、全従業員への周知と継続的な教育を行います。
4.法人向け・高セキュリティプランの利用
個人向けの無料プランではなく、セキュリティが強化された法人向けプランや、データを外部に送信しないオンプレミス型のAIツールを選定しましょう。
5.生成物のファクトチェック
AIが生成した情報は、必ず人間がその内容の正確性を検証(ファクトチェック)してから利用するプロセスを義務づけることが重要です。
著作権:意図しない侵害を避けるために
生成AIは、インターネット上の膨大なデータを学習してコンテンツを生成します。そのため、そのプロセスや生成物が、既存の著作権を侵害してしまうリスクをはらんでいます。
著作権侵害を回避するための注意点
1.生成物の類似性チェック
AIが生成した画像や文章を公開・商用利用する前には、既存の著作物と酷似していないか、検索ツールなどを用いて確認する習慣をつけましょう。
2.具体的な作品名や作者名での指示を避ける
「〇〇(特定の作品名)風のイラストを生成して」といった、特定の著作物を模倣させるような指示は、依拠性が高いと判断されるリスクがあるため避けるべきです。
3.商用利用可能なツールの利用規約確認
利用するAIツールの利用規約をよく読み、生成物の商用利用が許可されているか、また、学習データが著作権をクリアしたものであるかを確認しましょう。
4.AI生成物であることの明示
必須ではありませんが、コンテンツがAIによって生成されたものであることを明記することで、透明性を高め、無用なトラブルを避ける一助となります。
未来を拓くために
生成AIは、私たちの働き方を根底から変えるポテンシャルを秘めた強力なツールです。しかし、その力を正しく、そして安全に活用するためには、技術の特性とリスクを深く理解することが不可欠です。
情報システム部としては、利用を単に禁止・制限するのではなく、今回ご紹介したようなセキュリティとコンプライアンスの基盤を固めた上で、全社的なAIリテラシーの向上を支援し、積極的かつ安全なAI活用を推進していきたいと考えています。
本記事が、皆さまの企業における生成AI活用の羅針盤となれば幸いです。リスクを適切に管理し、AIとともに新たな価値を創造していく道のりを、皆さまとともに歩んでいけることを願っております。

