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公開日2026.01.13

SAPとは何? 意味や特徴、導入のメリット・デメリットをわかりやすく解説

著者:Sky株式会社

SAPとは何? 意味や特徴、導入のメリット・デメリットをわかりやすく解説

業務プロセスの改善や社内の情報管理を考える際に、「SAP(エス・エー・ピー)」という名前を耳にすることが多いのではないでしょうか。歴史の長いERP製品として知られ、世界的に広く活用されているSAPは、あらゆる業務データを1つのソフトウェアでまとめて管理し、効率的なデータの分析・活用を可能にするシステムです。この記事では、SAPの概要や名前の由来、主な構成モジュール、ビジネスでの活用メリット・デメリットについて詳しくご紹介します。

SAPとは何か

「SAP」とは、ソフトウェア開発を行うドイツの企業「SAP社」が提供しているERP製品です。SAP社は世界で初めてERP製品をリリースした企業であり、歴史の長い代表的なITベンダーとして知られています。

組織内の情報を一元管理できるシステムとして重宝されるERP製品ですが、SAPはその中でもシェア率が高く、世界的に利用されているのが特徴です。1973年に世界初のERP製品である「SAP R/1」が登場してから、時代と共に進化を続け、定期的に新しい製品をリリースしてきました。

SAPはその導入実績を生かして、各国の法制度や商習慣、幅広い業種に柔軟に対応しています。また、基幹業務だけでなく経費精算やプロジェクト管理、人事においても業務の効率化に貢献できるシステムです。

SAPは何の略?

SAP社は創立時、ドイツ語で「システム分析とプログラム開発」を意味する「Systemanalyse Programmentwicklung」(英語名:System Analysis Program Development)を社名としていました。「SAP」という名称はこの旧社名を由来として名づけられたものです。

なお、正しい読み方は「サップ」ではなく、「エス・エー・ピー」といいます。製品名として世界的に広まっていますが、社名を指してSAPということもあります。

また、現在では法律上の正式な会社名は「SAP SE」へ変更されています。SEは「Societas Europaea」の略で、EU全域での事業展開を可能にする「欧州会社法」に基づいて登録されていることを示しています。

SAPとERPの違い

前述したように、ERPは業務を統括する基幹システム全般を指す言葉であり、SAPはその一種で商品名にあたります。

ERPはエンタープライズ・リソース・プランニングの略で、日本語では「経営資源計画」と訳されます。経営資源を集約して有効活用する考え方そのものを指す場合もありますが、近年ではそれらを実現するためのシステム、製品を指して使われることが多いです。製品のことを「ERPパッケージ」と表現することもあります。

SAPの使用目的

ERP製品が登場する前は、組織内のデータは部門ごとに管理されることが多く、部門間でのやりとりや組織全体での情報活用がスムーズにいきませんでした。そこで、「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営資源を一元管理し、業務効率化を図るために生み出されたのが、SAPをはじめとするERPシステムです。

SAPの導入は主に、データ管理の一元化によるワークフローの迅速化、運用の効率化、生産性の向上などを目的としています。これらの目的を達成することで顧客体験が充実し、結果として企業の収益アップに貢献します。

また、データを保存しておくストレージにかかるコストや、データエラーのリスクを削減することも、SAPを使用する目的の一つです。以前の情報管理システムでは、重複するデータが複数の部門にそれぞれ保存されているケースがありましたが、一元管理することで同じデータを一か所にまとめることが可能になります。

SAPの主な構成モジュール

SAPは、いくつかの「モジュール」(特定の機能をひとまとまりにした単位)により構成されています。各業務の分野に対応した多数のモジュールがあり、導入時には自社の業務内容に合わせて必要なモジュールを選択し、組み合わせて利用するのが一般的です。主要なモジュールとしては、以下のようなものがあります。

1.会計系モジュール

会計系のモジュールは、企業の財務状況や業績、キャッシュフローを把握するために役立ち、会計業務全般を支える重要な役割を果たします。社外の利害関係者に向けた報告を担う財務会計のモジュールや、社内で業務上必要な費用の管理・調整・最適化を行うモジュールなどが用意されています。

2.ロジスティクス系モジュール

ロジスティクス系のモジュールでは、販売管理や在庫管理を中心に、モノの供給に関わる一連の流れをサポートします。販売管理と在庫管理が連動しているため、現状の把握が容易で、棚卸業務の効率化が可能です。また、在庫量や販売データなどの情報は自動でほかの部門へ共有されるため、手動でデータを入力する必要もありません。

3.人事系モジュール

人事系のモジュールは人事管理を担い、採用や退職に関わる業務だけでなく、人材管理業務全般をカバーします。例えば、勤務時間の管理、給与計算、福利厚生の使用状況、組織内の配置変更などを一元管理することが可能です。

4.その他のモジュール

SAPには、ほかにもさまざまなモジュールがあります。例えば、プロジェクト管理を担うモジュールでは、プロジェクト全体の計画・実行・完了のサイクルを効率的に管理します。プロジェクトの構造化、工期と予算の最適化、作業順序の計画、実績の一元化などの機能が提供され、予算やリソース、進捗、リスクの管理などが効率化されます。

また、プラント保全を担うモジュールでは、製造業における生産拠点の設備の保守・管理が可能です。保全作業の特定・計画・実施・完了確認などのフェーズをカバーし、修理やメンテナンスを包括的に管理することで、効率的な業務の継続を実現します。

SAP導入のメリット

ERP製品の導入により、業務効率化をはじめとする、さまざまなメリットを得ることが可能です。特に、SAPのようなシェア率の高い製品の導入は、社会的信頼の獲得につながる効果も期待できます。ここでは、SAP導入のメリットを詳しく解説します。

1.業務プロセスの効率化

SAPは、世界的にビジネスを展開する優良企業の業務プロセスを参考に開発されています。そのため、SAP導入と合わせて自社の業務プロセスを見直すことで、世界的に通用するレベルへと標準化することも可能です。

企業の中には、非効率的な業務プロセスの慣習化に悩んでいるところもあるのではないでしょうか。そのような企業にとって、「SAP導入を機に自社の業務プロセスを変革しよう」という意識を持つことで、より効果的にSAPを活用することが期待できます。

2.データ処理の効率化

社内のあらゆるデータを一元管理し、スムーズに処理できる点は、ERP製品全般に当てはまるメリットといえます。

従来のように、部門内で業務システムが完結している場合、部門間でデータをやりとりする際にタイムラグが生じたり、データの入力や承認作業、反映に手間がかかったりします。例えば、在庫データなどの反映にタイムラグがあると、別部門の担当者が古いデータを参照してしまい、誤った判断につながる恐れもあります。

経営者にとっても、正しいデータを即座に分析にかけられるか否かは重要な問題です。データ処理のスピードが、人事評価や人事異動の判断、経営戦略の意思決定などを迅速かつ正確に行うことにつながるためです。SAPを導入すれば、リアルタイムなデータ処理によるスピーディーな判断を実現できます。

3.作業履歴の可視化

ERP製品によってすべてのデータを管理すると、情報の入力・修正などの作業履歴もデータとして残り、可視化されます。

作業担当者のユーザーIDも履歴にひもづけられるため、ミスや改ざんがあればすぐに確認を取ることが可能で、内部統制の強化につながります。また、業務プロセスの誤りや遅れがあった際に原因を探りやすい点もメリットです。

4.社会的信頼性の向上

企業が社会的な信頼を獲得するためには、スムーズな運営や安全性を保証できる業務システムの確立、情報共有におけるトラブルの防止などが重要です。さらに、海外の企業との取引を検討している場合には、国際的な基準への対応が求められる場面もあります。

ERP製品はスムーズな業務プロセスの実現に役立つものであることに加え、SAPは世界中の大企業で利用されてきた実績があり、シェア率も高い製品です。そのため、国内外問わず認知度や信頼性も高く、導入することで企業としての信頼性向上が期待できます。

また、SAPの会計システムは国際的な会計基準である「IFRS(国際財務報告基準)」に対応しているため、世界でビジネスを行う企業こそ、前向きに導入を検討することができます。海外拠点を含めた全社内の取引情報を一括管理できれば、管理やデータ連携にかかる諸々のコストの低減にもつながります。

SAP導入のデメリット

多くのメリットをもたらすSAPですが、効果的に活用するためには、デメリットについても理解した上で導入を判断することが重要です。ここでは、導入前に知っておきたい注意点を3つご紹介します。

1.導入費用が高額

SAPは幅広い業種・業態に対応するために豊富な機能を備えており、その分導入にかかる費用も高額です。特に、社内にシステムを設置するオンプレミス版を選ぶと初期費用が高くなります。サーバーの購入やシステム構築で費用がかさむほか、追加機能の開発費がかかるケースもあり、大企業であれば億単位のコストがかかることもあるといわれています。

クラウド版なら初期費用を抑えられますが、それでも中小企業にとっては大きな負担となる恐れがあります。また、クラウド版は毎月サブスクリプション費用が発生するため、長期運用する場合は逆にコストがかさむ点にも注意が必要です。

加えて、どちらを選んだ場合もソフトウェアのライセンス費用がかかります。ライセンス費用は利用するユーザー数に応じて増えるため、社内でシステム管理に関わる人員が多いほど高額になります。

2.機能や設定が複雑

SAPは独自のプログラミング言語「ABAP」で構築されており、導入・運用にあたってABAPの知識を持つ人材が必要です。また、機能が豊富で、設定や操作の難易度が高いため、効果的に活用できるようになるまでには時間がかかることがあります。社内向けの作業マニュアルの整備や、人材の雇用と育成にも負担がかかります。

さらに、設定や機能が複雑なため、効果的に活用するにはベンダーとの綿密なすり合わせが欠かせません。導入の目的が正しく伝わっていないと、目指していたものとは異なるシステムになる恐れもあります。

3.SAPに関する専門知識が必要

SAPは、導入さえすればすべての問題が解決するというものではありません。「自社の課題をSAP導入で解決できるか」「導入後に正しく運用していけるか」などの判断や、適切な人員配置とマニュアル整備を行うために、事前にある程度SAPに関する知識を習得しておく必要があります。

また、SAPの複雑性や、多くの企業が新バージョンへの移行を控えていることを理由に、コンサルタント不足も懸念されており、専門知識を持つ人材の確保が容易ではない点にも注意が必要です。

まと

SAPは、ERP製品の中でも長い歴史と各国での導入実績を持ち、豊富な機能で各種業務をサポートするシステムです。多くのメリットがある反面、導入や運用の判断には専門的な知識が必要になるなど、注意点も少なからず存在しています。

世界で通用するレベルの業務プロセスを実現するためには、SAPに詳しい人材の確保や、専門家への相談なども検討しながら、慎重に導入の準備を進めていくことが大切といえます。

Sky IT TOPICS編集部

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Sky株式会社は、家電のシステム開発を手掛けたのをきっかけに、デジタル複合機やカーエレクトロニクス、モバイル、情報家電、さらに自社商品として教育分野における学習活動ソフトウェアや、公共・民間向けクライアント運用管理ソフトウェアなど、幅広い分野でのシステム開発を展開しております。