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Sky株式会社

公開日2024.09.03更新日2024.10.16

ベンダーとは? メーカーやサプライヤーとの違い、ITベンダーの種類を解説

著者:Sky株式会社

ベンダーとは? メーカーやサプライヤーとの違い、ITベンダーの種類を解説

ベンダーとは?

ベンダーとは「販売業者」「売り手」を意味し、製品やサービスをユーザーへ販売する事業者のことです。基本的に製品の開発や製造は自社で行わず、製造元(メーカー)と契約を結び、自社の顧客に対して販売します。特にコンピュータやソフトウェア、ネットワーク機器などのIT製品を専門的に販売する企業を指すことが多いです。

なお、IT業界におけるベンダーは取り扱う製品の種類やメーカーの数、対応する業務範囲などに応じて、さまざまな呼ばれ方をします。自社内にシステムの開発体制がない企業がシステムを導入する際は、目的に応じたITベンダーに依頼するのが一般的です。

「業界別」ベンダーの意味

ベンダーという言葉は、業界によってさまざまな意味合いで使われます。ここでは、主な業界におけるベンダーが担う役割を紹介します。なお、IT業界におけるベンダーは特に種類が多いため、あらためて詳しくご説明します。

業界 ベンダーの意味
飲料 飲料業界におけるベンダーは、特に自動販売機の運営・管理を行う事業者を指します。商品選定や販売データの分析といったマーケティング活動に加え、新紙幣やキャッシュレス決済への対応など、世の中の動きを素早く取り入れる必要があります。
食品 食品業界におけるベンダーは、コンビニやスーパーなどの小売店に対し、加工食品や調味料などを提供する事業者を指します。商品の安全性や供給の安定性に加え、消費者ニーズへの対応など、頻繁に移り変わる市場の動きを常に把握し、柔軟な対応が不可欠です。
製造 製造業界におけるベンダーは、自動車やカー用品など、特定の製品を提供する事業者を指します。品質向上やコスト削減に加え、AIなどの新技術を生かした効率的な製造体制の構築など、高度な技術力と品質管理への理解も求められます。
医療 医療業界におけるベンダーは、医療機器や医薬品などを提供する事業者を指します。製品の効果や安全性の確保に加え、法律を遵守した開発体制の構築やバイオ医薬品への参入など、絶え間ない研究活動の把握が肝心となります。
建設 建設業界におけるベンダーは、建築用資材や電気工事のサービスなどを提供する事業者を指します。法規制の変化への対応に加え、製品の品質や施工技術の向上・安全対策のための先端技術に精通している必要があります。

ベンダーと混同しやすい語句とは?

ここでは、混同されやすい3つの用語「メーカー」「サプライヤー」「ユーザー」が、ベンダーとどのように違うのかについて紹介します。業界や文脈によって、それぞれの役割や定義が重なることもあるので、注意が必要です。例えば自動車業界では、次のような関係性が一例として挙げられます。

ベンダーとメーカーの違いは?

メーカーとは、製品の開発・製造を行う企業全般を指します。例えば自動車業界なら、材料づくりをする企業、部品づくりを請け負う企業、自動車の組み立てを行う企業のすべてがメーカーの役割を果たしているといえます。一方でベンダーは、メーカーから供給された製品の販売や、その製品を用いたサービスの提供を消費者に対して行う企業です。

例えば、大手自動車メーカーはグループ企業に販売や営業を行う販売店(ディーラー)を持ち、それらがベンダーの役割を果たします。なお、ディーラーとは一般的にメーカーと特約店契約を結んだ販売事業者のことをいいます。このような場合は、グループ内でメーカーとベンダーの役割を包含しているといえます。

サプライヤーとの違いは?

サプライヤーとは、生産過程で使用される原材料や部品・製品を他社に供給する企業を指します。一方のベンダーは、すでに完成した製品を消費者に向けて直接的に販売する事業者です。

サプライヤーという言葉は、かつては製造業や販売業を中心に使われていましたが、近年では業界や企業間の関係性によって異なる定義を持つ場合もあり、単に「供給元」といってもさまざまな意味合いが含まれています。

先に挙げた自動車業界の例でいえば、自動車メーカーに部品を卸す部品メーカーは部品を製造するメーカーの役割も果たしていますが、サプライヤーとしての意味合いを強く持っているといえます。それに対して、カー用品店や自動車販売店といった、消費者へ直接的に製品を提供する企業がベンダーです。

ユーザーとの違いは?

ユーザーとは、ベンダーが販売する商品やサービスを購入して使用する消費者を指します。サプライヤーから仕入れた原材料などを元にメーカーが生産し、ベンダーが商品として販売して届けるまでの流れの中で「最後」に位置するため、エンドユーザーとも表現されます。

自動車業界の例でいえば、自動車販売店から自動車を購入する家庭や、カーリースの会社と社用車の契約を結ぶ法人などが該当します。

IT業界におけるベンダーの種類

IT業界におけるベンダーの呼び方は、取り扱う製品の種類やメーカーの数、対応する業務範囲に応じてさまざまです。ここではIT業界における主なベンダーの種類を紹介します。

比較内容 呼び方 概要
対応する業務範囲 システムベンダー 特定の業務領域に必要な機能を搭載したパッケージ型システムを提供する。
システムインテグレーター(SIer) 既存システムの販売以外にも、開発・運用・保守までのすべての工程を請け負う、受注開発に重きを置いたビジネスモデル。
取り扱い製品の種類 ハードウェアベンダー スマートフォンなどの電子機器に代表されるハードウェアを扱う。
ソフトウェアベンダー 会計ソフトウェアなど、業務を効率よく進めるうえで欠かせないソフトウェアを扱う。
取り扱い製品の幅広さ シングルベンダー 特定のメーカーの製品やサービスのみを販売する。
マルチベンダー 複数のメーカーが開発した製品を販売したり、多様な製品を組み合わせたサービスを構築して提供したりする。
そのほかのベンダー 開発ベンダー 製品やサービスの開発と販売の両方を担う。メーカー色が強く、自社製品の開発に重きを置く。
セキュリティベンダー ウイルス対策など、各種セキュリティ対策関連のサービスを開発・提供する。

対応する業務範囲による区分

システムベンダー

システムベンダーとは、基幹システムや購買管理システムなど、顧客の要望に適したシステムを販売するベンダーを指します。ゼロからシステム開発をするのではなく、あらかじめ特定の業務領域に必要な機能を搭載した、パッケージ型のシステムを提供することが得意です。なお、ベンダーによって対応可能な業界や用途が異なるため、自社が求めているシステムに応じて、適切なベンダーを探す必要があります。

また、月額の課金制で契約することが多く、継続的に手厚いサポートを受けられます。運用や保守をベンダーに任せることもできるので、システムの導入に不慣れでも安心して活用できる環境が整えられます。

システムインテグレーター

システムインテグレーターとは、システムやパッケージソフトウェアの販売だけでなく、ハードウェアやネットワーク・クラウド環境の構築なども含め、企画から開発、運用、保守までのすべての工程を請け負うベンダーを指します。IT業界では「SIer」とも呼ばれ、複数のソフトウェアやハードウェアを組み合わせた大規模システムの構築にも対応できる、豊富なノウハウや高い技術力を持っている点が魅力です。充実したセキュリティ対策に加え、顧客の要望に応じて機能を追加するといった高いカスタマイズ対応力を有していることが多く、柔軟な支援が望めます。

例えばSky株式会社は、特定のメーカーに依存しない独立系のSIerとして、ERPやデータ分析、RPAなどのソリューションの提供、クラウドインフラの構築など幅広い領域で受託開発をしています。また、IT機器の運用管理システム「SKYSEA Client View」や、営業支援 名刺管理システム「SKYPCE」といった自社パッケージ商品の提供も行っています。

取り扱い製品の種類による区分

ハードウェアベンダー

ハードウェアベンダーとは、デジタル複合機やスマートフォンといった電子機器や家電製品などのハードウェアの販売を手掛けるベンダーを指します。個人向けの製品の取り扱いも多く、一般消費者の立場では最も身近に感じやすいITベンダーです。なお、法人向けにはサーバーやネットワーク機器など、ITインフラ関連サービスも提供されています。

近年は、すべての業界で人手不足が深刻化するなか、省人化や業務効率化を目的としたIoTデバイスの需要が増え続けています。そこで、人工知能などの新しい技術を用いた、高性能でありながら小型なハードウェアの開発に取り組む動きが活発です。例えば自動運転における車体制御の技術は、AI画像認識の機能を搭載したセンサなどによって実現しています。

ソフトウェアベンダー

ソフトウェアベンダーとは、会計ソフトウェアや動画編集ソフトウェア、文書作成ソフトウェアなど、業務を効率よく進めるうえで欠かせない、各種ソフトウェアの販売を行う企業のことです。近年では人工知能やIoT技術の発達、DX推進やクラウド化の浸透により、さらに高性能なソフトウェアの開発が求められています。

なお、顧客の需要の高まりに応じるかたちで、サブスクリプション形式で販売するソフトウェアベンダーが増えています。ハードウェアベンダーとは取り扱い製品の性質こそ異なりますが、ユーザーの業務を支える重要な役割を担っているという点では共通しています。

取り扱い製品の幅広さによる区分

シングルベンダー

シングルベンダーとは、特定メーカーの製品やサービスのみを販売するベンダーのことです。ほかのベンダーの製品やサービスを取り扱わないため、製品同士の相性などに起因する不具合が生じにくい点が特長です。取り扱い製品の種類を限定しているからこそ、一つひとつの製品に対する豊富な知識やノウハウが蓄積され、手厚いサポートも見込めることも強みです。

例えば特定メーカーの電子機器のみを販売しているベンダーの場合、ハードウェアベンダーであり、かつシングルベンダーでもあるといえます。

代表的なシングルベンダーとして、Oracle社が挙げられます。高い堅牢性やパフォーマンスで知られるデータベース管理システム「Oracle Database」を中心とした情報システムを、自社製品のみで構築して提供しています。

マルチベンダー

マルチベンダーとは、複数のメーカーが開発した製品を提供したり、さまざまな種類の製品を組み合わせてサービスを構築したりするベンダーを指します。ユーザーの立場からすれば、予算をはじめとする細かな要望に応じて提案を受けられる点、他社製品へ乗り換える余地が残されている点などが魅力です。

ベンダーの立場からしても、提案の幅を広げられ、より高い水準でユーザーの信頼に応えることが可能となります。ただし、メーカーが異なる製品同士を組み合わせて利用する場合、互換性についてはメーカーからの保証が得られず、製品間の接続などで不備が発生する恐れがあるため、十分な検証が必要になる点は注意が必要です。

例えばマルチベンダーである伊藤忠テクノソリューションズでは、AmazonやMicrosoftなど、300を超える国内外のITベンダーとパートナーシップを築き、幅広い製品群を組み合わせた提案を行っています。

そのほかのベンダーの区分

開発ベンダー

開発ベンダーは、製品やサービスの企画・開発と販売の両方を担うベンダーのことを指します。特にIT業界のベンダーは、自社開発の製品を販売する傾向があります。なお、開発のみを行う企業は開発会社と呼ばれることが多いです。

開発ベンダーとSIerの違いは、開発ベンダーは自社製品を販売するメーカー色が強い一方、SIerは顧客の要望に合わせてさまざまな製品を組み合わせたり、受注開発を行ったりして、総合的なソリューションを提供できます。そのため、SIerは自社製品を持たない場合も少なくありません。

ビジネスモデルに関しても、開発ベンダーは販売や保守を通じて利益を確保することが中心になりますが、SIerはプロジェクトごとに関わる人数や成果物によって対価を得ることが軸になるケースが多いという違いがあります。

セキュリティベンダー

セキュリティベンダーとは、ウイルス対策ソフトウェアをはじめ、次世代ファイアウォールやUTM、エンドポイントセキュリティ製品など、各種セキュリティ対策関連のサービスを開発・提供するベンダーのことです。近年では、国内外を問わず、調査・分析からシステム開発に至るまで、多種多様なサービスが展開されています。

IoT技術の発達やクラウドサービスの増加、テレワークの普及に伴い、個々のデバイスやクラウド上のセキュリティリスクは高まる一方です。不正アクセスによるデータの改ざんや個人情報漏洩といった重大な事故を防ぐためにセキュリティベンダーの重要性が増しています。

ITベンダーに依頼する3つのメリット

ITベンダーにシステムの開発や導入を依頼するメリットは非常に大きなものです。ここでは特に重要な「開発リソース」と「品質」にまつわるメリットについて紹介します。

社内にエンジニアがいなくても導入できる

ITベンダーに依頼するメリットの一つに、社内にエンジニアがいなくても目的に応じたシステムを導入できることが挙げられます。業務システムを自社開発する場合、業務知識や開発スキルを持つエンジニアが必要です。システムの規模が大きくなったり、難易度が高くなったりするほど、求められる技術レベルは高くなります。もし、社内では人材の確保が難しい場合は新たな人材の採用が必要になりますが、、近年はエンジニア不足が深刻化していることもあり、優秀な人材の確保に大きなコストが必要になります。

ITベンダーには、専門的な知識・技術があり、多くの企業のシステムに携わってきた経験を持つエンジニアが多数在籍しています。エンジニアを確保する手間を省きながら、専門的なエンジニアに開発や導入を任せられるのは、大きなメリットとなります。

一定以上のクオリティーが見込める

ITベンダーに依頼することで、経験豊富で高いスキルを持ったエンジニアの力を借りることが可能です。そのため、完成したシステムに一定以上のクオリティーが見込めるという点も、メリットだといえます。ただ、納品物(システム)のクオリティーを担保するには、委託業務の内容を明確にし、認識にずれが生じないよう密に連携するなどのプロセスが重要になります。ITベンダーに丸投げすればよいということではありません。

社内リソースに不安がある環境で開発を進めると、納期が遅れる恐れもあります。一方、ITベンダーに依頼すれば、他社における開発経験などから必要工数のめどが立てやすく、想定外の遅れが生じることが避けやすいです。ただしこの点も、手戻りが発生しないように仕様検討段階で十分な認識合わせをするといったプロセスが重要になります。

時間的なリソースが確保できる

時間的なリソースの確保も、ITベンダーに依頼するメリットとして挙げられます。システムの開発や導入など不慣れな業務を社内で完結させようとすると非効率な部分も多くなります。経験豊富なITベンダーに任せることで、開発や導入に必要な時間が、大幅に削減できます。

また前述のとおり、人材が社内いない場合に必要となるエンジニアの採用活動にかかる時間も削減されます。特に、開発の過程で一時的に特定スキルが必要な場合には、新たにエンジニアを採用して育成するより、はるかに短期間で柔軟な対応ができます。ITベンダーに任せる範囲を広げることで、開発に充てていた時間を削減できれば浮、自社エンジニアに別の案件を任せたり、より緊急度の高い業務に労力を割いたりすることもできます。

ITベンダー選定時の判断方法

ITベンダーの選定は、システム導入の成否を分ける最も大きな要因です。数多くの選択肢から自社に最適なITベンダーを見つけ出すための大切なポイントを2つ紹介します。

発注先選定分析

ITベンダーに対して基準が不明確で偏った評価をしてしまうと、求めるスキルに達していないエンジニアや納期を守れない担当者に任せることにもなりかねません。発注先選定分析では、あらかじめ重視したい評価軸を複数用意して、複数ベンダーを項目別に評価して比較します。例えば、自社と似た企業に対する支援実績が豊富か、納期は適切か、信頼できる技術力を持っているかといったことが考えられます。

CMMI

CMMI(Capability Maturity Model Integration)とは「能力成熟度モデル統合」を意味し、組織のプロジェクトマネジメント力を5段階で評価するための指標として用いられています。複数のITベンダー同士を比較する際、それぞれどの程度のレベル感で依頼を完遂するのかを判断する材料として有効な基準となります。特に、長期にわたるプロジェクトや、運用・保守まで任せるベンダーを選定する際に役立ちます。

ITベンダー選定の流れ

ITベンダーを選定する際には、まず、候補となるITベンダーに対して「RFP(Request for Proposal)」と呼ばれる「提案依頼書」を送付します。そして、各ベンダーから提案書が届いたら、その内容を評価して候補を絞ります。

事前準備

ITベンダーに送付するRFPを作成する前に、システム導入の目的や課題、かけられるコストやスケジュール感などの情報を詳細にまとめます。これらの情報が明確でない状態でITベンダーへ依頼すると認識にずれが生じ、結果としてシステム導入が失敗してしまうリスクが増してしまいます。

このとき、社内でプロジェクトチームを編成しておくと、システム導入後の社内トラブル回避につながりやすいです。また、もし求めるシステムの仕様が決め切れないようであれば、候補となるITベンダーに相談しながら詳細を詰めていくのでも構いません。「システムの導入を通じてどういう結果を得たいのか」がしっかりと固っていれば、他社の事例などを参考にした具体的な提案を得やすいです。

評価観点と詳細な項目を設定する

各ベンダーの提案書を数値的に評価するために、評価観点と評価項目を整理します。評価観点を決める際は、システム自体に対する信頼性だけではなく、プロジェクト進行のスムーズさといった自社との相性を含めて、総合的に判断できるように設定することが大切です。評価項目は、評価観点の構成要素を書き出します。評価内容が整理できたら、自社が重視するポイントが評価結果に反映されるよう配点を決め、観点ごとの重みづけを調整します。

評価観点と評価項目の内容、配点は導入したいシステムや企業の考え方によって異なりますが、一例を挙げると下表のような内容になります。

配点 評価観点 評価項目
40 提案の妥当性 課題や要望を深く理解した、抜け漏れのない適切な提案であるかを評価する ・RFPフォーマットの遵守
・依頼事項への抜け漏れ
・導入計画の適切さ
・担当者の経験値や人柄
30 要件の網羅性 提示した要件にどれほど対応しきれるかを評価する。 ・機能要件の網羅性
・非機能要件の網羅性
・非対応の要件への代替案
20 導入・運用コスト 見積金額が予算感と合致しているか、算出根拠の明確さも含めて評価する ・導入コスト
・運用コスト
・その他費用
10 ベンダーの信頼性 プロジェクト完遂に向け、企業安定性と導入実績の確認を通じて信頼性を評価する ・ベンダーの事業継続性
・他社への導入実績

候補をまとめる

準備が整えばRFPを送付するITベンダーを選定します。選定の際には、事前のヒアリングや情報提供依頼(RFI)などを通じて、提示してもらった技術や製品、基本的な会社情報などを参考にするのが一般的です。必要に応じて、見積依頼(RFQ)などで費用や納品方法の確認もします。ベンダーを数社程度に絞り込めたら、本格的にRFPを作成して送付します。

なお、RFPに記載するのは、システムの導入目的や現在の課題といった情報、スケジュールや開発体制といった提案依頼の内容、選考の評価基準や書類の提出先といった選考に関する情報です。相手に明確に意図が伝わるよう整理され、抜け漏れのないRFPの作成が必要です。

ベンダーからの提案を評価する

ITベンダー各社からRFPの回答が提出されたらあらかじめ決めた評価観点に基づいて内容を評価します。そして評価結果からベンダーを絞り込み、必要に応じてプレゼンテーションや製品のデモンストレーションの機会を設けるとより具体的に検討できます。担当者との対面のコミュニケーションが取りやすいかなど、提案書だけではわからない点を評価に含めることも大切です。

こうした一連の流れを通じ、あらためて提案内容を吟味し総合的な判断に基づいて、ベンダーを決定して正式な契約を経て、最終的な調整に移ります。本格的にシステム導入をスタートさせる前に、認識を細かくすり合わせることも欠かせません。

ITベンダー選定時の注意点

ITベンダーの選定時に注意すべき点を2つ紹介します。多くの時間や費用をかけて行うシステムの導入だからこそ、最後まで万全を期した対応が必要です。

知識量

ベンダーの提案内容を確認する過程で、一般的なシステム導入に関する知識だけでなく、自社の業界や具体的な業務などに対する知見があるかを確認します。また、ITに関する最新知識・技術を持ち合わせているかどうかも大切です。

費用対効果

どれほど魅力的な提案をされたとしても、大幅に予算を超えてしまうのであれば、導入を検討し直す必要が出てきます。同様に、どれほど低コストな提案をされたとしても、必要な機能がいくつも欠けていたり、プロジェクトの進行に不安があるようなら意味がありません。

ITベンダーを比較する際は、単純な費用比較にならないように注意し、機能の充実度やサポート体制の手厚さなどを考慮し、それらが「妥当なコストであるのか」を見極める姿勢が大切です。ITベンダーが提案したシステムの機能やサービス内容、品質データといった情報は、過去の他社実績から確認できる場合もあります。品質に偏りのない、より優れた費用対効果が見込めるITベンダーを適切に選ぶため、できる限りの選定材料を集めることが望ましいです。

まと

ここまで、各業界における「ベンダー」という言葉の意味や、ITベンダーを選定する際の方法と流れ、注意点などについて紹介してきました。エンジニアや工数などの開発リソースと品質を確保する上で、ITベンダーの力を借りるメリットは大きいです。大きな費用と労力をかけて行うシステムの導入だからこそ、丁寧に進めて自社にとって最適なITベンダーを選定する事が大切です。

Sky株式会社のシステム開発

Sky株式会社は、家電製品の組込み開発を手掛けたのをきっかけに、デジタル複合機やカーエレクトロニクス、医療機器など、幅広い分野でシステム開発を展開。また、AI・画像認識を活用したシステム開発にも携わっています。お客様先へのエンジニア派遣や受託開発などをはじめ、要件定義から設計、開発、検証、運用・保守まであらゆるフェーズで技術を提供しています。さらに、教育分野における学習活動ソフトウェアや、公共・民間向けのクライアント運用管理ソフトウェア、企業の営業活動を支援する名刺管理サービスなど自社商品の開発・販売も積極的に行っています。