マルチアカウント構成とは
AWSのマルチアカウント構成とは、複数のAWSアカウントを使用して、異なるプロジェクトや部門、環境(開発、テスト、本番など)を分離して管理する方法です。
これにより、リソースの管理、セキュリティ、コスト管理が容易になります。
なぜ必要なのか
AWSの利用が拡大していくとともに、シングルアカウント構成の場合、以下の課題に直面し、必然、マルチアカウント構成の検討が必要となるからです。
セキュリティリスクの集中
シングルアカウント構成では、すべてのリソースが一つのアカウントに集中しているため、セキュリティリスクが高まります。
例えば、管理者権限を持つユーザーが誤って重要なリソースを削除してしまうリスクがあります。
マルチアカウント構成では、各アカウントごとにセキュリティポリシーを設定することで、リスクを分散し、セキュリティを強化できます。
コスト管理の複雑化
シングルアカウント構成では、すべてのプロジェクトや部門のコストが一つのアカウントに集約されるため、どのプロジェクトや部門がどれだけのコストを消費しているかを把握することが難しくなります。
マルチアカウント構成では、アカウントごとにコストを分離して管理することで、コスト管理が効率化されます。
ガバナンスの難しさ
シングルアカウント構成では、すべてのリソースに対して一律のガバナンスポリシーを適用する必要があり、特定のプロジェクトや部門に対して異なるポリシーを適用するのが難しくなります。
マルチアカウント構成では、各アカウントに対して異なるガバナンスポリシーを適用することで、ガバナンスを向上させることができます。
障害の影響範囲の拡大
シングルアカウント構成では、一つのリソースで障害が発生すると、他のリソースにも影響を与える可能性があります。
マルチアカウント構成では、各アカウントが独立しているため、一つのアカウントで障害が発生しても、他のアカウントには影響を与えません。
まとめると、マルチアカウント構成で実現できることは、以下のとおりです。
関連するAWSサービス
それでは次に、AWSのベストプラクティスに則った、マルチアカウント構成を実現するにあたって必要になる、主要なAWSを紹介します。
-
AWS Organizations
複数のAWSアカウントを一元管理するためのサービスです。
アカウントの作成や管理、ポリシーの適用が容易になります。 -
AWS Control Tower
マルチアカウント環境のセットアップと管理を自動化するためのサービスです。
ベストプラクティスに基づいた環境を迅速に構築できます。 -
AWS CloudTrail
各アカウントのアクティビティを記録し、監査やコンプライアンスのためのログを提供します。 -
AWS Config
AWSリソースの設定が設定したルールに準拠しているかどうかを自動チェックし、ルールに準拠していない場合は自動修復することができます。 -
AWS Systems Manager
AWSリソースの運用管理を自動化し、リソースの状態を一元管理するためのサービスです。
リソースの設定やパッチ適用、インベントリ管理などが可能です。 -
AWS Service Catalog
承認されたAWSリソースのカタログを作成し、ユーザーが簡単にリソースをデプロイできるようにするサービスです。 -
AWS CloudFormation
インフラストラクチャをコードとして管理し、テンプレートを使用してAWSリソースを自動的にプロビジョニングするサービスです。
これらのサービスを組み合わせることにより、マルチアカウント利点を最大限に生かした、環境を構築することが可能となります。
さいごに
AWSのマルチアカウント構成は、セキュリティの強化、コスト管理の効率化、ガバナンスの向上、障害の影響範囲の限定など、多くの利点があります。
これらの利点を最大限に活用することで、企業はより安全で効率的なクラウド運用を実現できます。
今後、企業としてAWSの利用が拡大するのであれば、マルチアカウント構成は避けては通れない重要な内容です。
Sky株式会社は、マルチアカウントに関連するサービスのSDP(Service Delivery Program)認定を取得しており、AWSのベストプラクティスに則った最適な提案や支援を提供することが可能です。
マルチアカウント化でお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。