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ユーザビリティとは? アクセシビリティやUX / UIとの違いや向上の方法について解説

著者:Sky株式会社

ユーザビリティとは? アクセシビリティやUX / UIとの違いや向上の方法について解説

デジタル化が進むのに伴い、Webサイトやアプリケーションで情報収集をしたり、ソフトウェアを利用したりする機会は増え続けています。こうした背景から、Webサイトやアプリケーションといったサービスの開発において重要視されるようになったのが、「ユーザビリティ」の向上です。 サービスの開発・運用にあたって、ユーザビリティの向上が欠かせないポイントとなっている一方で、具体的な対策について悩むケースもあると思います。この記事では、ユーザビリティの意味や定義といった基本的な知識をはじめ、アクセシビリティやUX / UIとの違い、評価基準、ユーザビリティ向上のポイントなどについて詳しくご紹介します。

ユーザビリティとは何?

ユーザビリティ(Usability)とは、使いやすさや有用性などを意味する言葉です。主にWebサイトやソフトウェアの操作性を評価する際に使われます。「ユーザビリティが高い」と評されるサービスは、不快感がなく円滑に操作を行えることから、ユーザーが定着しやすいという特長があります。

ユーザビリティを軽視してサービスを開発すると、使いづらさを感じて途中で離脱してしまうユーザーが増え、「目標とする成果を得られない」「ユーザーの満足度が低下する」といった問題につながります。

ユーザビリティの定義と判断基準

ISO(国際標準化機構)の規格では、特定のユーザーが特定の利用状況において、目標達成のためにサービスを用いる際の「有効性」と「効率性」、「満足度」の度合いを示すのがユーザビリティであると定義しています。

一方、Webにおけるユーザビリティ研究の第一人者として知られるヤコブ・ニールセン氏の定義では、「学習しやすさ」「効率性」「記憶しやすさ」「エラー発生率」「主観的満足度」という5つの要素が判断基準として挙げられています。

ISOの定義より、ヤコブ・ニールセン氏の定義の方がより限定的な内容になっていますが、「ユーザーが満足し、操作が負担にならないこと」が重視されている点は共通しています。また、ただ使いやすいだけではなく、サービスを利用する目的をスムーズに達成できるかどうかが重要な指標となっています。

ユーザビリティとUI / UXの違い

UIはユーザーインタフェースの略で、ボタンや操作画面といった、サービスとユーザーの接点になる部分を指す言葉です。

UXはユーザーエクスペリエンスの略で、サービスの利用を通じてユーザーが得られる体験を指します。ユーザビリティが効率や効果を指標とするのに対し、UXはユーザーの感情なども含めた総合的な体験を評価します。

関係性のイメージとしては、使いやすいUIであることが、ユーザビリティが高いサービスとなり、結果的により良い体験が得られるUXの向上につながるという構図になっています。

ユーザビリティとアクセシビリティの違い

アクセシビリティ(Accessibility)とは、年齢や性別、ハンディキャップなどに左右されず、さまざまなユーザー層にとって利用しやすいように設計したサービスのことをいいます。一方で、ユーザビリティの定義ではユーザー層の幅には触れられていません。

例えば、色覚障害のある方にとって使いづらいデザインになっている場合など、使い勝手がいいと感じられるユーザーの幅が限定されるものは、アクセシビリティが高いといえません。

ユーザビリティが重要視されている理由

ユーザビリティの重要性が高まっている背景には、「能動的メディア」の登場があります。能動的メディアとは、Webサイトやアプリケーションのような、ユーザーが自分で操作をして情報を得るメディアのことです。

一方的に情報を伝えられるテレビや雑誌、ラジオのような「受動的メディア」とは異なり、能動的メディアは操作性が悪いと情報にたどり着くことができません。そのためコンテンツ自体が有益であったとしても、ユーザビリティがおざなりになっていれば、ユーザーにとって有用とはいえなくなってしまいます。

Webサイトやアプリケーションは種類も膨大です。数ある中から自社のコンテンツを選んでもらって継続率や定着率を高め、目標とする成果を上げるためには、開発時にユーザビリティを意識することが欠かせません。

ユーザビリティを評価する5つの要素

1.学習のしやすさ

学習のしやすさとは、機能や操作のわかりやすさなどを指し、サービスを初めて使うユーザーでも簡単にシステムを理解し、すぐに機能や操作を覚えて使うことができるかどうかを評価します。操作方法を調べなくても扱えるほど、シンプルで直感的に操作できるシステムを目指す必要があります。

2.効率性の高さ

ユーザビリティを高めるためには、ユーザーにとって効率性の高いサービスを目指さなければなりません。そのため、複雑で覚えにくい操作方法を採用したり、余計な機能を搭載したりするのは避けて、簡単にサービスの利用目的を果たせるように導線を工夫することが求められます。

3.記憶の残りやすさ

記憶の残りやすさは、ユーザーが時間を置いてサービスを利用した際に、前回と同じように使用できるかどうかを評価します。覚えやすい操作方法を採用したり、閲覧済みのリンクを違う色で表示する機能を搭載したりすることが、対策として挙げられます。

4.エラーの頻度

エラーが頻発するとユーザーに不快感を与え、ユーザビリティを著しく低下させてしまいます。せっかく操作がしやすいシステムを開発しても、エラーが頻発すれば操作が邪魔されてしまう上に、エラーの解決に時間を要すると効率性も低くなります。

そのため、できる限りエラーを減らすことはもちろんのこと、エラーが起きてしまった場合にも簡単に解決できるように工夫しておくことが重要です。

5.満足度

満足度は、ユーザーの主観的な満足感を測るための指標です。サービスの使いやすさや目的を果たした際の達成感のほか、目的を果たすまでの過程でストレスを感じる瞬間がないか、使っていて楽しいかどうかといった点が、満足感を高める要素になります。

これらの要素を満たせるサービスを開発するためには、ユーザーがサービスを利用する目的を正確に把握することも大切です。

ユーザビリティを高める5つの方法

1.実際に使用している瞬間のチェック

ユーザー視点の使い心地を確認するためには、実際にユーザーが使用している際の状況などをチェックすることが有効です。特に重要なのは、最初にユーザーの目に入るページがどのように受け取られるかです。ほしい情報がすぐに発見できることが、使いやすいサービスであるといえます。

またシステムの開発では、実際にユーザーに利用してもらってフィードバックを得る「ユーザビリティテスト」をリリース前に行うケースもあります。

2.ヒューリスティック評価

ユーザビリティ向上に役立つ手法の一つに「ヒューリスティック評価」があります。これは、UI / UXの専門家が経験則に基づいてユーザビリティの評価を行うものです。この手法により、具体的な改善策を網羅的に見つけ出すことができます。

ユーザビリティテストのように被験者を用意する必要がなく、コストや期間を抑えやすい点もメリットです。一方で、評価に用いる項目や担当する専門家の能力によって、精度に偏りが出る可能性がある点に注意が必要です。

3.アイトラッキング調査

人の視線を追跡する機械(アイトラッカー)を活用すると、ユーザーが画面上の情報をどのように捉えているのかを、正確かつ客観的に調査できます。これにより、視線が向かいやすい箇所や向かいにくい箇所、ユーザーがどのような順序で情報を見ているかなどを分析して、配置の改善などに役立てることが可能です。

視線の動きには意識的なものと無意識なものがあるため、行動と照らし合わせながら分析することで、より的確な結果を得られます。

4.Analytics解析

WebサイトやアプリケーションにおけるAnalytics解析とは、ページにアクセスしたユーザーの属性などの情報を、ツールを使って解析することを指します。

ユーザーが該当のページにたどり着いた経緯や各コンテンツのアクセス数、ユーザーごとの使用頻度などを調査できるほか、ユーザーの住んでいる地域や年齢・性別、使用デバイスといった情報を得られるため、利用者層を意識した機能改善に役立ちます。

5.ヒートマップ活用

ヒートマップは、視線の動きやマウスの動き、文章を熟読している時間、各箇所のクリック数・タップ数といった情報を、サーモグラフィーのような色のグラデーションで示す手法です。ユーザーがページのどのあたりまでスクロールして閲覧したかを示す「スクロール到達率」なども、ヒートマップとして示すことが可能です。

ヒートマップツールを利用して、画面上の位置別の滞在時間を視覚化すると、ユーザーの興味を引く箇所や、ページからの離脱を招きやすいポイントをひと目で把握できます。

ユーザビリティ向上に必要な分析方法

定量分析の活用

ユーザビリティ向上のために行う分析は、大きく2種類に分けられます。Analytics解析や選択式のアンケートのように、具体的な数値や統計データを用いて分析を行う手法は「定量分析」に分類されます。この手法では、数学的なモデルや統計学の手法を使ってデータを読み解いていきます。

ユーザーの主観的な感想を探ることには向いていないものの、客観的なデータに基づく、根拠のある結果を導ける点が定量分析のメリットです。

定性分析の活用

一方、専門家に意見を聞いたり、ユーザーから自由記述でフィードバックを得たりといった、数値で表せない質的なデータを扱う分析方法を「定性分析」といいます。感情や意見、態度など、主観的な要素について調査をして、特徴や傾向を知るために使われます。

ユーザビリティの向上においては、ユーザーの主観的な満足度などの把握が重要になるため、定量分析だけでなく定性分析も行ってニーズを分析することが求められます。

Sky株式会社のユーザビリティ向上への取り組み

Sky株式会社では業務系システム開発の支援を行っており、「detect(課題の発見)」「detox(課題の解決)」「delight(理想的な体験)」という3つの行動指針を掲げ、UX / UIデザインと向き合っています。ユーザビリティの低いシステムが生まれる原因は、UIよりもUXへの配慮不足にあるという考えのもと、ストレスのない理想的なユーザー体験の実現を目指します。

本質的な課題を解決するために大切にしているのは、ユーザーテストやユーザーインタビューを通して、ユーザーの視点からアプローチをすることです。また、業務内容の変化に合わせながら、継続的に支援を行うことも可能です。UI / UXの専門家によるサポートを受けたいとお考えの際は、ぜひSky株式会社までご相談ください。

まと

「ユーザビリティ」という言葉は単に「使いやすさ」を表すものと思われがちですが、幅広い視点からユーザーの目的達成を手助けできるサービスこそが、本当の意味で「ユーザビリティが高い」サービスだといえます。

能動的メディアが浸透した現代において、サービスの開発時にユーザビリティを意識することはとても重要です。ユーザーの心境に寄り添い、より満足度の高いサービスを目指したいというときには、今回ご紹介した評価基準や分析手法などをぜひ参考にしてみてください。