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Sky株式会社

公開日2024.10.02

動画生成AIとは? ツールの選び方や活用のメリット、注意点について紹介

著者:Sky株式会社

動画生成AIとは? ツールの選び方や活用のメリット、注意点について紹介

動画生成AIを使えば、動画制作の専門的な知識がなくても、テキストや画像から自動で動画を生成することが可能です。無料で使えるアプリや高品質なサービスも登場しており、動画生成AIの使用を検討する場面も増えているのではないでしょうか。 この記事では、動画生成AIの基本的な特徴や、メリット・デメリットについて紹介します。選び方のポイントや、使用にあたっての注意点なども解説していますので、ぜひ参考にしてください。

動画生成AIとは

動画生成AIとは、テキストや画像などの情報を入力することで、AI(人工知能)が自動的に映像や音源を組み合わせ、動画生成を行う技術です。これまで撮影・編集にかかっていた手間やコストを削減し、効率的に動画を制作できます。

複雑なデータ処理を必要とするため、生成AIのなかでも開発難易度が高いとされていましたが、2023年にRunway社が「Gen-2」という高品質な動画生成AIを発表したことをきっかけに、さらに注目度が高まっています。

動画生成AIの特徴

動画生成AIは、指示されたイメージに沿った動画生成や、静止画による動画生成が行えるほか、動画の加工や字幕生成、翻訳、音声生成といった編集作業にも対応できるという特徴があります。なかにはアバターの生成機能を持つものもあり、プレゼンテーションなどに活用することも可能です。

動画生成AIを活用する3つのメリット

動画をすべて人の手で作成する方法もあるなかで、動画生成AIを活用するメリットとはどのような点にあるのでしょうか。ここでは、動画生成AIを取り入れる主な利点を3つ紹介します。

動画制作の時間短縮

通常の動画制作は、数分の動画でも数時間から数週間という多大な時間を要する作業です。「何パターンか試してから決めたい」と思っても気軽に試せない、字幕入れなどの機械的な作業に多くの時間を取られてしまう、といった場面も少なくありません。

生成AIはこうした作業を迅速に行えるため、うまく活用することで作業時間の大幅な短縮が可能です。また、大まかな作業はAIが行い、細かい調整だけを人の手で行うこともできるため、限られた時間のなかでも細部にこだわった編集が行えます。

動画作成の高いスキルが不要に

従来の動画制作は、使用する機材やツール、それらを扱うための知識などが一般的には浸透しておらず、専門性が高いイメージがあったかもしれません。近年は誰でも投稿できる動画サイトなどの流行により、使いやすいツールやアプリも増えていますが、それでもある程度はスキルを身につけなければ使いこなすことができません。

しかし、動画生成AIが登場したことで、専門的な知識やスキルがない人でも、より気軽に動画制作に挑戦できるようになりました。

高品質な動画が作成可能

高品質な動画生成AIの登場によって、いまでは初心者でも一定以上の品質で動画を作成できます。また、すでに動画制作の経験があるクリエイターにとっても、手作業では難しかった制作手法や、新しい表現を試すためのきっかけとして活用することが可能です。

また、動画生成AIを利用して金銭的・時間的なコストを削減できれば、限られたコストの中でも幅広いニーズに合わせた調整を行えるようになり、試行錯誤しながらより高品質な動画を追求できます。

動画生成にAIを活用するデメリット

動画生成AIにはさまざまなメリットがある一方で、使用する前に認識しておくべきデメリットも存在します。

現状の生成AIはまだ未成熟な技術であり、誤情報の判別までは行えず、誤った情報を学習してフェイクコンテンツを生成してしまう恐れがあります。また、生成AIの技術自体が成熟していったとしても、人の意思により悪用されるリスクは避けられません。詐欺やなりすまし、偏見の拡散などにつながることがないよう、使用者の倫理観やリテラシーの向上が求められます。

さらに、動画に限らない生成AI全体の問題として、人間の仕事を奪ってしまうリスクがあることも指摘されています。生成AIで作成された動画や画像は、「細かい調整ができない」「使用者の好みを学習することで作品が単調になる」といった課題もあるものの、一定の品質のものをコンスタントに生成し続けられるため、これまで人間が担ってきた制作業務を代替できてしまう可能性があります。

動画生成AIの活用時の注意点

前述のように、動画生成AIの使用者には倫理観やリテラシーが問われる場面もあります。利用する際には以下のような点に注意して、問題のある動画を公開してしまわないよう気をつけることが重要です。

著作権侵害の可能性

生成AIは、既存の作品のデータを学習することで、動画や画像などの生成を可能にしています。そのため、「学習に使用された作品の著作権を侵害していないか」という点は、特に注意すべき問題となっています。

まずは学習元としてどのようなデータが使用されていて、著作権の情報がどうなっているのかを正しく把握することが大切です。動画の公開時には、必要に応じて出典元を明記したり、専門家と連携したりすることで、著作権侵害を回避できるようにする必要があります。

商用利用の確認

動画生成AIで生成した動画をビジネス目的で使用する場合、事前に商用利用についての規約を確認する必要があります。利用規約の記載を守らずにビジネス目的で使用してしまうと、法的な問題にまで発展する可能性もあるため、注意が必要です。

大抵の場合、利用規約には商用利用に関する項目が記載されています。「商用利用可」「商用利用不可」のほか、「有料版のみ可」といった条件がついているケースもあります。

生成された情報の正確性

動画生成AIはフェイクコンテンツを生成してしまうケースがあることから、情報のチェックを怠ったまま公開すると、社会的な混乱につながる恐れがあります。特に教育や報道といった分野では、慎重な判断が求められます。

また誤情報のほか、倫理的に問題がある内容などについても、AIでは判別できない場合があります。生成した動画を公開する際は、視聴者や社会に与える影響を考慮し、必ず人の目でチェックを行うことが重要です。

動画生成AIを選ぶ際のポイント

動画生成AIの導入を検討する際は、どのツールやサービスを選ぶべきか迷ってしまうかもしれません。まずは利用する目的を明確にしておくと、条件に合ったツールが選びやすくなります。

生成する動画のジャンルや公開場所、商用目的かどうか、かけられる予算などが明確になっていれば、導入すべき動画生成AIの選択肢も絞られます。また、使いやすさだけを重視すると生成される動画が単調になってしまったり、逆にこだわりすぎると操作の難易度が上がってしまったりする恐れもあるため、使いやすさと機能性のバランスを見ながら選択するのがよいと考えられます。

動画生成AIを選ぶ際の具体的なポイントとしては、以下の5つのような点があります。

生成する動画の種類

一口に動画生成AIといっても、エフェクトやテンプレートの種類と数、得意とする動画の傾向などはそれぞれ異なります。SNS用の短いプロモーション動画なら、編集が簡単でスマートフォン向けの動画が生成できるものを選んだり、字幕を入れる必要があるなら、字幕生成に特化したものを選んだりと、生成したい動画の種類に合わせて選択することが重要です。

備わっている機能

テンプレートなどが豊富に用意されていることも重要ですが、動画生成AIを選ぶ上での機能面でのポイントとして、カスタマイズ性や出力設定を確認しておくこともお勧めです。カスタマイズ性は、高すぎても低すぎても扱いづらくなる恐れがあるため、バランスを考慮して選択します。

出力設定は、出力される動画の品質に大きく関わる重要な機能です。投稿先に合わせて、見劣りしない品質の動画が出力できるか、事前にチェックしておきましょう。

動画生成AIの料金

料金形態は、選択するツールによってさまざまです。利用頻度に合った契約プランが選べるか、予算が決まっている場合は予算内で利用可能かなど、事前に料金について確認してから導入することが大切です。

なかには無料トライアルが行えるものもあるため、実際に使用してみて問題がなければ製品版を導入する、という方法もあります。

対応言語

海外で開発された動画生成AIもあるため、対応言語に注意する必要があります。特に字幕やテキストの挿入をメインに行う場合は、日本語の文章やフォントに対応しているものを選択しないと、当初の目的を果たせなくなってしまいます。音声合成を利用したい場合も、事前に対応言語を確認したほうがよいでしょう。

商用利用の可否

注意点の項目でも紹介したように、動画生成AIは基本的に商用利用の可否や条件が定められています。生成した動画をビジネス目的で使用する予定がある場合は、商用利用が可能か確認した上でツールを選択しなければなりません。

別途ライセンス購入などが必要な場合もあるため、目的や予算を踏まえて検討することが大切です。

生成AIに関するQ&A

日本に生成AIを規制する法律はある?

日本における生成AIと著作権法の問題については、「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階」で分けて考える必要があります。前者では既存の著作物を学習データとして利用する行為、後者では画像や動画を生成する行為が議題となり、関係する著作権法の条文が異なるためです。

AI開発・学習段階での著作物の利用については柔軟な規定が設けられており、「あくまで情報解析を目的とした利用であること」「著作権者の利益を不当に害さないこと」などを条件に、利用が認められています。

生成・利用段階では、著作権を侵害しているか否かは、AIを使用せずに作品を作る場合と同様に判断されます。利用許諾を得ている場合や、権利制限規定が適用される場合を除き、「類似性」と「依拠性」が認められるものは著作権侵害に該当します。

AIで生成したものは「著作物」になる?

著作権法における著作物の定義は、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とされています。そのため、AIで生成したものが著作物にあたるか否かは、どのような意思と指示をもって生成されたかによって判断が分かれます。

たとえば、人は単に生成ボタンをクリックしただけで、AIが自律的に生成したものである場合は、著作物には該当しないと考えられます。一方、人が「思想や感情を表現するための道具」としてAIを利用したと認められる状況なら、著作物に該当する可能性があります。

Sky株式会社のAIに関するサービス

車の自動運転や医療用の画像診断支援、工場での外観検査など、近年ではあらゆる現場でAI・画像認識を活用したシステムの実用化が進められています。

Sky株式会社では、急成長を続けるAI・画像認識システムを用いた開発について、技術面や知識面でのサポートを行うことが可能です。車載や医療、オフィス、FA(工場の自動化)といった幅広い分野でAIに関する開発に携わっており、新たな技術やノウハウを蓄積し続けています。

弊社が扱う技術は、画像認識やデータの作成・分析、エッジデバイスを用いたクラウドソリューションの構築などさまざまです。開発の全工程にわたるサポートから、個々のフェーズにおける数名単位でのエンジニア不足のカバーまで、柔軟な対応が可能です。

まと

動画生成AIをはじめとした生成AIは、高品質なサービスや無料で利用できるアプリなどの登場により、幅広い層に浸透しつつあります。著作権の侵害や利用規約違反、フェイクニュースの拡散などの重大な問題を引き起こさないよう、使い方に気をつける必要はありますが、うまく利用すれば短時間で高品質な動画の作成が可能です。

今回紹介した注意点や選び方のポイントなども考慮しながら、動画生成AIの導入・活用をご検討ください。