製品やシステムの開発といっても、開発はWindows OSを利用するのが大半です。
組み込み開発といっても、仕様書はWordやExcelで書かれているものも多いですし、デバッガやシミュレータははWindows用のものが用意されていることが大半です。
このように、開発と密接に関わっていると、当たり前のように使っているWindows OSですが、これまで数々の新機能が搭載され、世界のITを牽引する一翼を担っていると思います。
最近では、Windows 8以降が初めて触ったOSという方も多いです。
そんなWindows OSの歴史を製品の特長を含めてざっくりと振り返ってみたいと思います。
Windows 3.1 (1992年) MS-DOS系カーネル
TrueTypeフォントのサポートにより、文書の表示が向上。
Windows 95 (1995年) 9x系カーネル
スタートメニューとタスクバーの導入。
プラグアンドプレイ機能によりハードウェアの設定が簡単に。
インターネットエクスプローラー(IE)により、インターネットが身近に。
Windows 98 (1998年) 9x系カーネル
インターネットエクスプローラーの統合。
USBデバイスのサポートが強化。
Windows 2000 (2000年) NT系カーネル
NTカーネルを使用し、ビジネス向けに設計。
セキュリティと安定性が向上。
Windows Me (2000年) 9x系カーネル
マルチメディア機能が強化され、システムの復元機能が追加。
Windows XP (2001年) NT系カーネル
ユーザーインターフェースが一新され、家庭用とビジネス用の両方に対応。
安定性とパフォーマンスが向上。
Windows Vista (2006年) NT系カーネル
Aeroインターフェースと強化されたセキュリティ機能。
ユーザーアカウント制御(UAC)の導入。
Windows 7 (2009年) NT系カーネル
パフォーマンスと使いやすさが向上。
タスクバーの改良と新しいウィンドウ管理機能の追加。
Windows 8 (2012年) NT系カーネル
タッチスクリーン対応の新しいスタート画面。
Windowsストアアプリの導入。
Windows 8.1 (2013年) NT系カーネル
スタートボタンの復活とユーザーインターフェースの改良。
クラウドサービスとの統合が強化。
Windows 10 (2015年) NT系カーネル
スタートメニューの復活と仮想デスクトップ機能の追加。
CortanaとEdgeブラウザの導入。
Windows 11 (2021年) NT系カーネル
新しいデザインとウィジェットの導入。
Microsoft Teamsの統合とゲーム機能の強化。
これ以外にも、Windows NTやWindows Serverなど数多くリリースされています。
個人的に思い出深いのは、Windows 95で、パソコンを一般家庭に普及させた画期的なOSでした。インターネットエクスプローラーが登場したことで、一般家庭にもインターネットが普及しました。
※当時は、秋葉原でWindows 95を求める長蛇の列がニュースになっていました。
ただ、Windows 95~Windows Meにおけるカーネル(9x系)は、MS-DOSやWindows 3.1などの過去のOSとの互換を保つため、16ビットコードが内蔵されています。
これにより、フリーズ、ブルーバック、リソース不足、メモリ不足が頻発し、開発業務で利用するには安定しているとはいえませんでした。
一日に何度もPCを再起動したり、作成途中の文章が消えたりと、苦い思い出があります。
このようなこともあり、ショートカット「Ctrl+S」は、今でも無意識に押してしまいます。
これ以降のOSに搭載されたNT系カーネルは、全システム・コードがカーネル・モードで動作するため、このような問題から解放されました。
NTの開発については、書籍「闘うプログラマー」などでも紹介されており、開発リーダーのデビッド・カトラーは、その後、Microsoft Azureの開発にも携わっているようです。
(NTは、当時Windows NTやWindows Serverに搭載されていたので、「Network」の略と思われるかもしれませんが、正しくは「New Technology」です)
いかがでしたでしょうか。
MS-DOSも含めると、さらに長い歴史があります。
普段あまり気にせずに使っているOSも、歴史を紐解くと、色々な開発秘話もあり面白いです。