プログラミング研修で、「実務でプログラミングができるようになるには、参考書を何回読めばよいですか?」と相談されることがあります。
この場合、私は「1回で十分です」と伝えています。
資格試験の場合なら参考書を何度も読んで暗記する必要があると思いますが、プログラミングを実務で行う場合は暗記する必要はないので、参考書は1回読んで「こんなことができるんだ」程度の記憶で十分だと思っています。
実務で使える知識にする場合は、アクティブラーニングの方が定着率が高いです。
ラーニングピラミッド
アメリカ国立訓練研究所という機関が発表した研修結果に、ラーニングピラミッドと呼ばれる学習方法による知識の定着率を表したものがあります。
引用: アクティブラーニングの効果 | ケースメソッド | 名古屋商科大学 - AACSB国際認証校
「読書」の学習定着率は10%なので、一生懸命読書してもコストパフォーマンスが高くないと分かります。
また「講義」は5%なので、手軽にできるものほど学習定着率は低いように思います。
手軽なので1回読んで、サンプルプログラムを写経して実行して「こんなことができるんだ」と記憶しておいて、アクティブラーニングの「自ら体験する」の75%に進んでいきましょう。
自ら体験するキッカケ
プログラムはなんとなく作れるけど実務のイメージが湧かない場合、お題として一番よいのは「自分の作りたいプログラムを作る」です。
しかし、いきなり言われても難しいと思う人が多いと思います。
もし、Javaを学んでいて、Androidスマホを持っている人はAndroid Studioを使って、ボタンをクリックしたら『Hello World!』と表示するスマホアプリを作ってみることをおススメしています。
スマホアプリではなくWebブラウザで『Hello World!』と表示してもよいです。
ポイントは「自分の作ったプログラムを自分のスマホで実行すること」です。
問題の細分化
いきなりスマホアプリなんか作れるわけがない、知識がないから何から手を付けていいかわからない状態になると思います。
ここで大切なのは、落ち着いて大きな問題を解決可能な小さな問題に細分化することです。
例えば、以下のことはすぐに行動できます。
- Android公式サイトを調べる
- ChatGPTに聞いてみる
詳細までは分からなくても大枠はわかると思います。
必要な項目を箇条書きで書き出してみましょう。
項目を自分が行動できるまで、サイトを調べたり、ChatGPTに質問したりして、どんどん細分化していきましょう。
-
Android Studioをインストールする
⇒公式サイトに記載されている
⇒OSのバージョンを調べる -
Android Studioとスマホを接続する
⇒ケーブルタイプを調べる -
Android Studio で実行ファイルを作成する
⇒ビルドして実行ファイルを作成する -
実行ファイルを自分のスマホへインストール
⇒スマホの設定を変更する
ポイントは「細分化して、1つでもクリアできたら成長を実感する、自分を褒める」です。
予定通りに進まなくてもOKです。知識は着実に身に付いています。
挫折で多いのは「できない自分はダメだ」と成長途中の自分を実感できないことです。
プログラムを身近に感じる
プログラムならPCでもよいのでは?と思いますが、自分がいつも使っているスマホでプログラム(ボタンを押したら『Hello World!』と表示するだけ)が動くと、なんともいえない感動があって、プログラムをもっと身近に感じるようになります。
身近に感じられるようになると、こんなこともできるのでは?と今までできないと思っていたことに挑戦意欲が出てきます。学習効率が高いアクティブラーニングの状態になります。
空白を埋める力
結果は何となくイメージがある、しかし、やることが分からない場合、やることの空白を自分で埋めて進めていくことになります。
ここが頑張りどころです!何とかアイデアを捻りだしてください!
不正解かも?自信がないかも?
いえいえ、捻り出せたあなたは、この時点で素晴らしいです!
その勢いで実際に試して確認までできたらさらに素晴らしいです!
一つ一つ進んでいる自分を褒めて、自分の力で切り開く力を身に付けると、最高の学習定着率の状態になります。実務でも何とかなるんじゃないかという自信がつきます。
アクティブラーニングの強さは、自分で切り開く力を使って、知識と自信がつくことではないかと思っています。