プログラミング研修で「作成したプログラムの概要を説明してください」と伝えると「プログラムは書けるけど説明は苦手なんです」という人がたくさんいます。
学校の授業や独学では作ったプログラムを他の人に説明する機会がないので苦手なのは当然だと思います。
「そもそも説明って必要ですか?プログラムを読めば分かりますよね?」という声が聞こえてきそうですが、チームでシステム開発をするときに自分が作ろうとするプログラムや相手に作ってほしいプログラムを正確に素早く説明できるとチーム全体のパフォーマンスが上がります。
私自身も、実際に業務を進めていくと「言語化が難しい」と思うことがたくさんあります。
とりあえず全部説明する
苦手な人で多いのが「ここのif文で条件を判定して・・・」とプログラムを上から1行ずつすべて説明してしまうことです。
説明している方は満足感がありますが、説明されている方は情報量が多くて時間がかかって疲れてしまいます。「ウン、ソレハ、プログラムヲ、ヨメバワカルヨ」
すべての説明を聞き終わった後に「この条件は実現したいことに対して、どのように必要ですか?」とやりとりが始まって更に時間がかかり、最初の説明で上手く要点が伝えられていなかったことに気づきます。
少ない情報量で説明する
多くの書籍では、最初に「目次」があります。目次の「見出し」を確認することで書籍の全体像がなんとなく把握できます。
「見出し」はその章で何を伝えたいのか「要約」しています。
少ない情報で伝えるには「要約」が便利です。
要約する
説明する前に、以下を意識して一度テキストや紙に書き出してみてください。
- 伝えたいことを決めておく
- 読む人をイメージして伝わる言葉を使う
- 要点となるキーワードを使う
文章は「●●は▲▲する」くらいシンプルだと相手に伝わりやすくなります。
時間を意識する
説明する時間をあらかじめ決めておきましょう。例えば「今回は30秒で説明する」とイメージしてください。
「あれは絶対に伝えたいな、これは時間的に無理だからやめておこう」と少ない時間で自分が本当に伝えたいことは何かを自問自答しながら整理できます。
これを繰り返すと、重要なことから手短に説明できるようになります。
相手に聞いてみる
発表やプレゼンのように発表者から一方通行ではない場合は、相手に分かりにくかった点を聞いてみましょう。
説明の最初に「分かりにくかったら途中でも教えてください」と伝える、自分でもうまく説明できていないなと感じたら「説明を続けてもよろしいでしょうか?」と相手に聞いてみます。
相手は「途中で口を出したら悪いから最後まで聞こう」と待ってくれているので、こちらから相手が話すタイミングを作ります。
「伝える/伝わる」 は相手があることなので協力してもらいましょう。
色々と応用できる
プログラムの概要を短く説明する方法を紹介しましたが、この方法は短く伝えたい様々なシーンで応用できると思います。
今回は原理の説明のために「要約」を説明しましたが、実際、多くの人は「説明する時間を意識する」「シンプルな文章を意識する」だけでスッキリした説明に激変します。
つまり、意識の問題なので時々練習してもらえればと思います。
最後に「うまく説明できないとダメ、相手から質問が返ってこないくらい完璧にしないと!」と高い目標を持っている人がいらっしゃいます。
志が高くて素晴らしいですが、誰でも最初からできるわけではありません。
最初のうちは、気負わずに「上手く伝わらなかったら相手に教えてもらおう、聞いてみよう」と少しだけ考え方の幅を広げてもらえればと思います。