ソフトウェア開発において、 Verification(検証) と Validation(妥当性確認) は非常に重要なプロセスです。
これらはソフトウェアの品質を確保し、最終的な製品がユーザーの期待に応えるものであることを保証するために行われます。
この二つのプロセスは異なる目的と手法を持ち、異なる段階で実施されますが慣れるまでは、どちらがどういう内容だったか混同しがちです。
本記事では、VerificationとValidationの違いについて記載し、それぞれの目的、手法、ツール、そして具体的な適用例について説明します。
Verification(検証)
■ 目的
Verificationの目的は、ソフトウェアが設計仕様や要件に従って正しく作成されているかを確認することです。
これは、ソフトウェアが「正しく作られているか」を確認するプロセスです。
■ 実施段階
Verificationは主にソフトウェア開発の初期段階から中間段階で行われます。
具体的には、要件定義、設計、コーディングの各フェーズで実施されます。
■ 手法とツール
Verificationには以下のような手法とツールが使用されます。
- レビュー: 要件定義書、設計書、コードなどのドキュメントをレビューし、仕様に対する一致を確認します。
- ツール例: Atlassian Confluence、Microsoft Word
- ウォークスルー: 開発チームが集まり、設計やコードを順に確認しながら議論します。
- ツール例: Zoom、Microsoft Teams
- インスペクション: フォーマルな手法で、特定のチェックリストに基づいてドキュメントやコードを詳細に検査します。
- ツール例: JIRA、GitHub
- 静的解析: コードを実行せずに解析し、バグやスタイルの問題を検出します。
- ツール例: SonarQube、ESLint
具体例
例えば、あるプロジェクトで新しい機能を追加する際、設計書が作成されます。
この設計書が要件定義書に基づいて正しく作成されているかを確認するために、レビューやウォークスルーが行われます。
また、コーディングが完了した後、静的解析ツールを使用してコードの品質を検証します。
Validation(妥当性確認)
■ 目的
Validationの目的は、ソフトウェアがユーザーのニーズや期待に応えているかを確認することです。
これは、ソフトウェアが「正しいものが作られているか」を確認するプロセスです。
■ 実施段階
Validationは主にソフトウェア開発の後期段階で行われます。
具体的には、統合テスト、システムテスト、受け入れテストのフェーズで実施されます。
■ 手法とツール
Validationには以下のような手法とツールが使用されます。
- ユニットテスト: 個々のモジュールやコンポーネントが正しく動作するかを確認します。
- ツール例: JUnit、NUnit
- 統合テスト: 複数のモジュールが連携して正しく動作するかを確認します。
- ツール例: Selenium、Postman
- システムテスト: システム全体が要件を満たしているかを確認します。
- ツール例: TestRail、HP ALM
- 受け入れテスト: ユーザーが実際に使用して、要件が満たされているかを確認します。
- ツール例: Cucumber、FitNesse
具体例
例えば、あるプロジェクトで新しい機能が実装された後、統合テストを行い、各モジュールが連携して正しく動作するかを確認します。
その後、システム全体のテストを行い、最終的にユーザーが実際に使用して受け入れテストを行います。
このプロセスを通じて、ソフトウェアがユーザーの期待に応えているかを確認します。
まとめ
VerificationとValidationは、ソフトウェア開発において欠かせないプロセスです。
Verificationはソフトウェアが設計仕様に従って正しく作成されているかを確認し、Validationはソフトウェアがユーザーのニーズや期待に応えているかを確認します。
これらのプロセスを適切に実施することで、高品質なソフトウェアを提供することが可能となります。
VerificationとValidationの違いを理解し、適切な手法とツールを使用することで、ソフトウェア開発の成功に大きく貢献することができると思います。ぜひ意識してみてください。
ただし、VerificationとValidationの境界はプロジェクトや組織によって異なる場合があります。
ご自身の担当する業務に合わせて、柔軟に対応していくようにしましょう。