世の中には、私たちの生活を支える様々な製品・サービスで溢れかえっています。
そうした中、製品・サービス提供者は、他社との差別化を図り自社の利用者数を増やし、ユーザー満足度を上げるために様々な工夫を凝らしています。
UX(ユーザーエクスペリエンス)を意識したUIづくりもその1つかと思います。
旅先でレンタカーを借り、備え付けのカーナビゲーションで行き先までの道案内をしたり、携帯をペアリングして音楽をかけようとしたとき、自分が所有している車のカーナビゲーションとは違うメーカーの製品(UI)なのに、スイスイと容易に操作ができたり、逆に音量の下げ方さえも分からずに使用そのものを断念した、 というような経験をされたかたも多いのではないでしょうか。
こうした体験は、次の製品購入時の参考にもなり得ますから、UXを意識した製品・サービスの開発はとても大切であるように思います。
以下紹介させていただくのは、UXを評価する手法の一つとなります。
NEM法(Novice Expert ratio Method)
初心者(Novice)と専門家(Expert)の操作時間の比率を用いて定量的に問題点を発見する方法。
この手法は、ノーマンのメンタルモデルに基づいており、デザイナーの描くデザインモデルとユーザーの描くユーザーモデルとのギャップを可視化することを目的とされています。
- 定量的評価:
NEM法は、評価結果を数値として示すことができるため、客観的な評価が可能。 - 初心者と専門家の比較:
初心者と専門家の操作時間を比較することで、製品やサービスの使いやすさを評価。 - 応用と拡張:
NEM法は、さまざまな評価現場に応じて応用・拡張が可能。
NEM法の評価プロセス
- タスクの設定:
評価対象の製品やサービスに対して、具体的なタスクを設定。 - 操作時間の計測:
初心者と専門家にタスクを実行させ、その操作時間を計測。 - 比率の計算:
初心者の操作時間を専門家の操作時間で割り、その比率を計算。 - 評価:
得られた比率を基に、製品やサービスのユーザビリティを評価する。
NEM法の利点
- 客観性:
定量的なデータに基づくため、主観的な評価に比べて信頼性が高い。 - 比較可能性:
異なる製品やサービス間でのユーザビリティの比較が容易。
この手法により、ユーザビリティの問題点を定量的に示すことが可能となり、具体的な改善点を明確にすることができます。
ソフトウェア仕様書に基づいて機能が実装されているか?を確認する「検証」だけでなく、製品・サービスの妥当性・使い勝手を確認する「評価」が、モノづくりの開発現場で重要になってきています。