はじめに
AIエージェントのPoC(Proof of Concept)では、「このユースケースは実現できるか」「期待する精度が出るか」といった点を重視することが多いと思います。
もちろん、PoCにおいてこの観点は重要です。
しかし、 PoCで手応えがあっても、そのまま実業務に導入できるとは限りません 。
実際には、導入や運用の段階で別の論点が問題になることがあります。
本稿では 様々なAIエージェントの社内導入を検討している方 を対象に、私が業務を通じて感じた、導入を見据えた場合に PoC段階から意識できるとよいと感じた2つのポイント について共有いたします。
① 費用対効果をPoCの段階から意識する
生成AIの活用にはコストがかかります。
特にクラウドLLMを利用する場合、その利用料は無視できません。
PoCでは「まず実現できるか」を確かめることが優先されやすく、性能の高いモデルやリッチな構成を選ぶこともあると思います。
しかし、PoCでよい結果が出たとしても、 導入時には費用対効果が問われます 。
PoC後に「高性能なモデルを利用すると採算がとれない」と安価なモデルを利用することになれば、 再度検証を行う手戻りやそもそも安価なモデルではPoCのような結果が得られない、といったリスク が生じる可能性があります。
今後のモデル性能の向上を期待してとりあえず現段階ではコスト度外視で実現可能性を追うといった方針もあると思うので思想の違いにもよりますが、PoC後に早期に展開していきたいという要件であればこの辺りをPoC時点から考慮しておくとよいと思います。
また、AIの利用料だけではなく、導入後の運用や継続利用に伴う負担などのコストも考えておくとよいかもしれません。
② 保守・運用をどうするかを先に考えておく
もうひとつ、PoCの段階で意識しておきたいのが保守・運用です。
PoC後に実業務に導入したあとは、使い続けるためのメンテナンスが必要になります。
特に様々なAIエージェントを開発して複数の業務に展開していった場合、保守対象も増えていきます。
開発を担当する部署がそのすべての保守・運用を引き受けるのは現実的ではありません 。
そのため、PoCの段階から 最終的にどのような運用形態にするのかを考えておく ことが重要です。
たとえば、そのAIエージェントを どのような方(極論ITに関係ない方)でも
メンテナンスできることを意識 したドキュメントを残しておくといった工夫が考えられます。
また、保守のしやすさをPoC時点での設計に織り込むという工夫も考えられます。
例えば、システムプロンプトを修正する必要をなくす構成にするなどです。
PoCでは「まず動くこと」を優先しがちですが、導入後に使い続けることを考えると、属人化を避けて誰でも扱いやすい形(特に開発者以外も)になっているか意識しておけるとよいと思います。
おわりに
本稿では業務を通じて感じた、AIエージェントの導入を見据えた場合にPoCで意識しておきたいと感じた2つのポイントを紹介しました。
AIエージェントのPoCでは、実現性の確認が中心になりますが、実業務への導入まで考えるなら、費用対効果や保守・運用も早い段階から意識しておくことが重要だと思います。
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