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ソフトウェアテストエンジニアは​「V字モデルの​外」に​出る​時代へ​ -ISO/IEC/IEEE 15288と​V字モデルを​重ねて​考える​-

ソフトウェアテストエンジニアは​「V字モデルの​外」に​出る​時代へ​ -ISO/IEC/IEEE 15288と​V字モデルを​重ねて​考える​-

ソフトウェアテストエンジニアの役割が拡大する中、製品ライフサイクル全体を定義したISO 15288の考え方を取り入れる重要性を解説します。V字モデルと組み合わせることで、どの工程からでも品質向上に貢献できる視点を持てるようになります。

近年、新サービス・新システムの開発において、ソフトウェアテストエンジニアに求められる
役割は大きく変化しています。

従来は、

  • 要件定義後に参画する
  • 仕様書・設計書を元にテストを設計する
  • 実装後に品質を確認する

という「V字モデルの右側」に寄った役割が中心でした。

しかし現在は、テストエンジニアに求められる領域は明らかに広がっています。

  • 製品のコンセプト段階から品質リスクの検討
  • 新サービスの要求の曖昧さを整理する役割
  • 製品がどのように進化していくかを見据えた品質設計

つまり、テストエンジニアは「V字モデルの中の役割」から「製品・サービス全体を支える役割」へと進化していると言えます。

そこで有効となるのがISO/IEC/IEEE 15288:2023 (以下、ISO 15288)という考え方です。

ISO 15288とは​何か​(シンプルに​理解する)

ISO 15288は、システムや製品のライフサイクル全体を定義した国際規格です。

ポイントは、ソフトウェア開発だけを対象にしているのではなく、

  • 製品の構想
  • 利用者の要求
  • システムの定義
  • 設計
  • 開発
  • 運用
  • 改善
  • 廃止

までを一つの流れとして捉えている点です。

つまりISO 15288は、「システムは作って終わりではない」という考え方に立っています。

これは今の時代に非常に合っています。

なぜなら現在のシステムは

  • 1度作って終わりではない
  • 継続的に改善される
  • サービスとして進化していく

ものになっているからです。

その意味ではISO 15288は、古い規格ではなく
むしろ今の時代にこそ意味を持つ考え方だと言えます。

V字モデルと​ISO 15288の​関係

現在多くのプロジェクトでは、V字モデルを中心に開発が進められています。
しかし実際には、V字モデルは製品のライフサイクルの一部に過ぎません。

ISO 15288では、製品の構想から運用・改善までを含めたライフサイクル全体が定義されています。
つまりV字モデルはISO 15288の中に含まれる考え方の一部であり、テストエンジニアもその全体を意識することが求められるようになってきています。

V字モデルは、「開発工程の構造」を示したものです。

一方、ISO 15288は「製品のライフサイクル」を示したものです。

この2つを重ねると、次のような関係になります。

①製品の​構想段階​(V字モデルの​外側)

ISO 15288では最初に

  • ステークホルダーの要求
  • 利用者が何を求めているか
  • 製品がどのような価値を提供するのか

を整理します。

しかしここには、V字モデルにはほとんど登場しません。

つまり、多くの品質課題は、V字モデルが始まる前に既に発生している可能性があります。

テストエンジニアがここに関われると、

  • 要求の曖昧さ
  • 用語のズレ
  • 想定利用シナリオの不足

を早い段階で発見できます。

②要求定義​(V字モデルの​左側上部)

ここで初めて、V字モデルとISO 15288が重なります。

ISO 15288ではこの工程は
システム要求定義
と呼ばれます。

テストエンジニアがこの工程でできることは非常に多いです。

例えば

  • 要求がテスト可能かどうかを確認する
  • 性能・信頼性・使用性などの品質要求が抜けていないかを見る
  • 将来の運用を考えた要求になっているかを確認する

つまりこの段階で関われるかどうかで、プロジェクトの難易度は大きく変わります。

③設計・実装​(V字モデルの​中央)

ここは従来からテストエンジニアが関わってきた領域です。

ただしISO 15288の考え方を取り入れると、単なるテストではなく

  • 設計段階での品質リスクの指摘
  • アーキテクチャの弱点の発見
  • 将来の変更に耐えられる設計かどうかの確認

といった「設計段階での品質活動」が可能になります。

④運用・改善​(V字モデルの​右側の​外)

V字モデルは「リリース」で終わるモデルです。

しかしISO 15288では

  • 運用
  • 保守
  • 改善
  • 次バージョン

までが一つの流れです。

つまりテストエンジニアの役割は

  • バグを見つけることではなく
  • 製品の品質を成長させること

へと変わっていきます。

ISO 15288を​取り入れる​意味

ISO 15288を知っていると、テストエンジニアは次の視点を持てるようになります。

①どの​工程から​参画しても​改善ポイントが​見える

例えば

  • 要求定義から参画した場合 ➡要求の曖昧さを改善できる
  • 設計から参画した場合 ➡品質リスクを整理できる
  • テストから参画した場合 ➡次のバージョンの改善点を提案できる

つまり、どの工程から入っても価値を出せるエンジニアになるための考え方がISO 15288です。

②品質リスクを​「早く​止める」ことができる

品質問題は、後ろの工程ほど修正コストが高くなります。

しかしISO 15288の考え方を取り入れると、

  • 要求段階で止める
  • 設計段階で止める
  • 実装前に止める

という動きができるようになります。

これはテストエンジニアにとって非常に大きな価値です。

まとめ

これまでテストエンジニアは
V字モデルの右側で品質を確認する役割
として考えられることが多かったと思います。

しかし現在は、

  • 製品の構想段階から関わる
  • 要求の品質を高める
  • 設計の品質を支える
  • リリース後の品質改善につながる

という、より広い役割が求められています。

そのときに役立つ考え方がV字モデル×ISO 15288 です。

この2つを重ねて考えることで、テストエンジニアはどの工程からでもプロジェクトを良くできるという視点を持てるようになります。


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