はじめに
モノづくりにおいてUXを高めることは、顧客の満足度を高め、企業経営においてのブランド価値や競争優位性を確立することを目的としますが、モノづくりの過程における開発効率の向上に対しても大きな影響を与えます。
モノづくりの現場目線でどのようにしてUXを追求し、アプローチすれば開発効率や品質を高めていけるかを紹介させていただければと思います。
なぜUXリサーチが開発効率に繋がるのか?
開発の現場で最も作業効率が下がる要因としては、設計後に実装が進んでいる段階で、根本的な仕様の見直しが生じた際の手戻りです。
UXリサーチが不十分であったり、リサーチ結果を言語化せず曖昧なまま共有してしまうことで、認識ずれが生じ、開発効率を下げてしまう要因となってしまいます。
プロジェクトを円滑に進めるためにはユーザー理解は最初の一歩となります。
UXの核であるユーザーの「視点」や「行動」を理解し、業務要件を正しく定義することで、後工程での手戻りを最小限に抑えていきましょう。
UXリサーチ手法の紹介
1.ユーザーインタビュー
ユーザーの課題・行動・価値観を深堀りする
表面的な要望ではなく本質的なニーズを発見する
| 項目 | 具体例 |
|---|---|
| 業務の背景を理解する質問 | ・この作業の目的は何ですか? ・一日の業務の流れを教えてください |
| 現状の課題を深堀する質問 | ・今のやり方で困っていることは何ですか? ・ミスが起きやすい場面はどこですか? |
| 使用環境・制約を理解する質問 | ・どんな場所で使いますか? ・どんなデバイスで操作していますか? |
| 理想の状態を探る質問 | ・どの作業が効率化すると嬉しいですか? ・どんな情報が得られると役に立ちますか? |
2.行動観察
インタビューでは出てこない無意識の行動を発見する
実際の環境や制約を理解する
| 項目 | 具体例 |
|---|---|
| 作業環境 | 屋外/屋内 明るさ・視認性 |
| 操作行動 | どの操作を繰り返しているか どの操作に時間が掛かっているか |
| 使用デバイス | PC/タブレット/スマホ マウス or タッチ操作 画面サイズ |
| エラー箇所 | どこで止まるか どこで戻る操作が多いか |
| 非言語情報 | 表情の変化(困惑・安心) 迷う時間 |
3.ペルソナの作成
調査の結果をもとにユーザー像を設定する
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本情報 | 役割・経験・属性 |
| 目的 | 何を達成したいか |
| 業務内容 | 日常業務・作業内容・使用ツール |
| スキルレベル | ITリテラシー・専門知識 |
| 利用環境 | 物理環境・制約・デバイス |
| 課題 | 困りごと・ミスが起きやすい場面 |
| ニーズ | 欲しい情報・必要な機能 |
| 行動パターン | よく使う場面・操作の癖 |
4.カスタマージャーニー
ユーザーが目的を達成するまでの流れを可視化する
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ステージ | 体験の大きな流れ |
| 行動 | その場でユーザーが何をするか |
| タッチポイント | 何に触れるか |
| 感情 | どう感じているか |
| 課題 | どこで困っているか |
| 改善機会 | UX要件としてどう改善するか |
| KPI | 成果をどう測るか |
5.インサイト抽出
調査の結果をもとに本質的な課題を言語化する
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事実 | 観察・ヒアリングで得た客観情報 |
| 気付き | 表面的な課題 |
| 本質課題 | 根本原因 |
| 感情・動機 | 行動の背景にある心理 |
| インサイト | 深い理解(本質) |
| 改善機会 | UX要件の方向性 |
| 優先度 | どれから改善すべきか |
おわりに
UXリサーチは単に使いやすいものを作るためだけでなく、開発のムダを削ぎ落し、効率よくユーザーに価値を提供するためのアプローチとしても非常に大切ですので、参考にしていただけますと幸いです。

