MDMの仕組みを紐解く(Apple) シリーズの第6弾です。 今回はモバイル通信において存在感を増している【eSIM】についてご紹介いたします。
過去の記事はこちら
- MDMの仕組みを紐解く(Apple) ~①MDMの概要紹介~
- MDMの仕組みを紐解く(Apple) ~②モバイル端末を操るMDMコマンド~
- MDMの仕組みを紐解く(Apple) ~③監視モードについて~
- MDMの仕組みを紐解く(Apple) ~④Apple Business Manager/Apple School Managerについて~
- MDMの仕組みを紐解く(Apple) ~⑤構成プロファイルについて~
SIM・eSIMについて
SIMとは「Subscriber Identity Module」の略称で、加入者識別モジュールを指します。 SIMには 契約者情報や電話番号などが記録されており、これらの情報を持つSIMカードをデバイスに挿入することで通信機能を持つ個人のデバイスとして利用が可能になります。
では、今回のメインテーマであるeSIMはどのようなものなのでしょうか。 eSIMとは「Embedded SIM」の略称で、最大の特徴は「デバイスに内蔵されている」ことです。 物理的なSIMカードは不要で、プロファイルのダウンロードのみで通信が可能になります。
2025年9月に発売されたiPhone 17, iPhone Airは日本国内で発売されたモデルについてはeSIMにのみ対応になりました。 また、総務省がeSIMの普及を推進しているため、今後さらにeSIMの対応は拡大していくものと見られます。
eSIMの特徴をご紹介します。
①手続きがオンラインで完結
店舗で手続きをする必要がなく、購入から設定までオンラインで完結するため端末が届いた日に利用可能になります。
②海外対応
出張や旅行時、eSIMであれば現地の通信プランにすぐ切り替えができて便利です。 物理的なSIMカードの利用時は現地でSIMカードを調達する必要がありましたが、eSIMを利用すればオンライン上で手続きができるため手間も時間も削減できます。
登録方法
AppleデバイスへのeSIMの登録方法として2つご紹介します。
①QRコード
初期設定時に表示される「モバイル通信を設定」で「QRコードを使用」を選択します。 通信事業者から提供されているQRコードを使用し、案内に沿って登録できます。
※iPhoneのスクリーンショット画像
②クイック転送
初期設定時に表示される「モバイル通信を設定」で「近くのiPhoneから転送」を選択します。 案内に沿って進めると、これまで使用していたAppleデバイスから新しいAppleデバイスにeSIMを転送することができます。 通信事業者が対応している場合はSIMカードをeSIMに変換することもできます。
※iPhoneのスクリーンショット画像
※初期設定後にもeSIMの登録は可能です。 「設定」>「モバイル通信」>「モバイル通信を設定」>「QRコードを使用」/「近くのiPhoneから転送」から登録できます。
MDMとeSIM
MDMでは以下の方法でeSIMに関連する設定が可能です。
【構成プロファイル】
構成プロファイルについては過去の記事MDMの仕組みを紐解く(Apple) ~⑤構成プロファイルについて~ をご参照ください。
①すべてのコンテンツと設定の消去中にeSIMを強制的に保持
⇒Appleデバイスのリセット時にeSIMを保持できるようにする設定
※Appleデバイスの紛失時に使用する「探す」でデバイスの消去が実行された場合、システムはeSIMを保持できません。
②eSIM設定の変更を許可
⇒eSIMの追加・削除の許可/不許可を設定
eSIM設定の変更を「不許可」に設定すると次のようなメリットがあります。
- 端末の利用者によってeSIMの設定が変更されないため、企業や組織などではeSIMの管理が容易になる
- 不正利用の防止につながる
不許可設定をすると、eSIMが入っている端末の場合はeSIMの追加・削除ができなくなります。
実際のAppleデバイス画面では、左画像の赤枠部分(「eSIMの削除」「eSIMの追加」)が右画像のように非表示になります。
※不許可設定時の動作の一部です
※iPhoneのスクリーンショット画像
③別のデバイスへのeSIMの転送を許可
⇒「クイック転送」の許可/不許可を設定 クイック転送を不許可に設定した場合、従業員が個人のAppleデバイスに企業で契約しているeSIMを転送することを防いだり 端末紛失時の第三者によるeSIMの悪用を防止することが可能です。
【端末内データ消去(ワイプ)】
「eSIMを保持する」という設定をすることで、ワイプ後もeSIMを保持し続けることができます。 構成プロファイルの「①すべてのコンテンツと設定の消去中にeSIMを強制的に保持」の設定と同様、eSIMを保持できるので再発行のコストがかからないことがメリットです。
こちらがSKYSEA Client Viewの実際の「端末内データ消去(ワイプ)」設定画面です。 「eSIMを保持する」はオプション設定として用意されています。

SKYSEA Client View
「MDMとeSIM」で紹介した設定はSKYSEA Client Viewでもご利用いただくことが可能です。
今後拡大が予想されるeSIM。 MDM製品をご検討の際には、ぜひ「SKYSEA Client View」をよろしくお願いいたします。

