ソフトウェアの品質保証を行う上でさまざまな取り組みがありますが、ソフトウェアテストにおいてはユーザビリティテストに該当する「ペルソナ/シナリオ法」を活用した評価方法について紹介します。
ペルソナ/シナリオ法とは
ペルソナ/シナリオ法はユーザーにとって魅力的な製品の実現をサポートするためのデザイン手法になります。
ペルソナとなる人物像を描き、ペルソナを基にしたユーザーの行動シナリオを具体化することで、ユーザーのニーズや行動を理解し反映できるため、ユーザー視点の設計を行う際に用いられます。
ペルソナ = 製品やサービスの利用者を想定した架空の人物像
シナリオ = ユーザー視点から使われ方(行動)を想定した流れをまとめたもの
評価に活用する上で上記のペルソナとシナリオを組み合わせてユーザー操作を想定したテストを行い、ユーザビリティ(使い勝手)やユーザーが操作する可能性がある内容に問題が潜んでいないことを確認します。
ペルソナの考え方
ターゲットとするユーザーの人物像を具体的に決める必要がありますが、評価対象とする製品に対して、顧客情報の有無で進め方が異なります。
顧客情報がある場合
実際のデータを収集し分析した上でペルソナを作成することができます。
顧客情報がない場合
市場調査などから関連する情報を収集し、仮説に基づいてペルソナを作成する必要があります。
ペルソナを作成する上で、一例として以下のような要素を設定します。
名前、年齢、性別、職業、家族構成、趣味、性格 etc.
対象とする製品に応じて異なりますが、それぞれの要素がどのような影響を及ぼすのか、分析または検討する必要があります。
こちらも一例ですが、[性格]の要素に対して以下のような考え方で設定することも可能です。
性格(ビッグファイブ理論で分類した場合)に対する操作傾向を設定する。
- 外向性(高) = 積極的(操作スピードが速い)
- 内向性(高) = 控え目(操作スピードが遅い)
- 協調性(高) = 親和的(マニュアルに忠実)
- 独立性(高) = 自主独立性(マニュアルに非忠実)
- 自律性(高) = 目的合理的(操作ミスが少ない)
- 自由性(高) = あるがまま(操作ミスが多い)
etc.
上記のように各要素に対して設定を行い、ペルソナを作成していきます。
シナリオの考え方
シナリオの作成方法についても対象とする製品に応じて多種多様な手段があります。
一例ですが、ユーザーの使われ方を考慮する有効な手段として「5W1H」に着目する方法があります。
5W1Hを一つずつ考慮していくことで、自然とシナリオを作成していくことが可能です。
Who(誰が) When(いつ) Where(どこで) Why(なぜ) What(何を)How(どのように)
- Who = ペルソナ
- When = 時間帯
- Where = 場所
- Why = 使用目的
- What = 操作内容
- How = タイミング
まとめ
簡易的ではありますが、今回ペルソナ/シナリオ法を評価に活用する方法として、5W1Hを使用したペルソナ/シナリオ評価について紹介しました。
5W1Hの組み合わせを網羅することにより、「ユーザーを意識したテスト観点」を抑えることができ、ユーザビリティの高い製品にすることが可能です。

