シンクライアントシステムのSKYDIV Desktop Client(以降、SKYDIV)は、 「VDI方式」「SBC(RDS)方式」「仮想ブラウザ方式(Linux)」の3つの仮想化方式に対応しています。 この記事では、仮想ブラウザ方式(Linux)のユーザープロファイルについて説明します。
ユーザープロファイルとは
ユーザープロファイルは、ユーザー個別のデータを保存するための仕組みです。 仮想ブラウザ方式(Linux)では、例えばブックマークなどのブラウザの設定、ダウンロードしたファイルなどがユーザー個別のデータになります。
ユーザープロファイルを保存する仕組みがなぜ必要か
パソコンでブラウザを利用する場合、ブックマークなどのユーザー個別の情報は、手元の端末のローカルユーザープロファイルという場所に保存されます。(アカウントと連携してクラウドにも保存する場合もあります)
仮想ブラウザ方式(Linux)を利用する場合は、手元の端末ではなく仮想ブラウザを起動しているコンテナのローカルユーザープロファイルに保存されます(以下の図参照)。 しかし、コンテナは仮想ブラウザを使い終わると破棄されるため、次に仮想ブラウザを起動すると前回のブックマークは残りません。

これを解決するために、コンテナのローカルユーザープロファイル以外にユーザープロファイルを保存する仕組みが必要になります。
仕組み
Windowsでは、ユーザープロファイルを保存する仕組みに、「移動ユーザープロファイル」、「フォルダーリダイレクト」という機能があります。
仮想ブラウザ方式(Linux)では、コンテナという制約もあるため、SKYDIV独自にユーザープロファイルを保存する機能を2つ実装しています。
その機能は、ユーザープロファイルを「すべて保存する」と「指定した情報のみ保存する」設定です。
すべて保存する
「すべて保存する」の場合、ユーザーのHOMEフォルダーは、ローカルユーザープロファイルを 使用せずにプロファイルサーバー側のフォルダーを参照しています。

SKYDIVがプロファイルサーバーをマウントしており、ユーザーのデータはリアルタイムにプロファイルサーバーに反映されます。 Windowsの「フォルダーリダイレクト」に似た特徴を持っていると理解いただければと思います。
指定した情報のみ保存する
「指定した情報のみ保存する」の場合、ユーザーのHOMEフォルダーはローカルユーザープロファイルを使用しますが、 ブラウザの設定および文字入力設定のみプロファイルサーバーに保存した内容で上書きします。
SKYDIVは、ユーザーがブラウザを起動する前にプロファイルサーバーから保存内容をダウンロードし、 ブラウザを終了したときにローカルユーザープロファイルの更新されたファイルをアップロードします。 Windowsの「移動ユーザープロファイル」に似た特徴を持っていると理解いただければと思います。
下記は、それぞれの方式の違いを表にしたものです。
| 比較項目 | すべて保存する | 指定した情報のみ保存する |
|---|---|---|
| 保存先 | プロファイルサーバー | ローカルユーザープロファイルとプロファイルサーバー |
| 保存対象 | すべて | 指定した情報のみ(ローカルユーザープロファイルのみに保存されるものは削除される) |
| 取得タイミング | リアルタイム | ブラウザ開始前 |
| 保存タイミング | リアルタイム | ブラウザ終了時 |
「すべて保存する」と「指定した情報のみ保存する」どちらがよいのかというのは要件によりますが、 「すべて保存する」はプロファイルサーバーのディスク容量やネットワーク使用量が 大きくなるという課題の解決策として「指定した情報のみ保存する」を追加対応した経緯があります。
最後に
仮想ブラウザ方式(Linux)のユーザープロファイルについて説明しました。 Linuxでも、Windowsが対応している仕組みに近いものが使えるように、SKYDIV独自の仕組みを開発し、それが特徴になっています。上記特徴をふまえて機能を使っていただければと思います。

