現在、私が所属しているプロジェクトではクリーンアーキテクチャを採用しています。しかし、以前のプロジェクトではオニオンアーキテクチャを使用していました。そのため、両者の違いについて興味を持ち、調べてみることにしました。今回は、クリーンアーキテクチャとオニオンアーキテクチャの違いについて記述します。
そもそもアーキテクチャとは
アーキテクチャとは、システム全体の設計や構造のことを指します。具体的には、システムの各部品がどのように協力して動作するかを定義するものです。
以下に、アーキテクチャの基本的な概念を説明します。
項目 | 説明 |
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構造と構成 | アーキテクチャは、システムの構造や構成を示します。これは、システムの各部分がどのように組み合わさって全体として機能するかを表します。 |
設計思想 | アーキテクチャは、システムの設計思想を反映しています。これは、システムの効率性、拡張性、メンテナンス性を向上させるための基本的な考え方です。 |
依存関係の管理 | アーキテクチャは、システムの各部分間の依存関係を管理します。これにより、システムの変更が他の部分に与える影響を最小限に抑えることができます。 |
アーキテクチャは、IT分野だけでなく、建築や自動車産業など、さまざまな分野で使用される概念です。IT分野では、クライアント・サーバー構造やマイクロサービスなど、さまざまなアーキテクチャの種類があります。
クリーンアーキテクチャとは
クリーンアーキテクチャは、Robert C. Martin(通称:Uncle Bob)によって2012年に提唱されたアーキテクチャスタイルです。このアーキテクチャの主な目的は、DBやフレームワークからの独立性を確保することです。
クリーンアーキテクチャは以下のような特徴を持ちます。
項目 | 説明 |
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独立性の確保 | クリーンアーキテクチャでは、ビジネスロジックやユースケースがインフラストラクチャ層に依存しないように設計されています。これにより、データベースやUIなどの変更がビジネスロジックに影響を与えないようにします。 |
層構造 | クリーンアーキテクチャは、内側から外側に向かって依存関係が一方向になるように設計されています。内側の層は外側の層に依存しません。 |
テスト容易性 | 独立性が確保されているため、各層を個別にテストすることが容易です。 |
オニオンアーキテクチャとは
オニオンアーキテクチャは、Jeffrey Palermoによって提唱されたアーキテクチャスタイルで、主にドメイン駆動設計(DDD:Domain-Driven Design)のアプローチを採用しています。このアーキテクチャの主な目的は、保守性、テスト容易性、依存性の点で優れたアプリケーションを構築することです。
オニオンアーキテクチャの特徴は以下の通りです。
項目 | 説明 |
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ドメイン中心 | オニオンアーキテクチャでは、システムの中心にドメイン(コアビジネスロジック)を据え、その周囲にアプリケーション層、インフラ層、プレゼンテーション層を配置します。 |
依存関係の逆転 | 依存関係を逆転させることで、ドメインとアプリケーションレイヤーがインフラストラクチャレイヤーに依存しないように設計されています。これにより、変更に強いアプリケーションが実現されます。 |
多層アーキテクチャ | オニオンアーキテクチャは多層アーキテクチャを利用しており、各層が独立して動作するように設計されています。 |
クリーンアーキテクチャとオニオンアーキテクチャの違い
クリーンアーキテクチャとオニオンアーキテクチャは、どちらも依存関係の逆転を重視していますが、以下の点で異なります。
項目 | クリーンアーキテクチャ | オニオンアーキテクチャ |
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中心の概念 | ユースケースやビジネスロジックが中心 | ドメイン(コアビジネスロジック)が中心 |
層の構成 | 内側から外側に向かって依存関係が一方向 | ドメインを中心に多層構造を持つ |
適用範囲 | 幅広いアプリケーションに適用可能 | 特にドメイン駆動設計(DDD)に適している |
まとめ
クリーンアーキテクチャとオニオンアーキテクチャは、どちらも依存関係の逆転を重視し、保守性やテスト容易性を向上させることを目的としています。一概には言えませんが、DDDを適用したい場合や、複雑なビジネスロジックを持つプロジェクトにはオニオンアーキテクチャが適しています。柔軟性が求められるプロジェクトにはクリーンアーキテクチャを選ぶ方が多いように感じました。