自動車業界、製造業、IT業界などで広く使用されている手法である「なぜなぜ分析」について紹介します。
なぜなぜ分析とは
「なぜなぜ分析」とは、問題が発生した際に「なぜ?」と繰り返し問いかけることで、表面的な原因にとどまらず、その背後にある根本的な原因(真因)を明らかにし、再発防止や改善策を導くための手法です。
事例
「なぜなぜ分析」の事例について紹介します。
問題:
製造ラインでオイルが床に漏れていた。
- なぜ? → ポンプのシールがすり減っていた
- なぜ? → シールが寿命を超えて使用されていた
- なぜ? → 定期的な交換スケジュールがなかった
- なぜ? → 保守作業はポンプの故障後にしか行われていなかった
- なぜ? → 設備保全は「壊れてから直す」文化だった(予防保全の概念がなかった)
根本原因:
予防保全の仕組みが存在せず、壊れてから対応する文化が定着していた。
対策:
予防保全(PM: Preventive Maintenance)を導入し、機械の故障前に対策を打つ文化を整備する。
基本的な考え方
「なぜなぜ分析」の基本的な考え方について紹介します。
1.問題の明確化
はじめに、解決すべき問題を定義します。
問題が具体的であるほど、分析が効果的になります。
2.「なぜ」を繰り返す
問題の真因を探るために、「なぜ」を繰り返し問いかけます。
通常、5回程度「なぜ?」と問い続けることで、根本原因にたどり着くとされています。
3.根本的な原因(真因)の特定
繰り返し「なぜ」を問いかけることで、表面的ではない、問題の根本原因を特定します。
4.対策の立案
根本原因が特定されたら、その原因を取り除くための具体的な対策を立案します。
5.対策の実施と評価
立案した対策の効果を評価し、問題が再発しないことを継続的に監視します。
起源
「なぜなぜ分析」は、製造プロセスにおける無駄を排除し、品質を向上させることが重要視される中、問題の根本原因を特定し、再発を防止するための手法としてトヨタ自動車で開発されました。
この手法は、トヨタ生産方式(TPS: Toyota Production System)の一部として広く知られています。
活用例
「なぜなぜ分析」の活用例について紹介します。
- 部品の取り付けミス
- クレーム削減と改善活動の促進
- 社内業務プロセスの効率化
- 医療事故の再発防止
- 配送遅延の根本原因調査
総括
「なぜなぜ分析」は、問題の根本原因を特定し、再発防止策を講じるための有効な手法です。
問題に対して「なぜ」を繰り返し問いかけることで、真の原因を明らかにし、適切な対策を実行することが重要です。
これにより、業務の効率化や品質の向上が図れます。