皆さん、日々の業務において各開発フェーズごとにドキュメントを作成していると思います。
今回はシステムテストのテストフェーズにおけるテストドキュメントについて紹介したいと思います。
規格について
IEEE 829やISO/IEC/IEEE 29119(第3部)が有名です。
各フェーズのテストドキュメントについて記載があります。
テストフェーズごとのテストドキュメント
①【テスト計画フェーズ】
- テスト計画書
テスト全体の範囲、環境、スケジュール、リソース、リスクとその対策などを整理し、関係者間で共有するためのものです。
<主な記載内容>
- テスト対象および範囲(対象機能、非機能要件、除外項目)
- テスト戦略と採用する手法(ブラックボックス、ホワイトボックス、自動テストなど)
- テスト環境およびリソース(物的リソース、人的リソース)
- スケジュールとマイルストーン
- リスクと対策
②【テスト設計フェーズ】
- テスト仕様書
- テストケース仕様書
テストを実施するための具体的な設計を行います。
テスト設計仕様書では、どのような観点から検証するのか基本方針や適応するテスト技法を記述します。
テストケース仕様書はその設計に基づいた具体的なテストケース(条件、入力、手順、期待結果)を詳細に定義します。
<主な記載内容>(テスト設計仕様書)
- 検証する要求事項とのマッピング
- 適用すべき前提条件や環境条件
- 設定すべき前提条件や環境条件
<主な記載内容>(テストケース仕様書)
- テストケースID(管理識別番号)
- 前提条件と初期状態
- テスト実施の具体的な手順および入力データ
- 期待結果の明記
③【テスト実行フェーズ】
- テスト手順仕様書
- テストログ/テストインシデントレポート
テストケースに基づいて検証を行います。
テスト設計書やテストケース仕様書を元に、具体的な実施手順やチェックリストを明記します。
テストログやテストインシデントレポートはテスト実施中の結果や不具合情報(発生条件、再現手順、影響範囲など)をリアルタイムに記録します。
<主な記載内容>(テスト手順仕様書)
- 詳細な実施手順(操作順序、検証ポイント)
- 環境の設定方法と後処理の指示
<主な記載内容>(テストログ/インシデントレポート)
- テスト実施日時、担当者
- 実行結果(OK/NGの記録)
- 発生した不具合の詳細と再現手順
④【テスト評価・完了フェーズ】
- テストサマリーレポート
テスト活動全体の結果を総括し、製品の品質状態や今後の課題を評価します。
テストサマリーレポートは経営層や関係者に対してテスト活動の成果、不具合状況、リスクの評価、改善提案などを纏めて報告するための文書です。
<主な記載内容>
- 重要な発見事項とその背景
- 未解決の課題、リスク
- 将来への改善策および教訓
プロジェクト全体の品質状況を正確に振り返るとともに、次回以降のテスト活動やプロセス改善に役立つナレッジを蓄積します。
まとめ
既に各現場でも採用されているものがかなりあると思います。
基本的なことを知識として知っておくことでプロジェクトの特性に合わせてカスタマイズし、
品質の一貫性やプロセス改善に役に立てていただければと思います。
以上、よろしくお願いいたします。