企業にとって、クラウドサービスを導入して利用することには様々なメリットがあり、世間には広く浸透してきています。
一方、従来のオンプレミス開発とは異なり、クラウド環境固有のデメリットがあることには注意が必要です。
今回はクラウドサービス利用におけるデメリットと、それぞれの対策例を3つご紹介いたします。
1. 想定外の利用料金
クラウドサービスの利用料金は、利用した分だけ支払う「従量課金」が基本となっています。
これはコスト削減の上でメリットとなりますが、一方でデメリットにもなり得るので注意が必要です。
例えば「試行で作成したサービスの停止・削除忘れ」や「プラン選択を誤り高額なサービスをデプロイしていた」など、うっかりミスにより引き起こされることがあります。
すぐに気づけば良いですが、翌月に想定外の利用料金の請求が来て初めて発覚する、ということがあります。
対策の例としては、以下のようなものが考えられます。
- 運用に慣れないうちは、日々利用料金をチェックする
- コストのアラートを設定しておき、気づけるようにする
2. ネットワーク障害・データセンター障害
「クラウド環境へのネットワーク障害」や「クラウドサービスのデータセンター障害」などにより、クラウド上で運用しているサービスが影響を受ける場合があります。
このような状況では、クラウドサービスの利用者側としては「ベンダーによるサービスの復旧作業を待つ」しかない状況となります。
データセンター障害の場合、障害に対する責任は「クラウドサービスベンダー側」となりますが、この点は注意が必要です。
例えばクラウドサービス上でWebサイトを運用していて、障害の影響を受けてサービスが停止した場合を想定すると、
- 利用者向けへの告知と謝罪
- 社内責任者や上長への説明
- 復旧状況の把握と報告
- 関係省庁への報告
- 利用者への補填、再発防止策などの事後作業
など、いくら「クラウドサービスベンダーに責任がある」とはいっても、現場レベルでの混乱は避けられません。
また、このような障害の場合、保証されるのは「クラウドサービスの利用料金」までです。
「サービス障害によって1億円の機会損失が発生した」としても、保証されるのはあくまでも「利用しているサービスの費用」までであることに注意が必要です。
対策の例としては、以下のようなものが考えられます。
- 冗長構成などにより、インフラに起因する障害の影響を回避/軽減する設計にする
- あらかじめ障害が発生した場合の対応手順を整備しておく
3. セキュリティ侵害
クラウドサービスは簡単に利用できる分、構築したシステムのセキュリティは「自身の設計/設定次第」となります。
クラウドサービスとしてもある程度のレイヤーまでは守ってくれますが、もし自身が構築したシステムの設定を誤っていた場合、簡単にセキュリティ侵害を受ける可能性があります。
例えば「ストレージの公開範囲をパブリックにしていた」や「アプリの認証設定や接続制限を行わないまま運用していた」などの設定ミスが原因となります。
対策の例としては、以下のようなものが考えられます。
- 適切にセキュリティ設計を行い、正しく設定する
- 通信を監視/検知する
まとめ
クラウドサービスの利用には多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。
クラウドサービスのメリットを生かしつつ、デメリットを回避・軽減しながら利用するためには、適切なスキルが必要となります。
既にクラウドを利用されている方は、紹介したようなデメリットについて対策できているかを検討する機会となれば幸いです。
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