概要
ISO/IEC/IEEE 29148はシステム・ソフトウェアのエンジニアリング-ライフサイクルプロセス-要求エンジニアリングの国際標準規格です。
前身の規格はIEEE 830(ソフトウェア要求仕様のIEEE推奨実践方法)です。
この標準規格を用いることで質の高い要件定義を行うことができます。
JIS X 0166との関係性
ISO/IEC/IEEE 29148を基に作成・補足されたのが日本産業規格のJIS X 0166です。
JIS X 0166は日本語で記載されており、内容も補足されているため、こちらも活用できます。
ISO/IEC/IEEE 29148、JIS X 0166を活用するメリット
- システムおよびソフトウェアの要件定義の全体像やプロセスを把握できる
- 要件に必要な特性を把握できる
- 要件定義の考慮漏れを少なくできる
- 海外の取引先にとってもわかりやすい要件にすることができる
- 注意すべき表現を把握できる
- 要求仕様書の文章構成を参考にできる
ISO/IEC/IEEE 29148で求められている要件に必要な特性
要件ごとの特性
- 必要性: 対象システム等の能力、特性、制約、品質要素を定義していること
- 適切性: 意図、詳細が対象システム等のレベルに適切であること
- 明白性: 一意に読み取れること。簡単で理解しやすいこと
- 完全性: 対象システム等のニーズ等を満たす能力、特性、制約、品質要素を十分に記述していること。他の情報を必要とせず要件を理解できること
- 単一性: 一つの能力、特性、制約、品質要素を記述すること
- 実現性: システムの制約(コストやスケジュール、技術等)内で実現可能であること
- 検証性: 実現によってステークホルダーの要求を満たしていることを証明できるようにしていること。測定可能であること
- 正確性: 対象システム等に求められている事柄を正確に表していること
- 準拠性: 標準テンプレートやスタイルに準拠していること
要件全体の特性
- 完全性: ニーズを満たす能力、特性、制約、品質要素を十分に記述しており、追加情報を必要としないこと。TBD等も含んでいないこと
- 一貫性: 他の要件と競合・重複していないこと。用語も統一していること
- 実現性: 対象システム等の制約(コストやスケジュール、技術等)内で実現可能であること
- 明白性: システム等に期待する事柄やシステムとの関係が明確であること
- 検証性: 制約(コスト、スケジュール、技術、法規制等)内で求められている事柄の達成に繋げられること
まとめ
要件定義は明確な答えがなく、指標がないと一貫性がなかったり抜け漏れの多い仕様書に繋がります。
ISO/IEC/IEEE 29148やJIS X 0166を指標にすることで、質・コスト・納期に見合う要求仕様書を作成することができます。
積極的に活用してQCDの優れたシステム・製品に繋げていきましょう。