はじめに
「エモーショナルインテリジェンス(EI)」とは、自分自身や他人の感情を認識し、理解し、管理する能力のことです。
日本では「心の知能指数(EQ)」とも呼ばれます。
プロジェクトマネジメントにおいて、EIを活用することで、
チームのパフォーマンスを向上させ、プロジェクトの成功率を高めることができます。
本記事では、EIの要素とその活用法、プロジェクトマネジメントに取り入れるための具体的なアプローチを紹介します。
エモーショナルインテリジェンスの要素
EIは以下の4つの要素から構成されています。
- 自己認識力: 自分の感情や行動を理解し、認識する能力。
- 感情のコントロール能力: 自分の感情をコントロールし、適切に表現する能力。
- 社会的認識力: 自分が求めるものだけではなく、他者の感情やニーズを理解し、共感する能力。
- 人間関係の継続力: 効果的なコミュニケーションを通じて、他者との関係を築き、維持する能力。
精神的に安定している人、他者との関係構築における建設的な関わりができる人は、こういった要素が高い水準にあります。
エモーショナルインテリジェンスの活用による効果
EIを活用することで、以下のような効果が期待できます。
- 自分の弱みを見つける: 自己認識力を高めることで、自分の弱点を把握し、改善する。
- 自分の感情を上手にコントロールする: ストレスやプレッシャーに対処し、冷静な判断を下す。
- 人間関係を構築する: チームメンバーとの信頼関係を構築し、協力体制を強化する。
- 共同でタスクを完了する: チームの協力を促進し、効率的にタスクを完了する。
- 相手や状況を理解する: 他者の感情や状況を理解し、適切なコミュニケーションを行う。
- 周囲の人の感情を把握し心を支える: チームメンバーのモチベーションを高め、サポートする。
プロジェクトは複数の人の共同作業で成り立っています。
成功に導くためには感情や心と向き合い、メンバーとの協力体制を保つことが非常に大切なポイントになります。
また、マネージャー自身が感情に振り回されないよう、心と向き合い対処することも重要です。
プロジェクトマネジメントにおけるEIの具体的なアプローチ
具体的にプロジェクトにEIを取り入れるための方法をいくつかご紹介します。
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感情の共有と理解を促進するコミュニケーション
メンバーとのコミュニケーションの場を設け、互いの感情や意見を共有しましょう。
打ち合わせなどで進捗のような事実だけではなく、感じたことや意見などに着目して話をすることで、より感情が見えてきます。
複数人の前で発言が難しい場合は1on1での打ち合わせなども活用すると良いでしょう。そうして得た情報からメンバーのパフォーマンスが発揮できる役割やタスクの分担などができれば、より良い関係を構築することができます。
また、メンバーには受け入れ難いプロジェクト方針に対しても、率直な意見を伺うことができれば全てではなくとも寄り添うことができます。
そうやって感情を意識した関係構築ができれば、プロジェクト全体の協力体制はより強固なものになっていきます。 -
定常的な報告内容からの情報収集
プロジェクトの進捗報告や日報、週報などの定常的な報告に併せて、積極的に感想を記載してもらうようにしましょう。その言葉の中からメンバーのストレス度合いや感情の安定度が見えてくることがあります。
小さな変化に気づき寄り添うことで、メンバーの不安を取り除くための手段を講じることができます。
また、報告内容がデータ化されているのであれば、その情報を生成AIを活用することで分析することができます。
一人の目線だけではなく客観的な分析をすることも可能になります。 -
ストレス管理のためのサポート体制の構築
メンバーがストレスを感じた際にサポートできる体制を整えましょう。
個人でストレス発散ができるメンバーもいれば、ストレスと上手く付き合えず溜め込んでしまうメンバーもいます。
普段からストレスに対する対処が上手くできているのかも確認し、難しい場合はその解消に向けた支援も取り入れましょう。
まとめ
エモーショナルインテリジェンスは、複数の人が関わるプロジェクト成功において非常に重要な要素になります。
EIを高めることで、チームのパフォーマンスを向上させ、プロジェクトの成功率を高めることができます。
4つの要素をバランスよく発展させ、プロジェクトマネジメントに取り込むことで、より効果的なマネジメントが実現できるでしょう。
以上、よろしくお願い致します。