最近EtherCATに触る機会がありました。
産業用ネットワークについて勉強する良い機会だと思いましたので、簡単に解説したいと思います。
産業用ネットワークとは
工場やプラントで稼働している機器(制御システム、ロボット、センサ、PLC)の間でデータをやりとりするためのネットワーク技術のことを指します。
主にFA(Factory Automation)系と言われる分野です。
工場内で使用することを前提とするため、以下のような要件が求められます。
- リアルタイム性:制御信号の遅延を最小限に抑えること
- 耐環境性:ノイズ耐性などに耐えられること
- 高信頼性:長期間の連続稼働を前提とすること
- 拡張性:設備の変更や増設に柔軟に対応できること
ネットワークの階層
工場内のネットワークは、利用目的ごとに以下のように分類されます。
工場管理レベル
PC間の通信、またはPCとPLC(Programmable Logic Controller)の間で工場管理に必要なデータをやり取りするためのネットワークを指します。
代表的なプロトコルには、EtherNet/IP®というプロトコルがあります。汎用Ethernet技術上に制御用プロトコルを実装した産業用オープンネットワークです。ODVA (Open DeviceNet Vendor Association, Inc.)が管理しており、ODVAに参加すれば、仕様書を入手できます。他にもPROFINETなどが有名です。
コントローラレベル
ネットワーク上のPLC間でデータや命令をやり取りしたり、データを共有するネットワークを指します。
代表的なプロトコルには、EtherCATがあります。こちらもオープンネットワークであり、現在はETG(EtherCAT Technology Group)が管理しています。高速な制御とノード間の通信遅延を考慮した同期制御が可能です。
コンポーネントレベル
PLCからセンサなどのI/O機器と信号を交換するためのネットワークを指します。
代表的なプロトコルには、 DeviceNet®やCompoNetがあります。これらもODVAが管理しています。
産業用ネットワークのシェア
FAネットワークで使用されるプロトコルは年々変化しますが、HMS社が毎年産業用ネットワークシェアを公開しています。
(Annual Analysis Reveals Steady Growth in Industrial Network Market)
TOP3は
1位 : PROFINET
2位 : EtherNet/IP
3位 : EtherCAT
となっています。
この順番でより触る機会が増えてきそうです。
最後に
概要レベルですが、産業用ネットワークについては以上です。
次回はEtherCATの仕様について少し書いてみようかと思います。