システム開発において、標準規格は品質の確保や効率的な開発を実現するために重要な役割を果たします。 日本国内においても、さまざまな標準規格が存在しています。
今回ご紹介するのは、デジタル庁が定めている「デジタル社会推進標準ガイドライン」です。
デジタル庁とは
日本の行政機関の一つとして、2021年9月1日に発足しました。
世界の先進国がデジタル化を促進するなか、日本の世界電子政府ランキングは2020年で14位と遅れを取っており、
昨今、加速するデジタル化に向けた施策の立案や総合調整を行う機関として設立されました。
以下が、デジタル庁の主な役割となります。
- 国民向けのサービスのUI・UXを改善
- デジタル社会の共通機能を整備・普及
- 情報システムの統括・管理
デジタル社会推進標準ガイドライン
デジタル社会を実現するためにデジタル庁が定めた政府情報システムの整備・管理やクラウド・セキュリティなどのサービスにおける基本的な方針や共通ルールを定めたガイドラインとなります。
官公庁や自治体などに向けた政府情報システムの開発においては、以下のガイドラインに沿って開発が行われます。
ガイドラインの主な構成は以下の通りです。
- 政府情報システム全般に関するドキュメント
- セキュリティに関するドキュメント
- クラウドに関するドキュメント
- データ連携に関するドキュメント
- トラストに関するドキュメント
- その他ドキュメント
政府情報システム全般に関するドキュメント
今回は主にシステム開発を行ううえでの手続きや開発プロセスが定義されている以下をご紹介します。 政府情報システムと記載されていますが、通常のシステム開発においても参考になる部分が多いです。 また、このほかにも各種テンプレートなどの参考資料も掲載されております。
DS-100 デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン
政府情報システムの整備及び管理に関して、その手続・手順に関する大枠での基本的な方針が記載されています。
DS-110 デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン解説書
デジタル・ガバメント推進標準ガイドラインの下位文書として、記載の趣旨、目的等を理解しやすくするための参考文書です。
DS-120 デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン実践ガイドブック
デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン、デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン解説書の下位文書として、
システム開発を行う上でのプロセスや各工程の確認ポイント、品質管理のポイントなど、より実践的な内容が記載されています。
DS-121 アジャイル開発実践ガイドブック
アジャイル開発を理解するために、まず必要とされる基本的な知識をまとめた文書です。
DS-130 標準ガイドライン群用語集
標準ガイドラインの用語集になります。
上記以外にも国際標準規格となるISO規格や企業内独自の開発規格があるケースもあります。 また、各システムの特性や使われ方により、標準規格から変更すべき事案も多々あると思います。
ベースとなる基本的な考え方を理解して「共通ルール」の下で関係者が協議し、より効率的な開発、高品質なシステム開発に繋げていければと思います。