AWSパートナーとは? 技術力・専門性の確認方法や選び方を紹介

AWSは柔軟かつ迅速に利用できる一方で、設計・移行・運用・セキュリティ・コスト最適化など検討範囲が広く、自社だけで判断しにくい面があります。こうした課題を解決するのが、AWSの確かな技術やプログラムを活用し、顧客向けにソリューションやサービスを提供する「AWSパートナー」です。本記事では、AWSパートナーの基本的な仕組みや、技術力を測る指標となる「階層(ティア)」、得意分野を示す「コンピテンシー」の確認方法を解説します。さらに、自社に最適なパートナーを選ぶための5つのチェックポイントも紹介します。
AWSパートナーとは?
AWSパートナーとは、Amazon Web Services(AWS)のグローバルコミュニティである「AWSパートナーネットワーク(APN)」に参加し、AWSから公式に認定を受けた企業のことです。
クラウドに関する専門的な知識と豊富な経験を生かし、企業のクラウドサービス導入や運用を総合的に支援します。認定の取得には技術者数や導入実績といった条件のクリアが必要なため、客観的な技術力を測る指標にもなります。
AWSパートナーネットワーク(APN)とは?
AWSパートナーネットワーク(APN)とは、AWSを活用してシステム開発やサーバー構築を行う支援企業のグローバルコミュニティです。参加企業はAWSと連携し、顧客向けのソリューションを構築、提供、販売します。
このAPNにおける連携を深める仕組みが「AWSパートナーパス」です。パートナーが顧客に提供する製品やサービスに基づいて分類されており、企業は自社の事業内容に合わせて1つ以上のパスに参加します。代表的な5つのパスの特徴は次のとおりです。
| パートナーパスの種類 | 対象企業 |
|---|---|
| ソフトウェアパス | AWS上で動くアプリケーションやソフトウェアを開発・販売する企業 |
| ハードウェアパス | AWSと連携するIoTデバイスなどの機器を開発する企業 |
| サービスパス | AWSの設計、構築、移行、運用保守を代行・支援する企業 |
| トレーニングパス | AWSの技術研修や資格取得などの教育を支援する企業 |
| ディストリビューションパス | AWSのライセンス再販や、他の企業の開発をサポートする企業 |
AWSサービスパートナーティアと条件
AWSのサービスを通じてお客様の課題解決を支援するのが「サービスパスパートナー」です。このパートナーは、技術力や実績などの要件に応じて「セレクト」「アドバンスト」「プレミア」の3段階の階層(ティア)に分類されています。
上位のティアになるほど、厳しい認定条件をクリアしているため、客観的に実力を評価し、自社に最適なパートナーを見分ける際の重要な基準となります。

AWSセレクトティアサービスパートナー
AWSセレクトティアサービスパートナーは、基本的なAWSサービスの知識と導入実績を持つパートナーです。活動を開始したばかりの企業や、これから実績を積み上げていく段階の企業が多く含まれます。基本的なシステム構築を相談したい場合や、コストを抑えてスモールスタートしたいときの選択肢となります。認定に必要な要件は次のとおりです
| 項目 | 認定要件 |
|---|---|
| APN年間料金 | $2,500 / 年 |
| 知識(資格要件) | ・認定取得者:4名(テクニカル2名、ビジネスプロフェッショナル2名) ・AWS 基礎認定取得者:2名 ・AWS 技術認定取得者:2名 |
| 経験(実績要件) | 立ち上げ済み収益機会が1,500 USD以上(案件数:3件) |
AWSアドバンストティアサービスパートナー
AWSアドバンストティアサービスパートナーは、一定の導入実績や技術的な専門性を持つ、実力派のパートナーです。中堅から大手企業が多く、社内に専門的なエンジニア体制がしっかりと整っています。中大規模のクラウド移行や、複雑なインフラ設計、高度なセキュリティ対策が必要なプロジェクトにおける選択肢となります。認定に必要な要件は次のとおりです。
| 項目 | 認定要件 |
|---|---|
| APN年間料金 | $2,500 / 年 |
| 知識(資格要件) | ・認定取得者:8名(テクニカル4名、ビジネスプロフェッショナル4名) ・AWS 基礎認定取得者:4名 ・AWS 技術認定取得者:6名(※最小3名のプロフェッショナルまたはスペシャリティ資格保持者を含む) |
| 経験(実績要件) | 立ち上げ済み収益機会が10,000 USD以上(案件数:20件) |
| そのほかの要件 | ・ビジネスプランの作成 |
AWSプレミアティアサービスパートナー
AWSプレミアティアサービスパートナーは、豊富な実績と最先端の専門性を兼ね備えた、最上位に位置するパートナーです。グローバル規模の支援体制を持ち、国内でも限られた数の企業しか認定されていません。基幹システムの移行や難易度の高いクラウド活用における最適なパートナーとなります。認定に必要な要件は次のとおりです。
| 項目 | 認定要件 |
|---|---|
| APN年間料金 | $2,500 / 年 |
| 知識(資格要件) | ・認定取得者:20名(テクニカル10名、ビジネスプロフェッショナル10名) ・AWS 基礎認定取得者:10名 ・AWS 技術認定取得者:25名(※最小10名のプロフェッショナルまたはスペシャリティ資格保持者を含む) |
| 経験(実績要件) | 立ち上げ済み収益機会が50,000 USD以上(案件数:50件) |
| そのほかの要件 | ・ビジネスプランの作成 ・MSP、DevOps、CloudOpsコンピテンシーのいずれかを保有し、6か月以上維持 |
AWSコンピテンシーパートナーとは?
AWSコンピテンシーとは、AWS公式が提供する技術専門性の認定プログラムです。特定の業界や分野における技術力と豊富な支援実績を持つと認められた企業だけに与えられます。
同じティア(ランク)に属するパートナーであっても、保有しているコンピテンシー(得意分野)は企業ごとに大きく異なります。そのため、依頼先が「どのような分野に強いのか」を判断するための極めて重要な指標になります。プログラムは「業種」「アプリケーション」「ワークロード」の3つの領域に分かれており、それぞれ詳細な専門カテゴリごとに審査が行われます。
業種
業種コンピテンシーは、自社が所属する業界特有の規制や商習慣、データ活用方法に精通したパートナーを探すための指標です。業界ならではの業務プロセスを熟知している企業を見つける手がかりになります。主なカテゴリと特徴は次のとおりです。
| カテゴリ | 特徴 |
|---|---|
| 政府機関 | 政府機関のお客様と連携して作業を行った豊富な経験を持ち、お客様がAWSでミッションクリティカルなワークロードやアプリケーションを実行するためのソリューションを提供 |
| 金融サービス | AWSのアーキテクチャのベストプラクティスに従った業界の専門知識とすぐに実装できるソリューションを持ち、AWS 認定を受けたスタッフがそろっている |
| 産業用ソフトウェア | ディスクリート製造や加工業界における製品設計、製造設計、本番稼働 / 運用といった 1つ以上の主要な工程を対象としたソリューションを提供 |
| ライフサイエンス | 費用対効果の高いストレージと計算機能、高度な分析、患者の個別化メカニズムなど、製薬バリューチェーン全体でイノベーションを推進し、効率を向上できる |
| 小売業(リテール) | あらゆる産業分野で小売業者の近代化とイノベーションを加速する革新的なテクノロジー製品を提供 |
アプリケーション
アプリケーション領域のコンピテンシーは、自社の業界を問わず、「クラウドへ移行したい」「セキュリティを強化したい」といった、具体的な導入目的や解決したい課題に合わせてパートナーを探すための指標です。主なカテゴリと特徴は次のとおりです。
| カテゴリ | 特徴 |
|---|---|
| IoT | AWS で製品とソリューションを構築する面で成功実績を積んでおり、インテリジェントファクトリー、スマートシティ、エネルギー、オートモーティブ、運輸、ヘルスケアなどの数々の分野で顧客をサポートしてきた実績がある |
| モバイル | 開発者やモバイルファーストのビジネスと協力してきた豊富な経験に基づいて、AWS でのモバイルアプリケーションの構築、テスト、解析、モニタリングをサポート |
| 移行 | 複雑な移行プロジェクトにおける検出、計画、移行、運用のすべての段階を通じて、AWS へのビジネスの移行を支援する豊富な経験に裏打ちされたソリューションを提供 |
| DevOps | お客様の継続的インテグレーションと継続的デリバリー活動の実施を支援するソリューションを提供。また、AWSの構成管理ツールを使用して、インフラストラクチャのプロビジョニングと管理を自動化できる |
| セキュリティ | 特定のワークロードとユースケースに合わせ、セキュリティに重点を置いたソリューションとサービスの提供を専門とする |
| データと分析 | 規模を問わずデータを効率的に処理するためのツール、手法、技術の評価と使用においてお客様を適切に支援する |
| Machine Learning | 組織がデータの課題を解決するためのソリューション、機械学習とデータサイエンスのワークフローを実現する機能を備えたソリューション、機械学習を使用して最終用途を拡張できるSaaSベースの能力を提供 |
| ネットワーキング | 自動スケーリングし、クラウド設計原則と一致して、VPCでネットワーキング機能を簡単に使用できるようにする、専門的な一連のソリューションを提供 |
| デジタルカスタマーエクスペリエンス | お客様に有意義なデジタルプラットフォームエクスペリエンスを提供するためのインフラストラクチャ、ストレージ、可用性、高度な分析、意思決定機能をサポート |
| AWS Digital Workplace | お客様のプロビジョニングをサポートし、エンドポイントデバイス、エンドユーザーアプリケーション、およびAWSのデータからインテリジェンスを取得する |
ワークロード
ワークロードとは、「AWS上で動かす特定の業務システムやアプリケーションのまとまり」を指します。この領域のコンピテンシーは、自社がすでに社内で利用している大規模システムを、そのままAWSへ安全に移行・運用したい場合に強いパートナーを探す軸となります。 主なカテゴリと特徴は次のとおりです。
| カテゴリ | 特徴 |
|---|---|
| SAP | AWS クラウドでのSAPアプリケーションの実装、移行、管理においてお客様を適切に支援してきた実績を持つ |
| Oracle | AWS クラウドで実行されるOracleベースのワークロードのアーキテクチャ設計、デプロイ、管理においてお客様を適切に支援してきた実績を持つ |
AWSパートナーを選ぶ際のポイント
数多くあるAWS パートナーの中から、自社の導入目的や抱えている課題に最も合う企業を見つける必要があります。最適な依頼先を絞り込むために、確認すべき5つのチェックポイントを解説します。
- 技術力と専門性があるか
- 導入実績が豊富か
- コミュニケーションが円滑か
- 価格体系がわかりやすいか
- 予算に見合うか
技術力と専門性があるか
AWSパートナーの基本的な技術力を見極めるには、保有している認定資格者数、所属ティア、取得しているコンピテンシーが客観的な目安になります。特に上位ティアである「アドバンスト」や「プレミア」は、資格者数や案件数などの基準が非常に高く設定されているため、確かな開発体制が整っている証拠です。
ただし、どれほど技術力が高いパートナーであっても、自社の課題と企業の得意分野がずれていれば十分な支援効果は得られません。「クラウドへの移行」「セキュリティの強化」「データ分析や機械学習の導入」「SAPやOracleなどの基幹システム連携」など、自社の目的に合致する専門的な強みがあるかどうかも併せて確認することが大切です。
導入実績が豊富か
信頼できるパートナーを見極めるためには、自社と近い「業界」「システム規模」「課題」における導入実績が豊富かを確認します。実績を見る際は、単にこれまでの支援件数を数えるだけでなく、自社の業界ならではの規制やシステム要件に対応できるかを、導入実績の情報や問い合わせ時のヒアリングを通じて確かめることが大切です。
また、システムを構築した、あるいはAWSに移行したという実績そのものだけでなく、「導入後にどのような具体的な成果が出たか」まで着目することで、より確実な選定につながります。「運用コストの削減」や「システムの処理スピードの向上」など、導入後の効果まで明確に示されている実績を確認することは、安定した運用フェーズを見据える上でも非常に重要です。
コミュニケーションが円滑か
AWSは専門用語が多く、サービスの種類も多岐にわたるため、クラウド導入に慣れていない初心者に対しても専門用語をかみ砕いてわかりやすく説明してくれるパートナーを選ぶことが重要です。
問い合わせをした際や打ち合わせの中で、こちらの質問に対して「結論」「その理由」「考えられるリスク」「代替案」をわかりやすく整理して説明してくれる企業は、非常に安心感があります。このようにコミュニケーションが丁寧で論理的な企業であれば、プロジェクトの進行中に認識のズレが起きにくく、急なシステムトラブルなどの際にも迅速かつ的確な対応が期待できます。
価格体系がわかりやすいか
AWSパートナーへの依頼で起こりやすいトラブルを防ぐために、見積もりの内訳が明確で、価格体系の透明性が高いかを確認します。「どこまでが基本料金に含まれ、どこから追加費用になるのか」を契約前に必ず明確にすることが大切です。
特に、追加費用が発生する条件や追加時の作業単価、承認フロー、そして追加費用の目安を事前にすり合わせておくことが重要です。AWSは使用量に応じた従量課金制であり、構築に関わる費用も複雑になりやすいため、見積もり内容の不透明さがトラブルを招くことがあります。作業範囲や内訳について納得がいくまで丁寧な説明を受け、費用対効果に納得できるパートナーを選ぶことが、スムーズな導入のポイントになります。
予算に合うか
AWSの導入にかかる費用を判断する際は、初期の構築費用だけでなく、導入後のAWS利用料や運用保守費、監視費、将来的な改善対応費までを含めた「総コスト」で考える必要があります。
予算に見合うかを判断する際は、単純な金額の安さだけで選ぶのではなく、「得られる支援内容や成果に対して費用が妥当か」を評価することが不可欠です。仮に見積もりが安くても、必要なサポートが削られていては意味がありません。「安いから」という理由だけで選ぶのではなく、総合的なコストパフォーマンスを見極めることが、最終的なクラウド活用の成功につながります。
まとめ
ここまで、AWSパートナーの仕組みや、選定の基準となるティア、コンピテンシーなどについて解説してきました。
膨大なパートナー企業から自社に最適な依頼先を絞り込むためには、保有資格や実績を示すティアと、得意分野がひと目でわかるコンピテンシーの確認が極めて有効です。技術力に加え、見積もりの明確さや円滑なコミュニケーションを総合的に評価することが、自社の自律的なクラウド活用に向けた第一歩となります。
AWSソリューション・導入支援についてお悩みでしたらSky株式会社にご相談ください
Sky株式会社は、「AWS アドバンストティアサービスパートナー」として、業務系システムの開発や組込み製品との連携を含む多岐にわたる分野でのシステム開発実績を通じ、AWSクラウド開発に関する豊富な知識と経験を蓄積してきました。これらの経験から得た技術とノウハウを基に、AWS クラウド環境の設計、構築、関連アプリケーションの開発をご支援します。