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公開日2025.05.27

セキュリティエンジニアとは何? 仕事内容や平均年収、必要なスキル、資格を徹底解説

著者:Sky株式会社

セキュリティエンジニアとは何? 仕事内容や平均年収、必要なスキル、資格を徹底解説

現代の企業運営において、基幹システムや業務系システムの活用は欠かせない要素となっていますが、これらシステムは、常にサイバー攻撃の脅威にさらされているという不安も……。ひとたびランサムウェアなどの攻撃に遭うと、企業の存続すら危ぶまれる事態に陥ることも考えられます。そのようななか、多くの企業にとってますます重要視されているのが、セキュリティエンジニアという職種です。この記事では、セキュリティエンジニアに興味があるけど、正直よくわかっていない……。そんな方に向けて、本職種の仕事内容や年収、必要なスキル、資格などを徹底解説。セキュリティエンジニアの世界を知り、皆さんのキャリアの一助となれば幸いです。

セキュリティエンジニアとは何か

セキュリティエンジニアとは、情報セキュリティに特化したエンジニアのことです。企業の情報資産をサイバー攻撃や不正アクセスなどから守ることを目的に、サーバーやネットワーク、システムに対して、セキュリティ対策を施すための設計、構築、運用・保守を行います。また、被害を未然に防ぐために、日頃からシステムの脆弱性を調査し、対策手順書を作成したり、企業の情報システムマネジメント(ISMS)の運用等も行います。さらに、従業員のセキュリティリテラシー向上のための教育も行い、企業全体のセキュリティ意識を高める役割も担っています。

セキュリティエンジニアの業務は、大きく社外向けと社内向けに分かれます。社外向けの業務では、顧客や取引先などのクライアントに対して、セキュリティ対策の提案や導入支援を行い、外部からの脅威に対する防御策を提供します。一方、社内向けの業務では、企業の内部システムやネットワーク等のセキュリティを強化し、従業員のセキュリティ教育も行います。

かつて企業や組織で利用されるシステムは、サーバーとパソコンというシンプルな構成が主流でした。しかし、スマートフォンなどモバイル端末の普及やクラウド環境の活用が進むにつれ、ネットワーク環境や利用シーンが多様化しているほか、サイバー攻撃も高度化しています。このような背景から、現代はシステムに対するセキュリティ強化が一層求められる時代となっており、セキュリティエンジニアは今後ますます必要性の高い職種となることが見込まれています。

セキュリティエンジニアの主な仕事内容

前述のとおり、セキュリティエンジニアの仕事内容は多岐にわたります。一つのシステムに対して、企画から設計、実装、運用まで一貫して携わることもあれば、一つの工程を専門に担当することもあります。ここでは、セキュリティエンジニアの主な仕事内容を、3つのステップに分けてご紹介します。

企画・提案

自社やクライアントが持つ既存システムや、新規開発するシステムに対して、脆弱性や将来的にリスクとなり得る部分がないかを洗い出し、現状を把握します。脆弱性やリスクが明らかになった場合は、具体的な対策方法を企画・検討。そのなかで新たなIT機器やソフトウェアの導入が必要な場合はその選定も行い、対策案と合わせて提案します。

このほか、組織のセキュリティ状況を把握した上で、組織全体で守るべきルールや方針であるセキュリティポリシーの策定等も行います。

設計・実装

企画・提案した内容に基づいて、システム構築に必要なセキュリティ要件を洗い出し、設計・実装を行います。単にシステムだけに注目するのではなく、サーバーやネットワーク機器、OSなど周辺のITリソースも含めて安全に運用し続けられることも考慮し、対応を進めます。

近年では、データをクラウド上で管理するクラウド活用のケースが増加していることもあり、クラウド構築が行えるセキュリティエンジニアのニーズが高まっています。

テスト・運用・保守

設計・実装したシステムに対し、脆弱性の有無を確認するためのテストを実施。実際に存在するサイバー攻撃の手法を、システムに対して実行するペネトレーションテストを行うなどして、問題が発生しないかを確認します。問題がある場合には、設計・実装工程に戻って対応策を検討します。

テストを経てシステムが完成したあとは、セキュリティ対策の効果が持続するように運用・保守を行います。変化するサイバー攻撃リスクに対応し続けたり、障害が発生した際に迅速に対応します。

セキュリティエンジニアの平均年収

セキュリティエンジニアの年収はスキルや経験、環境などによって異なります。厚生労働省の「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」<愛称:job tag>では「セキュリティエンジニア」の紹介はありませんが、近しい職業として「セキュリティエキスパート(オペレーション)」が紹介されており、その平均年収は558.3万円です。年齢別の平均年収を見ると、55~59歳の718.93万円がピークとなっています。

日本では年収450万円からの求人が多く見られますが、スキル等が身についていれば30歳前後でも年収600万円以上を見込める場合があります。

セキュリティエンジニアに向いている人の特徴・性格

セキュリティエンジニアに向いている人の特徴や性格として、主に以下のことが挙げられます。これらに当てはまる人は、セキュリティエンジニアとして活躍できる可能性が高いといえます。

  • 最新のIT技術に触れ、新しいスキルや知識を得ることが楽しい人
  • スキルや知識を生かして、クライアントの課題解決に貢献したい人
  • さまざまな仮説を立て、課題解決までの最適な道筋を考えられる人

一方で、セキュリティエンジニアがつらい職種といわれることもあります。不測の事態が発生すると迅速な解決を求められたり、慢性的な人手不足により業務量が増加したりすることが考えられるためです。セキュリティエンジニアへ転職を考える際は、これらの要素も念頭に置いておきましょう。

セキュリティエンジニアに必要なスキル

セキュリティエンジニアには、その業務内容からいくつかのスキルを身につけていることが求められます。そのなかでも特に必要といえる3つのスキルをご紹介します。

コミュニケーションスキル

セキュリティエンジニアには、一定のコミュニケーションスキルが必要不可欠です。一般的に、エンジニアの仕事は常にパソコンと向き合い、黙々と作業しているイメージがあるかもしれません。しかし、実際には社内の各部署の担当者や、クライアントとのやりとりが頻繁に発生します。そのなかで、それぞれの課題を見極め、解決に必要な情報を引き出し、最適なソリューションを提案するためには、密なコミュニケーションが欠かせません。また、技術的な内容を非技術者にもわかりやすく説明する能力も求められます。セキュリティエンジニアにとってコミュニケーションスキルは必須といえるでしょう。

プログラミングスキル

セキュリティエンジニアには、プログラミングスキルも求められます。サイバー攻撃はプログラミングで動作しており、その仕組みを読み解き、対策に生かすためにもプログラミングのスキルが必要です。また、実装段階では自らプログラミングする機会もあります。既存のシステムに対して脆弱性を発見し、それを修正するためのコードを書いたり、セキュリティ対策を施した新しいシステムを構築したりすることがあります。さらに、最新のプログラミング言語やフレームワークに関する知識を常にアップデートし、セキュリティの観点から最適な技術を選択する能力も重要です。

倫理・道徳意識

スキルとは少々異なるかもしれませんが、セキュリティエンジニアは高い倫理・道徳意識が求められます。例えば、クライアントの機密情報や個人情報を取り扱う際には、その情報を不正に利用しないという強い倫理観が求められます。倫理や道徳意識が欠けていると、クライアントの安全を守るという本来の職務が遂行されない可能性が高まります。クライアントをあらゆる脅威から守る使命感と、職務として当然の道徳観を持ち、仕事に取り組む必要があります。また、セキュリティエンジニア自身が法令や規範を順守し、常に高い倫理基準を持って行動することが、クライアントからの信頼を得るためにも重要です。

セキュリティエンジニアにお勧めの資格5選

セキュリティエンジニアになるために必須の資格はありません。しかし、関係する資格を取得していると、自身のスキルを対外的にアピールしやすく、転職時の付加価値となります。また、資格の取得を通じて体系的に知識を習得でき、仕事内容の理解に役立ちます。ここでは、セキュリティエンジニアになるためにお勧めの資格を5つご紹介します。

情報セキュリティマネジメント試験

情報セキュリティマネジメント試験は、独立行政法人 情報処理推進機構(以下、IPA)が運営する国家試験です。ITの安全な利活用を推進し、情報セキュリティマネジメントを実践する人材の育成を目的としています。デジタル人材の育成の指標とされるITスキル標準(ITSS)ではレベル2に相当し、企業内でセキュリティマネジメントを担当する人材が必要とする、知識の基準を示しています。セキュリティエンジニアとしてのキャリア形成に欠かせない、最初の資格といえます。

情報処理安全確保支援士

情報処理安全確保支援士も、IPAが運営する資格の一つです。IPAの情報処理技術者試験の中で、セキュリティ分野の最難関にあたります。情報セキュリティに関するネットワークやハードウェア、アプリケーション、法令など幅広い知識が問われ、 ITスキル標準(ITSS)ではレベル4に該当します。試験に合格した後は、所定の手続きを行うことで、「情報処理安全確保支援士」という名称を使用することが認められます。

CompTIA SecurityX

CompTIA SecurityXとは、CompTIA(コンピュータ技術産業協会)が提供するサイバーセキュリティ認定資格の一つです。この資格はエンタープライズセキュリティ、リスク管理、リサーチと分析に関する高度なスキルを認定し、世界中で広く認知されています。IT管理者として10年、かつセキュリティ領域の管理者として5年以上の実務経験を持つ、高度な技術者を対象としており、合格すればセキュリティエンジニアとしての能力の高さを示すことができます。

シスコ認定

シスコ認定は、アメリカに本社を置く、世界最大のネットワーク機器開発会社 シスコシステムズが認定する資格です。ネットワークに関する知識や、同社製品を扱うスキルを証明できます。難易度別に「エントリ」「アソシエイト」「プロフェッショナル」「エキスパート」の4つに分かれており、プロフェッショナル以上の試験では、「Collaboration」「Data Center」「Security」など、技術領域別の試験があります。ネットワークセキュリティを学ぶのに適した技術者認定制度といえます。

LinuC

LinuCは、サーバーOSとして広く利用されているLinuxの技術力を証明する資格です。習得する技術の領域や難易度により、「LinuCレベル1」「LinuCレベル2」「LinuCレベル3」「LinuCシステムアーキテクト」に、レベル分けされています。ITSS(ITスキル標準)におけるITスペシャリストのセキュリティ分野の、レベル1~3に相当する難易度です。「LinuCレベル3」内の「Security」(303試験)は、Linux環境での脆弱性を評価し、トラブルシューティングが行えるエンジニアとして認定され、セキュリティエンジニアとして取得しておきたい資格の一つといえます。また、上位レベル「LinuCシステムアーキテクト」ではサーバーセキュリティに関する問題も出題されるため、知識の補完に役立ちます。

セキュリティエンジニアのキャリアパスについて

セキュリティエンジニアとしてのキャリアは、運用・保守を行うセキュリティオペレーターから始まることが一般的です。ここで経験を積むことで、リーダーや管理者としてのスキルを身につけられます。その後、セキュリティインシデントの分析や対応を行うセキュリティアナリストや、システムやネットワークの設計・実装を行うセキュリティエンジニアとしてのキャリアに進みます。さらに、キャリアアップを目指す場合、クライアントに対してセキュリティ対策の企画・提案や実施をサポートする、セキュリティコンサルタントやホワイトハッカーとしての道が開かれています。また、企業によっては情報セキュリティの戦略を策定し、実行する責任を持つCISO(Chief Information Security Officer)の役職を設けている場合もあり、それを目指す道筋もあります。

セキュリティエンジニアのキャリアパス

セキュリティエンジニアになる方法

セキュリティエンジニアという職種に未経験から就くことは難しいといえます。情報セキュリティに関する専門知識はもちろん、ネットワークやソフトウェア、ハードウェアなど幅広い分野の知識が必要となるためです。逆にいえば、知識や経験を積むことでセキュリティエンジニアになることは可能です。ここでは、セキュリティエンジニアになるための主な方法をご紹介します。

大学や専門学校で学ぶ

大学や専門学校で情報系の学部・学科を専攻することで、ITに関する知識を体系的に学ぶことできます。プログラミングについても学習でき、セキュリティエンジニアとして必要な素養を身につけられます。情報セキュリティについて専門的に学べる学部や学科、コースがなかったとしても、ベースとなるIT知識を習得できればセキュリティエンジニアとしての第一歩となります。

ほかのエンジニアとして経験を積む

インフラエンジニアやネットワークエンジニア、ソフトウェアやアプリケーションの開発エンジニアなど、ほかのエンジニアとして実務経験を積み、セキュリティエンジニアへキャリアアップを図るのも一つの方法です。実務を通じてIT関連の知識を習得できるほか、この間に前述で紹介した資格を取得しておくことで、セキュリティエンジニアへの道がより現実的なものとなります。

派遣社員の募集に応募する

セキュリティエンジニアの人材は、近年需要が高まっていることもあり、正社員だけでなく派遣社員としての募集が多いといえます。派遣社員としての募集であれば、実務経験が浅くてもOKという場合も多く、働きながらセキュリティエンジニアとしての知識を習得できます。雇用形態にこだわらないのであれば、まずは派遣社員というかたちでセキュリティエンジニアとして実務経験を積んでいくのも一つの選択肢です。

まと

いかがでしたか? ここまで、セキュリティエンジニアの仕事内容や年収、向いている人の特徴や、必要なスキル・資格などについてご紹介しました。ランサムウェアなどのサイバー攻撃が激しさを増す昨今、企業・組織にとってセキュリティエンジニアはますます重要な存在となっています。セキュリティエンジニアという職種に興味を持っている方、転職を考えている方にとって、この記事が少しでも役に立てば幸いです。

セキュリティエンジニアとしてスキルアップするならSky株式会社

Sky株式会社は現在、セキュリティエンジニアに相当する各職種のキャリア採用を実施しています。具体的には、クライアントへのセキュリティコンサルティングや導入支援等を行う「セキュリティコンサルタント・アナリスト」、弊社のITインフラや情報セキュリティの運用管理を担当する「セキュリティエンジニア」、そしてISMSに関する業務を担う「情報セキュリティISMS担当」を募集しています。応募資格やそのほかの条件、応募方法などの詳細は、弊社のWebサイトでご紹介していますので、セキュリティエンジニアとしての転職をお考えの方はぜひご覧ください。

【募集職種】セキュリティコンサルタント・アナリスト(マネジメント系・SOC / MDR)
【募集職種】セキュリティエンジニア(情報システム部)

Sky IT TOPICS編集部

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