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公開日2025.05.27

セマンティック検索とは? 特長や例を紹介

著者:Sky株式会社

セマンティック検索とは? 特長や例を紹介

セマンティック検索は、インターネットで情報を検索する技術の一つで、入力された検索文(検索クエリ)から、ユーザーの意図や文脈を理解して、関連性が高い情報を提示する技術です。大手検索エンジンのテレビCMでも、「木をポーンと投げるスポーツ」といった非常に抽象的な文で情報を検索するシーンがあったように、具体的なキーワードを挙げて検索しなくても、意図した検索結果が得られるようになりました。この記事では、セマンティック検索の概要や特長、具体例などを紹介します。

セマンティック検索とは何か

セマンティック検索とは、AIを用いた情報検索技術で、入力された検索文(検索クエリ)からユーザーの意図や文脈を理解して関連性が高い情報を提示する技術です。「セマンティック」は一般的に「意味の」「語義の」などと訳されますが、IT分野においては「コンピューターに、文書や情報が持つ意味を正しく解釈させ処理する技術」という意味で用いられています。

従来のキーワードベースの検索では、検索に用いられたキーワード(検索クエリ)と文書内におけるキーワードの一致度などが重視されています。一方、セマンティック検索の場合は、自然言語処理(NLP)や機械学習(ML)といった技術が用いられ、ユーザーの意図や文脈に基づいて、関連性を判断します。

あいまい検索との違い

あいまい検索とは、検索クエリのスペルミスや表記揺れも考慮し、キーワードと完全に一致していなくても、類似する情報や同義語を対象に含んで検索を実行する機能です。細かな定義や機能は検索エンジンごとに異なりますが、検索クエリの文字列を分割し、文字列が出現する頻度や集中度・位置などを分析および評価して、幅を持たせた検索を可能にします。こうした、あいまい検索の技術は、インターネットの検索エンジンだけではなく、社内向けの業務システムなどでも実装されていることが多く、情報の検索性の向上に貢献しています。

一方、セマンティック検索はAIによる自然言語処理や機械学習によって意味の解析を行い、理解した意味と文脈に基づいて検索を行います。そのため、仮にキーワードと一致していないコンテンツであっても、ユーザー検索意図と合致していると判断した場合は、検索結果として提示することができます。

セマンティック検索の3つの特長

セマンティック検索の優れた点を整理すると、主に次の3点の特長があります。

自然言語処理と機械学習を用いて文の意味を理解する

AIによる自然言語処理や機械学習により、検索クエリの意味を解析し、文脈を理解したり、関連性を推定したりします。この結果、単純なキーワードが一致するかどうかだけではなく、ユーザーが求める情報が何かを理解し、適切に提示します。

関連性の高いコンテンツを抽出する

検索の意図に従って関連性が高いと推測される情報を提供することが可能です。コンテンツを解析して関連性や類似点を判断して情報を抽出するため、より適切な検索結果を表示することができます。

構造化データを活用し、文書構造を踏まえた検索ができる

構造化データとは、HTMLで記述されたWebページの文書構造を、検索エンジンが理解しやすいようにタグづけ(マークアップ)したものです。セマンティック検索では、これによりデータの意味的な関連性や階層構造を踏まえた検索が行えます。

セマンティック検索の具体例

例えば、「大阪の天気」と検索した場合、従来のキーワードベースの検索では「大阪の天気」という言葉と一致する内容が抽出されていましたが、セマンティック検索の場合は大阪の現在の気象状況や天気予報など、関連性の高い情報を提示します。同様に「サッカー 試合」と検索すると、直近の試合日程や結果を表示するなど、よりユーザーの意図を理解して検索結果を提示することができます。

AIとセマンティック検索の関係

セマンティック検索にとって、AIは欠かせない技術です。特に自然言語処理は、ユーザーが入力した検索クエリ(テキストデータ)から意味や文脈を理解し、ユーザーの意図を把握するためになくてはなりません。さらに、機械学習によって大量のデータを分析して、検索クエリと関連情報を学習することで検索結果の精度向上を図っています。今後もAIの進化によって、より高度な検索が可能になると考えられます。

まと

ここまで、セマンティック検索の概要や特長などを紹介してきました。今回紹介したセマンティック検索は、広範囲に意味の関連性を考慮するのに対し、データの方向性を考慮して情報を絞り込むベクトル検索というものもあります。インターネット上に存在する膨大な情報の中から、自分の意図に一致した情報を的確に抽出するための技術は日々進化しています。今回ご紹介した内容が、皆さまの今後の情報活用の取り組みに役立てば幸いです。

Sky IT TOPICS編集部

Sky IT TOPICS編集部は情報セキュリティやIT運用、テクノロジーに関する最新の動向、弊社商品の情報を発信しています。
Sky株式会社は、家電のシステム開発を手掛けたのをきっかけに、デジタル複合機やカーエレクトロニクス、モバイル、情報家電、さらに自社商品として教育分野における学習活動ソフトウェアや、公共・民間向けクライアント運用管理ソフトウェアなど、幅広い分野でのシステム開発を展開しております。