コンピュータビジョンとは?仕組みや具体例、企業の活用事例をご紹介
コンピュータビジョンは、画像や動画に写っている人物や物体をコンピュータが識別する技術です。1960年代に登場して以降、進化を続けており、さまざまな分野で活用されています。この記事では、コンピュータビジョンの活用分野をはじめ、実際の活用事例についてご紹介します。
コンピュータビジョンとは何か?
コンピュータビジョンとは、画像や動画をコンピュータに取り入れて処理し、写っている人物や物体をコンピュータが識別して特定する技術のことです。コンピュータに人間の視覚に当たる機能を持たせることで、多くのデータをより速く、より正確に処理することができます。
コンピュータビジョンの活用分野
コンピュータビジョンは、さまざまな分野で活用されています。例えば、製造業では品質管理や自動検査に使用され、医療分野では画像診断や手術支援に役立っています。また、自動運転車の開発やセキュリティシステムにも応用されています。これにより、効率化や精度の向上が図られています。
ディープラーニングとの関係性
ディープラーニングは膨大なデータを使って、自己学習する人工知能の一種です。このディープラーニングの進化により、コンピュータビジョンの技術が大きく進化しました。特に、ディープラーニングを用いた画像認識技術により、高い精度で画像の認識や解析を行うことができるようになりました。
コンピュータビジョンの歴史的背景
コンピュータビジョンの歴史は、1960年代から始まりました。当初は図形の識別や人工衛星画像の画質改善、CT画像の解析技術として注目を集めました。1980年代には、人工知能の一分野として注目され、物体認識やパターン認識の研究が進展。1990年代には、工場での外観検査を主とする「マシンビジョン」、工業製品の組み立てロボットや自立移動ロボットのような、産業用のロボットに位置検出やカメラを取りつけた「ロボットビジョン」などへの応用が進みました。
コンピュータビジョンは、この10年で急速に一般ユーザーが使用する製品にも活用されるようになり、現在コンピュータビジョンは身近な技術となりつつあるといえます。
コンピュータビジョンの業界ごとの活用例
コンピュータビジョンの技術は、さまざまな業界で活用されています。ここでは、3つの業界を例に、どのようにコンピュータビジョンの技術が使われているのか、活用例をご紹介します。
製造業界の活用例
工場のラインや物流倉庫などでコンピュータビジョンが活用されています。製造業では、IoTやAIなどの最先端技術を活用するスマートファクトリーを進めるために、コンピュータビジョン技術の導入が推進されています。 例えば、カメラやセンサーを使用して、製品の形状や色などを認識し、異常や欠陥を検出したり、商品のラベルやバーコードを読み取り、自動的に在庫を管理したりできます。
エンタメ業界の活用例
エンターテインメント業界では、建物などの立体物に映像を投影するプロジェクションマッピングなどに活用されています。映像を投影する対象となる建物などの3次元情報を読み取り、その形状に合わせて変化させながら映像を投影します。投影する際に、対象物を認識する技術にコンピュータビジョンが活用されています。
医療業界の活用例
医療業界では、コンピュータビジョンが画像診断や手術支援に利用されています。例えば、MRIやCTスキャンの画像を解析し、病変部位を自動的に検出する技術があります。これにより、診断の精度が向上し、早期発見や治療の効果が高まります。また、手術中にリアルタイムで映像を解析し、医師にサポート情報を提供するシステムも開発されています。
コンピュータビジョンの活用事例4選
コンピュータビジョンは、先述した業界のほかにも多くの分野で活用されています。ここでは、具体的な活用事例を紹介します。
顔認証
スマートフォンのロック解除やオフィスの入退室管理にコンピュータビジョンが活用されています。高度な物体検出を行い、個人を特定する技術を「顔認証」といいます。この顔認証により、目や鼻、口などの特徴点の位置を基に個人の照合を行うことで、ロック解除や入退室管理を実現しています。
自動車の自動運転支援
自動運転の技術にもコンピュータビジョンが活用されています。例えば、歩行者の動きを予測し、危険なエリアに入ってくる可能性の高い歩行者を検知するアプリケーションなどが開発されています。歩行者だけでなく、周辺の車や建物などを認識し、安全に走行するためにサポートするシステムに技術が活用されています。
現時点では、完全な自動運転までは到達していないため、今後の進化が期待されています。
無人レジシステム
AI、ディープラーニング、コンピュータビジョンの技術を活用した無人レジシステムもあります。カゴの中に複数の商品が入っていても、約1秒で正確に識別できるシステムも存在しています。人が目視するのと同様に、商品の微妙な違いも認識することが可能です。こうしたシステムにより、レジの作業時間を大きく短縮でき、客の待ち時間を軽減することにつながっています。
バーチャルメイク
バーチャルメイクもコンピュータビジョンやARを活用した技術です。ARは、「Augmented Reality」の略で「拡張現実」のことです。カメラで写している画像に、実際には存在しない3D映像を重ねて表示することができます。
バーチャルメイクでは、カメラで写した画像上に、仮想的にメイクを施し、仕上がりを確認することができます。
まとめ
コンピュータビジョンは、画像や動画から情報を抽出し、写っている人物や物体をコンピュータが識別して特定する技術です。現在、製造業、エンタメ業界、医療業界などで、活用されており、効率化や精度の向上に寄与しています。今後もさらなる活用の広がりが予測されるとともに、技術の進化が発展が期待されています。