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Sky株式会社

公開日2024.10.31

データ加工とは? 分析や効率的に進める方法を解説

著者:Sky株式会社

データ加工とは? 分析や効率的に進める方法を解説

IT技術の発展に伴い、従来は活用しきれていなかった多種多様なデータが、分析可能となりました。ただし、分析に必要なデータは不備のある状態で収集される場合が多く、活用するためには適切なデータとなるように加工処理を施す必要があります。 データ分析によって信頼性の高い情報を得られれば、マーケティング活動や新製品の開発に生かすことができ、企業競争力の向上に直結します。そこで今回は、データ加工を正しく行うための前提知識として、そのメリットや一般的な流れ、効率的に進める方法をご紹介します。

データ加工とは何?

データ加工とは、複雑で多様なデータを分析可能な状態に整えることです。データの不備を解消して整合性を持たせる処理を施すことで、信頼性の高い分析結果を得るための土台をつくります。適切に加工したデータを分析することで、客観的なデータに基づく意思決定が可能となり、企業の競争優位性の確保にもつながります。

データ加工は主に、データ処理プロセスとして知られるETL(抽出・変換・書き出し)の「変換」に該当します。データ分析の一連の流れでは前準備に相当しますが、「データ分析の工程の8割がデータ収集・加工にあてられる」と言われるほどに重要な処理で、必要なコストは大きくなりがちです。なお、データ加工の種類は「フォーマット変換」「データクレンジング」「名寄せ」など多岐にわたります。

データ加工の3つのメリット

次に、データ加工のメリットを3つ紹介します。データ加工は、特に「生産性」「データ分析の精度」「データドリブンの精度」に関して効果的であり、データ活用の成果を最大化するために欠かせません。

生産性を向上させる

データを扱う頻度が高い業務において、扱うデータの質によっては生産性の向上に期待できます。例えば「表現形式が統一されていない」「余計な重複が多い」といった低品質なデータに対しては恒常的に修正を施す必要があり、その修正作業に追われる分、担当者はほかの業務にあてられる時間が減ってしまいます。適切な加工を終えたデータを活用することで、こういった本来は不要な作業やストレスを減らせるため、生産性の向上につながります。

データ分析の精度を向上させる

顧客ニーズの発見や製品の品質向上につながる好材料を見つけるためのデータ分析には、BI(Business Intelligence)ツールやAIの活用が効果的です。とはいえ、分析対象となるデータの質が悪ければ、どれだけ優れたツールを用いても思うような成果は得られません。欠損値が多いデータや、そもそも適切な変換がなされていないデータを分析するには、相応の時間やコストがかかります。

あらかじめ適切なデータ加工ができていれば、コストを抑えやすいだけではなく、ツールの力を活用した信頼性の高い結果を得やすいといえます。

データドリブンの精度を向上させる

「データドリブン」とは、経験や勘だけに頼らない、客観的なデータに基づいた意思決定を行うことを指し、この考え方を企業経営に生かすことを「データドリブン経営」といいます。近年ではビッグデータの活用とともに注目されており、業務の効率化や新規事業の創出を促すなど、企業競争力の強化に不可欠です。

特に、画像や音声、IoTセンサーから得られるリアルタイムデータなどの非構造化データは、従来の分析技術では見過ごされてきた、新たな観点の宝庫ともいえます。適切なデータ加工に基づく分析精度の向上は、データドリブン経営の質に直結します。

データ加工の4ステップ

顧客情報や売上データなどの経営活動に生かせるデータは多様かつ複雑なため、分析しやすいかたちに加工する必要があります。ここでは、データ加工の一般的な流れについてご紹介します。

加工対象のデータを精査する

業務システムや社用スマートフォンなど、企業内で活用しているシステムや電子機器には膨大な量のデータが存在しています。限られたリソースの中ですべてのデータを分析するわけにはいかないため、あらかじめ加工対象とするデータの精査が必要です。

例えば、財務会計や生産管理といった経営資源に関する情報を得るためには、ERP(基幹システム)を対象にします。同様に、企業と顧客との関係性にまつわる示唆を得るためには、個人情報や購入履歴などのデータを蓄積しているCRM(顧客管理システム)を対象にします。

注意点として、こういった大規模システムの中には同じ内容を表すデータが複数含まれる場合もあります。その際はどのデータを「正」とするのか、取捨選択が必要です。

データのフォーマットをそろえる

精査したデータを、データ加工に用いるツールが読み取れるかたちに統一する必要があります。

例えば、CSV形式やTXT形式のファイルの場合、Shift_JISやUTF-8など、複数の文字コードが混在する可能性があるため、文字化けが生じないようにいずれかに統一します。「日付」を表現するにしても、「YYYY/MM/DD」とするか「YYYY.MM.DD」とするかなど、表記の違いを考慮しなければなりません。

このように、ファイルの形式や文字コード、データ型などの組み合わせを決めることでデータの形式をそろえ、加工しやすいデータへと整えていきます。

データの欠損や異常を抽出して補完・補正する

加工対象のデータに対して、欠損値の補完と異常値の補正を施します。

何らかの事情で正常に取得できていないデータに生じる「欠損値」や、本来は加工対象に含まれるべきではないデータである「異常値」は、データ分析の精度を大幅に低下させる原因になりやすいため、注意が必要です。データ分析が進んだ段階での余計な手戻りを防ぐためにも、可能な限り早い段階でデータの不備を取り除いておくことが重要です。

なお、先述したデータフォーマットの統一と併せて、加工対象となるデータに含まれる不具合を取り除くための一連の処理を「データクレンジング」と呼びます。

重複データを抽出して削除や名寄せを行う

加工対象のデータの中に重複する内容がある場合には、そのデータを削除するか、名寄せ(マッチング)を行うかを判断します。

名寄せとは、複数のデータベースで共通した項目を「キー」として設定し、関連性のあるデータ同士をひもづけることです。ひもづけ作業と並行して、同じ意味を持つ項目をまとめるなど、キーに基づくデータの調整も行って情報を取りまとめます。

名寄せによって、例えば名前や電話番号などの情報をもとに、複数箇所に散らばっている同一人物のデータを1つにまとめることが可能です。特定の人物データが誤って複数登録されてたり、異動によって役職が変更されたりした場合に役立ちます。

こうした重複データに関する処理はデータの使い勝手や分析結果の質を向上させる上で必要不可欠であり、データ加工の中でも重要な工程といえます。

データ加工の効率化に役立つツール

このように、データ加工にはいくつかのステップがあり、扱うデータの規模や種類によっては膨大な工数が必要となります。そのため、データ加工を行う際には効率化するためのツールを利用するのが一般的です。代表的なものをご紹介します。

ETL(Extract Transform Load)

ETLとは、各所に散在する複数のデータソースからデータを抽出(Extract)し、用途に応じて変換(Transform)した上で書き出し(Load)を行い、データウェアハウス(DWH)と呼ばれる大規模なデータ格納庫へとまとめる、一連のデータ処理プロセスのことです。大量のデータを高速かつ自動的に処理できるETLツールは非常に便利といえるでしょう。

ただし、すべてのプロセスを手作業で行う場合と比べれば容易といえますが、複雑な処理を実現したい場合には相応の専門知識が必要です。特にデータベースやSQLに関する基礎知識は必須といえます。

データプレパレーションツール

データプレパレーションツールは、ITの専門知識がない人材にも思い通りのデータ加工ができるように設計されたツールです。マウスによる直感的な操作ができるGUI(Graphical User Interface)を採用しているツールが多く、プログラミングの高度なスキルを必要としないノーコードでのデータ加工が可能です。

データプレパレーションツールの活用によって、最終的にデータを必要とするビジネス部門の担当者が自ら必要なデータを準備できるため、企業全体でのデータ活用が大きく推進されることが見込めます。

個人情報の匿名加工ツール

個人情報の匿名加工ツールは、現代のマーケティングや製品開発に欠かせないパーソナルデータの活用を促進すると同時に、個人のプライバシーを保護するためのツールです。2017年5月に個人情報保護法が大幅に改正されて以降、企業が本人の同意を得ずに個人情報を目的外で利用するには、匿名加工を施し、個人が特定されないようにする必要があります。

ただ、こういった情報の加工には手間がかかることから、パーソナルデータ活用の停滞が課題となっていました。そこで役立つのが匿名加工ツールです。ツールが持つ独自の加工技法やアルゴリズムによって、より効率的な匿名加工が可能となります。

Sky株式会社のシステム開発

AIやIoT機器などのIT技術が発達した現在、あらゆるデータの有効活用が企業の発展において喫緊の課題となっています。中長期的に企業競争力を高め続けるためにも、データの収集・分析を行う仕組みづくりや、データの管理・統制への積極的な取り組みが欠かせません。

Sky株式会社では、データ活用の導入段階に応じた多様なソリューションを用意しています。データ分析基盤を戦略的に導入するためのコンサルティングや、高速かつ安全にデータの収集・加工・分析を実現するデータエンジニアリングの提供、データ活用基盤を内製化するための支援などを行っています。

主要ベンダーが提供する安定的なクラウドサービスから最新のトレンド技術まで幅広く対応しているため、お客様の所有するIT資産や周辺システムとの親和性も考慮しながら最適な提案をすることが可能です。

まと

ここまで、データ加工のメリットや一般的な流れ、効率化に役立つツールなど、データ加工の概要について紹介してきました。多様で複雑なデータから信頼性の高い情報を得るためには、データ加工を正しく行える環境を整えておくことが大切です。

精度の高いデータの分析結果を組み込んだデータドリブンな意思決定によって、個人の経験や勘に頼ることなく、業務の効率化やマーケティング力の強化といった企業競争力の向上が可能となります。