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公開日2024.09.17

MT法とは? 意味や活用例、メリットを解説

著者:Sky株式会社

MT法とは? 意味や活用例、メリットを解説

MT法とは何か?

MT法とは、異常検知に用いられる手法の1つで、パターンの認識や予測を行う際に使われます。変数の相関関係を考慮して計算する「マハラノビス距離」という距離の概念を基に、正常なデータの群れ(単位空間)と対象のデータがどれくらい離れているかを見て、正常か異常かを判断します。正常度を判断する物差しを作るようなイメージです。

日本の工学者・田口玄一氏が提唱したことから、「マハラノビス・タグチシステム」を略して「MT法」と呼ばれています。

MT法の特性

複数の条件が絡み合う状況では、一つのデータだけを見ていると、問題やその原因を正しく検出できないケースも少なくありません。MT法はマハラノビス距離を用いるため、複数のデータの相関関係を踏まえて、単位空間から逸脱しているデータを鋭く見つけ出すことが可能です。

MT法は過程の透明性にも優れており、直交表を使用してどの計測値に問題があるのかを把握することで、主原因を特定できます。主原因が特定できれば、次の対処法の決定もスムーズに行えます。また、見た目や波形の違いのような数値では表しにくい内容も、MT法なら判断基準を設けやすいです。

ほかにも、学習データ量や計算量が少なく処理速度が速いことや、認識精度の高さ、環境変化に柔軟に対応できる点など、製造工程の監視や検品を行う上で利点となる特性を多数持ち合わせています。

MT法の活用手順と具体例

異常検知において優れた能力を発揮するMT法ですが、実際の現場ではどのような手順や目的で利用されているのでしょうか。ここでは、MT法の活用手順と活用の具体例についてご紹介します。

MT法の活用手順

MT法を使用する際は、はじめに項目や単位空間を決定しなければなりません。まず分析を行う目的を明確にしてから、その内容に合わせて「正常」にあたる内容を、単位空間の条件とします。その後、定めた条件に合った正常なデータを収集して、マハラノビス距離を計算します。次に異常なデータのマハラノビス距離を計算し、単位空間の範囲が正しく識別できているかを確認します。

直交表を用いて判定に使用する項目を選択したら、正常・異常の判定を行う作業に入ります。データは項目ごとに基準化を行い、比較がしやすい状態にしておきます。未判定のデータについてマハラノビス距離を計算し、正常・異常を判定するほか、必要に応じて異常の原因の分析を行います。

活用の具体例

MT法の活用により、外観不良の判定や波形データを使った異常検知を行うことが可能です。たとえば、音声波形から歯車のわずかな異音を見つけ出したり、部品装着時の圧力波形から不良品を発見したりできます。情報処理技術に欠かせない要素として、IoT技術やAI産業への応用も進められており、AIに正常なサンプルデータを学習させることで正常・異常を自動判別できる機械も登場しています。

また、不良品の判定や異常検知以外にも、病気の発症の予測、企業の経営状態の把握まで幅広い場面で活用されています。降水量や水位実績から河川の氾濫を予測し、被害を最小限に抑えるために利用された例もあります。

まと

「マハラノビス距離」を用いて異常を検知するMT法は、波形の分析による製品の品質向上から自然災害の予測まで、幅広い分野で活用されています。複数のデータの相関関係を考慮する必要がある場面では、非常に役立つ手法といえます。

また、MT法はAI産業においても欠かせない要素の一つです。Sky株式会社は、MT法とも関わりの深いAI・画像認識システムの開発サポートを行っています。システムの開発にあたって何かお困りの際は、ぜひご相談ください。

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